「相対」とは
「相対」の漢字には、次の2つの読み方があります。ここでは、それぞれの読み方について、意味と使い方をご紹介します。
- あいたい
- そうたい
「相対(あいたい)」の意味と使い方
「相対(あいたい)」の意味
「相対(あいたい)」と読む場合は、次のような意味があります。現代において用いられるのは、おもに、1や2の意味です。
- 当事者どうしでさし向かってことを為すこと
- 対等であること
- 合意する事・互いに納得した上であること
「相対(あいたい)」の使い方:名詞
上の1と2の意味の「相対(あいたい)」の例文は次の通りです。「相対(あいたい)」は、名詞として用いられるケースはあまり多くありません。
《例文》
- この件については相対で協議したい。
- 今回はお互いの立場関係なく相対で仕事を進めていきましょう。
「相対(あいたい)」の使い方:動詞
「相対(あいたい)」と読む場合、「相対する(あいたいする)」という動詞のかたちで用いられることの方が多いでしょう。「相対する」は、「互いに向かい合う・直面する」、または「互いに反対の立場に立つ・対立する」という意味です。
《例文》
- 二人はちゃぶ台を挟んで相対して座っていた。
- 彼は部長と相対する意見を述べた。
「相対(そうたい)」の意味と使い方
「相対(そうたい)」の意味
「相対(そうたい)」の意味は、次のとおりです。現代においては、多く、2の意味で用いられます。
- 向かい合うこと・向き合っていること・対立すること
- 他との関係の上に存在、あるいは成り立っていること
「相対(そうたい)」の使い方①向かい合う・対立する
「相対(そうたい)」を1の意味で用いる場合は、「相対する(そうたいする)」という動詞のかたちで使われます。「そうたいする」の意味は「あいたいする」と同じです。ただし、「相対する」は「あいたいする」と読まれることが多いようです。
《例文》
- 我々は今、難しい問題に相対している。
- この絵はあちらの絵と相対する位置に飾ってください。
「相対(そうたい)」の使い方②他との関係の上に存在する
2の意味で用いる場合は、形容動詞の「相対的」というかたちで用いられることが多いようです。「相対的」とは、「他との関係・比較の上で成り立っている様子」を表しています。
《例文》
- 相対的に見て彼より彼女の方が優れている。
- 今回のテストで、彼の点数は高くはない。しかし、平均点が低かったので、相対的に見ると彼の成績は悪いとは言えない。
また、2の意味で用いる「相対」には、多くの複合語が存在します。複合語については、次の項でご説明しましょう。
「相対」と「絶対」
「他との関係の上に存在する」という意味の「相対(そうたい)」の対義語は、「絶対」。「相対」の対義語として用いられる「絶対」は、「他に比較対立するものがないこと」を表します。
例えば、A君のテストの成績を評価する場合を考えてみましょう。「A君の成績はクラスの平均よりも上だった」のように、クラスの他の生徒との比較で評価するのが「相対」。「A君は100点満点中57点だった」のように、個人の達成度で評価するのが「絶対」です。
「相対(そうたい)」や「絶対」を含む複合語
「相対(そうたい)」を「他との関係の上に存在する」という意味で用いる場合、「相対○○」という複合語には、多く、「絶対○○」という対義語が存在します。
【〜的】
- 相対的…他との関係において成り立つこと。他との比較において成り立つこと
- 絶対的…他の何物とも比べられない状態や存在であるさま
【主義】
- 相対主義…人間の知識や認識はその他の要素や見方と相対関係であるという考え方
- 絶対主義…哲学で、絶対的な心理や価値基準を認めること
【評価】
- 相対評価…個人の能力をある一定の集団内の相対的位置によって評価する方法
- 絶対評価…設定された目標に対し、個人がどれだけ達成したかを評価する方法
【価格】
- 相対価格…商品やサービスの価格を、貨幣価格ではなく、他の財との交換比率で表したもの
- 絶対価格…商品の値打ちを貨幣でいくらという形で表わしたもの。貨幣価格
【貧困】
- 相対的困窮…ある地域の文化水準・生活水準と比較して困窮した状態を表すさま
- 絶対的困窮…人間として最低限の生活ができない状態。周りと比較せずとも困窮がわかるさま