「緒」の漢字の意味
「緒」という漢字は、糸という漢字から多くの意味をもちます。はじまりを示す可能性を感じさせる文字です。
- いとぐち(例:端緒、緒言)
- きっかけ、はじまり、発端、起こり(例:由緒)
- 残り、あまり(例:緒余)
- 心、気持ち、感情(例:情緒)
- 繊維をよった細長い線状のもの、糸、ひも(例:堪忍袋の緒)
- 草履の足にかける紐(例:鼻緒)
- 楽器に張る糸(例:音緒、調緒)
- 長く続くこと(例:年の緒)
- 魂をつなぐもの、命、生命(例:玉の緒)
「緒」の漢字の成り立ち
「緒」という漢字は、より糸の象形である「糸」と、台上に燃料を集めて火を焚く象形の「者」で成り立っています。
「者」は「集める」という意味合いを持つことから、糸を集めて結び止めた部分を「糸の先端」として表したのが始まりです。
「糸の先端」は糸が伸びる始まりの部分であることから、「きっかけ、はじまり」という意味が生まれ、さらにそこから、「心境の変化や考えの始まり→心、気持ち」という意味が派生しました。
また糸や紐という意味から、「長く続くもの」をさすようになり、「命、生命」という意味でも使われています。
「緒」を含む表現
堪忍袋の緒が切れる
「堪忍袋」とは我慢のできる量を袋にたとえていう言葉です。ここでいう「緒」とは袋を縛る糸や紐のことをさし、「堪忍袋の緒が切れる」ということは、袋を縛っていた紐は切れて怒りが飛び出すことを表しています。つまりは、我慢が限界を超えて、怒りが爆発するという意味の言葉です。
【使用例】
- 彼の態度があまりにひどいので、堪忍袋の緒が切れてしまった。
- 母は堪忍袋の緒が切れたかのように怒鳴っていた。
由緒
物事の起こりや長い歴史を経て作りあげられた格式のことを「由緒」といいます。ここでいう「緒」は事のはじまりを意味しています。
【使用例】
- 神社の由緒をたずねる。
- 彼は由緒のある家柄の生まれだ。
- これは由緒正しい骨董品さ。
緒に就く
「緒に就く(しょにつく)」とは、物事に取り掛かること、見通しがついて順調に軌道に乗り出すことを表します。ここでいう「緒」は「いとぐち」を意味しています。
【使用例】
- 新しい事業は緒に就いたばかりだ。
- 私たちが始めた運動がようやく緒に就いた。
「緒」がつく名前
まずは人名としての「緒」の、基本的な情報をおさえておきましょう。
- 画数:14画
- 音読み:しょ、ちょ
- 訓読み:お
- 名のり:つぐ
- 意味:糸口、物事のつながり
名前に使われる「緒」の意味
近年、「お」がつく男の子の名前は人気が低下してきていますが、代わりに「奈緒」、「莉緒」など「お」がつく女の子の名前は増えてきています。
「お」を使う場合、「緒」「央」「桜」を当てる場合が多いようです。「緒」は画数も多く、存在感があるので少画数のすっきりとした文字と合わせることが好まれています。
漢字の意味から「他人に対して様々なきっかけを起こせる人。」「糸は人と人をつなぐ。」といった人と人との橋渡しができるような人間になってほしいといった思いが込められた漢字です。
心を表す漢字なので、優しさを表す意味合いも持ちます。また、「由緒」「情緒」など和風で品のあるイメージも強いので、人名にとても人気のある漢字です。
「緒」の名付け例
【名前例】
- 理緒人(りおと)
- 衣緒(いお)
- 沙緒里(さおり)
- 真緒(まお)
- 奈緒(なお)
- 菜々緒(ななお)
- 里緒奈(りおな)