「性根」とは?
「性根」には、二つの読み方と意味が存在します。一つ目は「しょうこん」、二つ目は「しょうね」です。それぞれを、項目別に解説していきましょう。
「性根」(しょうこん)の意味と使い方
「性根」を「しょうこん」と読む場合、その意味は、根性、根気、ひとつのことを長くやり続ける気力、などを指します。
いずれの意味も、集中力をもって、なにかに打ち込む心の熱度を示しています。「根性」は頻繁に用いられる言葉ですが、この二文字の前後をひっくり返した「性根」(しょうこん)は、会話においてはあまり登場しません。
【用例】
- 中村画伯は、その晩年に、気力を奮い立たせて森林を描く大作に挑んでいたが、ついに性根がつきて筆を絶ってしまった。
- 甲子園出場をはたした栄光学園の球児たちは、全員が、毎日暗くなるまで練習に打ち込む見上げた性根の持ち主だ。
「性根」(しょうね)の意味と使い方
「性根」を「しょうね」と読む場合、その人間の根本的な心構え、心の持ち方、根性、などを意味します。
「性根」(しょうね)は、ほかにも辞書的に多義的な意味をもち、物事の本質的な部分、情人・情事なども意味しますが、それらは、現代の日本語ではあまり使われない用法となっているため、今回は割愛いたします。
性根は人間の根本に宿るもの
「性根」(しょうね)は、基本的に人本来の人格や性格の根本に宿るものを指しています。たいていのケースで、自身に対してではなく、他者、第三者を対象として用います。
人間の根本を示すという意味では、現在ではあまり使われない「性根=物事の本質」という用法がここに引き継がれているといえますね。
根本を指す言葉なので、「性根」はたやすく変化するものとしては扱われません。定型的な言い回しとして「性根を叩き直す」がありますが、つまり、根本を変えるには、「叩き直す」ことが必要となるわけです。
興味深いことに、「性根」(しょうね)、すなわち「心の根本」の意味付けは中立であるにも関わらず、実際に用いられる場合は、ネガティブな意味を表す場合が多くなります。
(A男)
和男のやつ、また暴力沙汰で逮捕されたのか。性根が腐っているから、どうしようもないな。
(野球部監督)
練習を怠けたがるおまえたちの性根を叩き直さないかぎり、区の大会で勝ち進むことさえあり得ないぞ。
(C子)
京子さんって、すぐに人の悪口を言うのよね。つまりは性根がねじ曲がっているのよ。
(D子)
従妹の麻里ちゃんは、とても性根の優しい女性で、私にとっては姉妹に近い存在なの。
「性根」(しょうこん)の類語
根気
根気:物事やひとつのことを、飽きずに長く続けていける気力のこと。
【文例】
- 英語の鈴木先生は、落ちこぼれの生徒たちを放課後に集め、彼らが理解できるまで根気よく教え続ける敬服すべき教師だ。
「性根」(しょうね)の類語
心根
心根(こころね):心の本性、本当の心、心の奥底、真情など。
「性根」よりもさらに深い心の本性を表す言葉であるためか、用い方は「性根」とは逆に、ポジティブな意味を含むことが殆どです。
【文例】
- 由美子さんの継母は、とても心根の優しい人だったので、由美子さんは実母がいない寂しさを味わうことなく成長した。
気質
気質(きしつ):性質、気性、気立てなど。
「性根」に比べると、経験や成熟などによって変化しうる部分があります。
【文例】
- 妻は、結婚当初はたいそう神経質な気質だったけれど、僕があまりに大雑把だから感化されたのか、今ではかなり気楽な性格に変化してきたよ。