「紹介」の意味
「紹介」は、二つの意味をもつ言葉です。一つ目は、知らない人と人の間のなかだちをして、それぞれを引き合わせること。二つ目は、まだ知られていない物事を、世間に広く教え伝えることです。
1.「人と人を引き合わせること」
人の「紹介」とは、「自己紹介」や「人材紹介」のように、ある人の人となりを他に伝えて橋渡しすることです。人を紹介するシーンごとの例文は、追ってご紹介します。
2.「物事を広く伝えること」
物事の「紹介」とは、この『コトバの意味辞典』が言葉の意味や使い方をご紹介しているように、ある物事についての情報を、人々や世間に広く伝えることです。
現代社会では、ありとあらゆる情報の提供が溢れていますが、広義で解釈すれば、そのようなものもすべて「紹介」と言えるでしょう。
「紹介」の使い方
「紹介」は、「会社紹介・自己紹介・紹介文・紹介サイト」のように名詞として用いらるほかに、「紹介する」「紹介される」のように使います。また、それぞれ「ご紹介する・ご紹介させていただく」「ご紹介いただく・ご紹介に預かる」のような丁寧表現があります。
「紹介(人と人を引き合わせる)」の使い方
- ご紹介が遅れました。こちらが私の上司の○○です。
- 今度は家に来いよ。家族を紹介するよ。
- ゲスト講師の先生をご紹介させていただきます。
- 検査のために新しい病院を紹介された。
- ただいまご紹介に預かりました○○です。
「紹介(物事を広く伝える)」の使い方
- 2020年の東京オリンピックに向けて、世界に対する日本文化の紹介が、益々熱を帯びてきた。
- 今度のプレゼンで新商品を紹介する役を仰せつかった。
- ○○市におけるゴミ問題への取り組みをご紹介させていただきます。
- 来月に出る雑誌でこの店が紹介されることになった。
- 執筆依頼したいのは、地元の祭りを20〜30代の女性に向けてご紹介いただく記事です。
「自己紹介」とは
「自己紹介」とは、初対面の人や読み手などに、言葉や文章で自分がどのような者であるかを説明することです。
基本的には、名前や年齢、出身地、所属(学校・会社名)などのプロフィールを述べます。その状況によって内容を変える必要はありますが、趣味などを加えると親しみのある紹介となるでしょう。
わきまえるべき点は、自己紹介と自己PRを混同しないこと。自己紹介は、基本的なプロフィールを簡潔にまとめたものが好もしく、就活などでの自己PRは、詳細で積極的な自身の情報提供が必要とされます。
人を「紹介」する場面の会話例
人を対象とした「紹介」には、様々な状況があります。年齢や役職、身内や他者など、異なる立場の人々のいろいろなシーンに応じて、「紹介」の使い方を挙げてみましょう。
基本的には、年下、目下、身内を先に紹介し、年上、目上、敬意を払うべき人はそのあと、と覚えておきましょう。いざという時に慌てずにすみます。
身内を紹介するシーン
身内を紹介するシーンにおいては、身内から先に紹介します。次の例は、「私」が、身内(妹の洋子)を旧知の人(恵子)を紹介するところです。
(私)
恵子さん、ご紹介します。妹の洋子、まだ駆け出しの美容師です。
洋子、こちらは中村恵子さん。中学の同級生だけど、いまやすごいデザイナーさんだよ。
部下を他部署の上役に紹介するシーン
部下を同じ会社の他部署の上役に紹介するシーンにおいては、年少者、役職の低いほうを先に紹介します。次の例は、「私」が、自分の部下(鈴木)を他部署の上役(山田部長)に紹介するところです。
(私)
山田さん、部下の鈴木正雄を紹介させて頂きます。
鈴木、こちらは広報部の山田雄二部長。これからいろいろお世話になる方だよ。
自社の人を他社の人に紹介するシーン
自社の人を社外の人に紹介するシーンにおいては、社内の人を先に紹介します。次の例は、「私」が、自社の人(前田)を社外の人(大平課長)に紹介するところです。
(私)
大平さん、当社企画課の前田昭を紹介します。
前田君、こちらはゴールド社の大平営業課長です。
「紹介」の類語
人と人を引き合わせるという意味の「紹介」を言い換える言葉には、「仲立ち」「引き合わせ」「顔つなぎ」「橋渡し」「取り持ち」などが挙げられます。また、「案内」や「説明」は、物事を広く伝えるという意味の「紹介」を言い換えられる言葉です。
「紹介」と似た意味ですが少しニュアンスが異なる言葉には、次のような言葉があります。
「斡旋」
「斡旋(あっせん)」の意味は、人と人、または人と物事の間に入り、双方がうまくいくように取り計らうことです。「紹介」は、人と人を引き合わせたり、物事を知らせるという意味しかありませんから、斡旋の方がより手厚いフォローをする場合に用いると考えられます。
「仲裁」・「仲介」
「仲裁」とは、争っている人と人の間に入り、仲直りさせること。「仲介」は、当事者二者の間に入って、その目的の便宜をはかり、とりまとめることを意味します。
人と人の間に立つことは「紹介」と同じですが、「仲裁」にも「仲介」にもそこから先に、プラスアルファの行為が加わります。
「紹介状」とは
一般的な紹介状
「紹介状」とは、ある人(A)が、面識のない先方(B)にコンタクトを取りたい時、仲立ちをする人が作成する「AのことをBに紹介する書状」のことです。仲立ち人は、先方にとって面識や信頼がある存在でこそ、その役割を担うことが可能となります。
医師が書く紹介状
もう一つの、重要な「紹介状」は、医師が自らの患者を別の医師に紹介する際の書状です。正式には「医療情報提供書」と呼ばれています。
他院でより専門的な治療が必要な時や、患者がセカンド・オピニオンを求める時などに、現担当医が患者の症状・治療や投薬の状況などを記載します。