「逡巡」とは?意味や使い方をご紹介

「逡巡」(しゅんじゅん)とは、なにかを決断することができず、ためらうことです。誰にも迷うことは往々にしてありますが、その迷いの時間がきわめて長い場合には、「逡巡」を用いることが適切です。今回は、「逡巡」の意味と使い方を、類語を含めてご紹介します。

目次

  1. 「逡巡」とは?
  2. 「逡巡」の使い方
  3. 「逡巡」の類語

「逡巡」とは?

「逡巡」とは、決断をすることができず、ぐずぐずと迷い続けることしりごみすることためらうことを意味する言葉です。

「逡巡」は、自分はどう生きるべきか?などの抽象的で大きな問題に悩み迷う場合に用いられることは殆どありません。それは、誰かや何かに解決を迫られているわけではなく、期限など関係のない思考だからです。

とはいえ、たとえばそれが授業の課題であり、答えを要求されているのに迷い続ける場合は、「逡巡」を用いることができます。今解決すべきものを、果たせずに悩んでいるからです。

「逡巡」は、解決すべき目前の問題が具体的に存在し、その答えや決断において、いつまでもぐずぐずと迷い続ける場合を指すのに適しています。

「逡」と「巡」の漢字の意味

「逡」は、一説によると、「進む」と「田の神」を意味する文字が組み合わさって成立した漢字とされています。神を前にして頭を下げて進むという状態を表すことから、「退く」「ゆずる」「ためらう」という意味が派生しました。

「巡」は、「めぐる」を意味します。「進む」と「川」の文字が組み合わさって成立した漢字ですので、元々の意味は、「川にそって進む」。そこから、「定まった道を行く」「後退する」「元の場所に戻る」という意味が派生しました。

進みあぐね、行きつ戻りつする。このような様態を表す二つの文字が重なった言葉が「逡巡」なのです。まさに、悩み、臆し、堂々巡りをして迷うさまが目に浮かびますね。

「逡巡」の使い方

「逡巡」は、動詞「する」をつけて、「逡巡する」「逡巡している」などと用いることが殆どです。時には、「逡巡を見せた」などのように、名詞として用いる場合もあります。

(A男)

我が社の経営陣は、会社再建案のなかの大幅なリストラ案には逡巡を見せていたけれど、ついに断行するらしいね。

(B子)

来年はとうとう就活スタートよ。待遇がよくなくてもやりたい仕事を選ぶか、なによりも経済的な安定で選ぶか、今から逡巡しているの。

(C男)

おまえ、純子ちゃんにプロポーズするかどうかでここまで逡巡するっていうことは、愛も覚悟も足りない証拠だよ。

「逡巡」の類語

「躊躇」の意味と使い方

「躊躇(ちゅうちょ)」とは、「心を決めかねてぐずぐずと迷うこと」「ためらうこと」という意味をもつ言葉です。ほとんど「逡巡」と同じようでありながら、異なるポイントがあります。

「心を決めかねる」とあるように、ほぼやるべきことや答えがわかっていながら、最後の一歩が踏み出せずに戸惑い迷う状態が「躊躇」です。「逡巡」のように、「ああすべきか、こうすべきか、それとも…?」というような堂々巡りとは異なる点に留意してください。

  • リストラされたことを妻に告げることに躊躇はしたが、隠すことはできないと覚悟を決めた。
  • 部屋に現れたゴキブリを躊躇なく叩き潰した。

「優柔不断」の意味と使い方

「優柔不断」は、物事の決断がなかなかできないさま、気が弱く、物事を決定する態度が鈍いさまを意味する言葉です。物事の答えをなかなか見つけられない点は「逡巡」と重なりますが、異なる点もあります。

「優柔不断」は、たとえベストな答えがわかっていたとしても、それを断言する勇気がなかったり、はっきりさせることに臆したりして前に進めない状態です。

「逡巡」は、時として、非常にポジティブに、「もっとよい解決法はないか?このやり方のデメリットは何か?」というような場合も指します。「優柔不断」には、そのような建設的な迷いはなく、性格の弱さなどからくる思い切りの悪さが含まれているのです。

  • 鈴木君は、道子さんと8年間も交際し、彼女にとりたてて不満もなかったんだ。それなのに、優柔不断な性格から結婚に踏み切れず、とうとう道子さんに去られてしまったよ。
  • 優柔不断な小早川秀秋は徳川方から砲撃を受けるまで決断を下すことができなかった。


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