覚悟とは?
「覚悟」は、大きく分けて下記の3つの意味をもつ言葉です。
- 困難を予想しつつ、それに対応する心を決めること
- あきらめ、観念すること
- 仏教用語で悟りをひらくこと
困難に対応する「覚悟」の意味と使い方
「覚悟」には、ネガティブな状況への心の用意と、その対応への決意という意味があります。仕事、人間関係、日々の生活など、様々な困難があります。そういった困難を越えて行動しようという決意が、「覚悟」です。
この意味での「覚悟」は、背景となるネガティブな状況を諦めてしまうのではなく、はっきりと意識したうえで行動に臨むというポジティブな心の動きを含みます。
【例文】
- ここまで問題がこじれたら、捨て身の覚悟で向き合うしかないな。
- 彼には放浪癖があるけれど、苦労や心配も覚悟の上で結婚するつもりなの。
- 一年の浪人は覚悟して、最難関のA大学受験を決めたよ。
観念する「覚悟」の意味と使い方
この場合の「覚悟」は、困難や辛い状況をもはや避けられないものと知る諦めです。困難に対応する「覚悟」とは異なり、その時点で困難や辛さを引き受ける心の動きです。「受け入れる」という言葉で置き換えることもできます。
【例文】
- 営業成績が常に振るわないうえに、仕事上のミスも重ねた彼は、リストラを覚悟した。
- 逃走した犯人は、乗った車をガードレールにぶつけ、もはやこれまでと覚悟した。
- テロリストは、爆弾を身に着け、自爆覚悟でビルの中に入っていった。
悟る「覚悟」の意味と使い方
「覚悟」には悟りの意味もあります。「覚悟」を理解するために、語源から解説してまいりましょう。そもそも、「覚」と「悟」の両方が、悟りという意味をもつ言葉なのです。
仏教上の「覚」は、目覚めという言葉にも通じます。様々な煩悩や執着などの迷妄から覚めることを意味します。「悟」は、真理を悟るという意味です。
このような深淵な意味をもつ文字を二つ重ねた「覚悟」は、「涅槃」や「解脱」とも同義の言葉です。仏教用語のため。この意味での「覚悟」が一般的な会話や文章に登場することは、ほぼありません。
【例文】
- 仏陀は、覚悟に達した聖者だ。
「覚悟」の類語
困難に対応する「覚悟」の類語:腹を括る・腹を決める・腹を固める・決心する・決断・一念発起・心積もり
観念する「覚悟」の類語:諦観・諦め・諦念・観念・天命に従う・まな板の上の鯉・お手上げ
悟る「覚悟」の類語:涅槃・解脱・悟り・菩提・大悟・ニルヴァーナ(サンスクリット語)
「覚悟」の英語は?
困難な状況に対応する
困難や状況に対応するという意味の英単語は「preparation」です。その語源は動詞の「prepare」。事前に心がまえをする、心の準備をする、という基本的な意味をもつ動詞です。「be prepared to~」という用法で、~の覚悟をする、という意味にもなります。
【例文】
- I completed my mental preparation for the divorce.(私は、離婚への覚悟を固めました)
- I'm prepared enough to fight with him.(彼と戦う覚悟は、しっかりできているよ)
決意や決断
決意や決断を表す「resolution」や「determination」が、覚悟の意味で用いられることもあります。
【例文】
- It takes a great deal of resolution to give up smoking.(禁煙にはおおきな覚悟が必要だ)
- He shows us a look of determination for the election.(彼は、選挙への覚悟の表情を見せた)
諦める
諦めるという意味の英単語としては、「give up」が挙げられます。しかし、「覚悟」の背景には「悟り」があるので、「let it go」や「let it be」などが、より意味に添うでしょう。流れに任せる、なるようになるという意味です。
【例文】
- I let it go at this poit.(この時点では、もう覚悟したよ)