「マルチ」とは
「マルチ」には、おもに二つの意味があります。
- 多数の・複数の・多様な。
- [農業用語]畑の表面を被覆する資材。
1.「多用・多数」
「マルチ」の意味・由来
一般に、最も多く用いられている「マルチ」は、「多くの・多量の・複数の・多様な」という意味です。「多く」を指す英語の接頭辞"multi-"に由来します。
"multi-"の由来
英語の接頭辞"multi-"の語源は、ラテン語の"multus"です。この"multus"は「多くの」という意味で、英語の"much"に相当します。
"multiple"(多数から成る)、"multipurpose"(多目的の)などは、接頭辞"multi-"を含む言葉です。
「マルチ」の使い方
「マルチ」は、「マルチな活動」「マルチな機能」のように使われます。しかし、後述するように、「マルチ○○」という複合語のかたちで用いられることの方が多いようです。
「マルチ」の類語
- 「多」を使った類語…多岐・多機能・多芸・多才・多能・多分野・多目的など
- 「広」を使った類語…広角・広範囲・幅広いなど
ほかにも「万能」「汎用」「何でも屋」「オールラウンド」のような言葉が、類語としてあげられます。
「マルチ」の複合語
マルチカラー
マルチカラーとは「多彩・多色」という意味です。なお織物や衣服のコーディネートなどにおいては、三色以上が同時に使われる多色配色のことを言います。
マルチ商法
「マルチ商法」の正式名称は「連鎖販売取引」。会員AがBを誘い、BがC・D・Eを勧誘するといったことを繰り返し、ピラミッド状に販売員を増やす仕組みのことです。
マルチタスク
「マルチタスク」とは、複数のプログラムを一台のコンピューターで同時に実行すること。または、人が同時にいくつかの仕事をすることを言います。
マルチタレント
「マルチタレント」は、本来は、多方面にわたる才能という意味です。現在ではおもに、俳優・歌手・演芸・司会など多様な芸能活動をするタレント。あるいは、小説家・ヘアメイクアーティスト・画家など他ジャンルでも活躍する芸能人を指します。
マルチチャンネル
「マルチチャンネル」とは「多重通信」のこと。例えば、デジタル放送の主チャンネルと副チャンネルのように、一つの回線で複数の信号を伝送する方式です。
マルチ投票
「マルチ投票(マルチ)」は、競馬などの公営競技の投票券(馬券など)の買い方のひとつ。軸(本命)と相手(ほかの候補)の着順を入れ替えた組み合わせを同時購入することです。
競馬の馬単(1着と2着になる馬の馬番号を着順通りに予想)を例にあげます。
<軸:8、相手:4、6、12の場合>
- 馬単1着流し:1着=8に対して、2着を4、6、12とした3つの組み合わせ
- 馬単2着流し:2着=8に対して、1着を4、6、12とした3つの組み合わせ
- 馬単流しマルチ:馬単1着流しと馬単2着流しを合わせた6つの組み合わせ
マルチヒット
「マルチヒット」は「マルチ安打」とも言われます。野球において、一人の選手が1試合で複数のヒットを放つことです。
マルチプレイヤー・マルチプレーヤー
「マルチプレイヤー・マルチプレーヤー」は、複数の役割をこなせる人や物を指します。
- [音楽]複数の楽器を演奏できる音楽家
- [スポーツ]複数のポジションをこなせる選手(ユーティリティープレイヤー)
- [IT・オーディオ]CD-RやDVD-Rなどを再生できる光学ドライブ
- [ゲーム]二人以上の人間が参加できる方式
マルチポスト
「マルチポスト」とは、複数の掲示板などに同じ内容(おもに質問)を書き込むこと。ネット上のマナー違反行為です。
マルチメディア
「マルチメディア」とは、文字だけでなく、動画・静止画・音声など、多様なメディアを組み合わせて扱うこと、または、それらを扱う機能を指す言葉です。1980年代以降、盛んに使われるようになりました。
2.農業の被覆材
「マルチ」の意味・由来
農業分野で使う「マルチ」という言葉は、英語のマルチング(mulching)に由来します。
マルチングは、畑の表面を藁(わら)やプラスチック資材などで覆うこと。「マルチ」は畑を覆う被覆資材、主にプラスチック製の農業用被覆材のことです。
作物の根元を覆うことで、水分の蒸散や雑草を防いだり、温度変化を緩やかにする効果があります。
"mulching"とは
英語の"mulch"とは、「敷き藁を敷く・作物などの根元を覆う」という意味の動詞。"mulching"は、根元を覆うことです。
「マルチーズ」とは
「マルチーズ(Maltese)」は、白く、絹のような被毛が特徴の小型犬種。世界最古の愛玩犬です。名称は「マルタ島(Malta)原産」であることに由来します。なお、上記の1と2の「マルチ」には当てはまりません。