「謹賀新年」の意味と使用例
「謹賀新年」(読み:きんがしんねん)とは、年賀状に使われる賀詞です。「謹んで新年の喜びを申し上げます」・「謹んで新年をお祝いいたします」という意味であり、上司や取引先など、目上の方への年賀状に使います。
賀詞(がし)は、年賀状を書く際に冒頭に入れる挨拶の語句で、新年を迎えたことを喜び、祝うことを表す語句が入ります。
【使用例】
- 上司に年賀状を出すんだけど、最初に「謹賀新年」って入れればいいのかな?
- 「謹賀新年」の後に「明けましておめでとうございます」って書くのはだめだよ!
- カラフルで可愛らしいけど、「謹賀新年」以外の文章を赤字にするのはまずいよ。
「謹賀」の意味
「謹」は自分より目上に当たる相手に対して、敬意をもって接することを表現する語句です。「賀」の字義は、祝う、喜ぶです。
合わせて「謹賀」で「謹んでお喜び申し上げる」・「謹んでお祝いいたす」といった意味となります。
「謹賀新年」を使った年賀状
年賀状を出すときのマナー
「謹賀新年」を賀詞に使う場合、目上の方に出すので失礼のないように気を配りましょう。いくつか重要なマナーを紹介します。
まず、意味の重なりを防ぐため、冒頭に「謹賀新年」を使うのであれば「明けましておめでとうございます」という文言は入れないようにしてください。
賀詞にはどのような色を使っても良く、特に決まりはありません。しかし、本文や名前などははっきりとした黒字で書くようにします。特に赤字は相手と絶交する時の手紙に使う色・家計が赤字になって家が傾くなどの悪いイメージがありますので、絶対に使わないようにしてください。
また、黒いインクで書く際、色が薄いと涙で薄まったと解釈されます。弔事の時に薄墨色(薄いグレー)が使われるのはこのためです。縁起が悪いので、賀詞や本文はインクがたっぷり入った状態ではっきり書くようにしましょう。
上司へ出す場合
謹賀新年
旧年中はお世話になりありがとうございました
本年も幸い多き年となりますようお祈り申し上げます
今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします
令和○○年 正月
取引先へ出す場合
謹賀新年
旧年中は格別のご厚情にあずかり誠にありがとうございます
本年もかわらぬご愛顧をいただきますようよろしくお願いいたします
皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます
令和○○年 元旦
目上の方に二文字の賀詞はNG
年賀状の賀詞というと、「賀正」・「迎春」・「賀春」など二文字のものを思い浮かべる方も多いかもしれません。また、「寿」などの一文字の賀詞を見かけた方もいるでしょう。
実は正式な賀詞は四文字で書くとされていて、二文字や一文字は略した形になります。略された賀詞には敬意を表す字が入りません。したがって、目上の方に出す場合には敬意が含まれる字句を入れて、略さない形の四文字の賀詞がふさわしいでしょう。
「謹賀新年」以外の四文字の賀詞
「謹賀新年」以外の、敬意を含んだ四文字の賀詞を紹介します。「謹」を「恭」に変えると分かりやすいです。「恭」の字義は、「相手を敬い、行儀正しく丁寧に接する」・「行儀正しい振る舞いをする」です。
以下の例は相手への敬意を示すことができるため、「謹賀新年」と同じように目上の方に向けた年賀状の賀詞に使えます。
【四文字の賀詞の例】
- 恭賀新年(きょうがしんねん)…うやうやしく新年をお祝い申し上げます
- 恭賀新春(きょうがしんしゅん)…うやうやしく新しい年をお祝い申し上げます
「謹賀新年」に代わる文章の賀詞
「謹賀新年」に代えて、文章の賀詞を使うこともできます。「恭しく」と入れるとやや大げさな雰囲気になるため、「謹んで」が使いやすいでしょう。
【文章での賀詞の例】
- 謹んで新春のお慶びを申し上げます
- 謹んで新年のご祝いを申し上げます
年賀状が出せない時は
喪中に年賀状が着いて返礼を出さなくてはいけなかったり、お正月中に帰省などをしていて相手に年賀状が出せなかったりした場合は、松の内(1月1日~1月7日)を過ぎてから挨拶状を出します。
賀詞の代わりに「寒中お見舞い申し上げます」と書いて、寒中お見舞いとして相手に出しましょう。小寒~大寒(1月5日頃~節分まで)の時期に出すので寒中見舞いといいます。目上の方に出しても失礼には当たりません。