「貧乏舌」の読み方
「貧乏舌」の読み方は「びんぼうじた」です。「した」ではなく、濁って「じた」になります。アクセントは後半に置きます。
「貧乏舌」の意味
1.高価な食べ物が苦手
「貧乏舌」の1つ目の意味は、高価な食べ物が苦手というものです。高級なものほどかえって美味しくないと感じてしまう味覚の持ち主です。
貧乏な人は高級食品をめったに食べませんよね。普段から質素な食生活をしているために高価な食べ物に慣れていない。食べなれていないからその美味しさがわからない。だから高価な食品を美味しいと思えないということになります。
また、貧乏には粗末で貧弱という意味もあります。こちらの意味で解釈した場合、美味しいものを楽しめるだけの能力を持ち合わせていない貧弱な舌、という意味になります。
2.不味いと感じることがない
「貧乏舌」の2つ目の意味は、不味いと感じることがないというものです。食べ物の味がよくわかる人なら美味しいものと不味いものを区別することができます。
本当に美味しいものを知っているからこそ、味が悪ければ満足できないこともあるでしょう。蛇の道は蛇といったところでしょうか。
その点、評価基準の低い人は何を食べても満足できます。美味しさのハードルが低いので、大抵のものが美味しいと感じられます。
何を食べても美味しいならわざわざ高価なものを選ばなくても、安いものでもいいですよね。食に関してお金のかからない舌なので、「貧乏舌」というわけです。
「貧乏舌」の使い方
- 貧乏舌なもので、ウニは苦手なのです。
- まあ姉さんは貧乏舌だからね。口に余るものはないんじゃないかな。
- ファーストフードのから揚げが一番おいしいなんて、貧乏舌なやつだと父に笑われた。
「貧乏舌」は自分や身内に関して、へりくだる時や、内輪のジョークとして使う言葉です。よその人に対して「あの人は貧乏舌だ」などと使う場合には悪口になってしまいます。
「貧乏舌」の類似表現
馬鹿舌
「貧乏舌」の類義語に「馬鹿舌(ばかじた)」があります。何を食べても美味しいと感じ、不味いと思うことがあまりないという意味で、「貧乏舌」の2つ目の意味と同じです。
「馬鹿舌」の由来は、「馬鹿になる」という慣用句です。意味は正常な機能が失われること。期待されるような味覚が失われ、味の良し悪しがわからなくなっているという意味ですね。
舌馬鹿
「馬鹿舌」によく似た言葉に「舌馬鹿(したばか)」があります。「舌馬鹿」も「馬鹿舌」と同じく「馬鹿になる」に由来する言葉ですが、ニュアンスは多少異なります。
「馬鹿舌」がどんな味でもOKという許容範囲の広い人であるのに対し、「舌馬鹿」は舌の正常な機能が失われ、味覚がおかしくなっている状態です。味覚障害に似たものがあります。
ただし、味覚障害とは違う、熱さや冷たさ、辛さなどで一時的に味覚がマヒしているという意味でも使われます。
味音痴
味覚が鈍く、味の良し悪しがわからないことは「味音痴(あじおんち)」ともいいます。方向感覚が鈍く、道に迷いやすい人を「方向音痴」と言いますが、その味覚バージョンだと思っていただければ大丈夫です。
「味音痴」の意味は「馬鹿舌」や「貧乏舌」の2つ目の意味と同じ。何を食べても満足できる人のことです。
「貧乏舌」の反対表現
グルメ
美味しいものが好きな人や料理の味や知識に精通している人を「グルメ」と言います。元はフランス語の「gourmet」で、お酒の目利きができる人のことでした。日本では「食通」や「美食家」とも訳されます。これらはどれも同じ意味で使われています。
舌が肥えている
「貧乏舌」には美味しさを感じることのできない貧弱な舌という意味もあるとご紹介しました。その正反対ともいえる表現が、「舌が肥えている」です。味の違いがわかる、良しあしを判断できるという意味です。
「肥える」は経験を積んで判断力が身につくという意味です。骨董品の目利きができる人や美術品の価値がわかる人を「目が肥えている」と言いますよね。あれと同じです。決して美味しいものを食べ歩いてでっぷりと太った、という意味ではありません。