「尻すぼみ」とは
「尻すぼみ」は「尻すぼまり」とも言い、大きく2種類の意味をもつ言葉です。
- 口の方が広く、底の方が小さくなっている形のこと。
- 始めはよかった勢いが後半には弱くなること。
1つ目の意味は、ツボやビンなどの形について使われます。容器の上の方がとても大きく開いているのに対し、液体がたまる底の方が狭くなっている形のことを指します。カクテルグラスのような形や、さかさまになったピラミッドのような形です。
もう1つは、勢いの変化です。株価の上昇や台風の強さ、人気などに使われます。最初の頃は調子が良かったり、急激に伸びていたにもかかわらず、時間が経つとその力や勢いが衰えてしまうことを言います。
頭でっかち尻つぼみ
「頭でっかち尻すぼみ」は最初の頃は良かった勢いが、どんどん弱くなって最後にはからきしダメになってしまうという意味のことわざです。頭とは最初のことで、尻が最後のことです。頭だけ大きく、尻が小さいことを指します。
「尻すぼみ」の使い方
- 底が尻すぼみになった花瓶をもらった。
- 予報では超大型と言われていた台風も尻すぼみに衰え、上陸前に温帯低気圧に変わってしまった。
- 鳴り物入りで登場した新製品も、結局は尻すぼみに終わった。
「尻すぼみ」の類義語
右肩下がり、下り坂
「右肩下がり」とは後半に行けば行くほど状況が悪くなることです。元々は折れ線グラフに由来する言葉です。
縦軸に成果や売り上げを、横軸に時間をとったグラフの場合、時間経過で状況が悪くなるとグラフが右に落ちていきます。ここから、状況が悪化していくという意味で使われます。逆に良くなっていくことは「右肩上がり」といいます。
ちなみにネクタイの「右肩上がり」は英国式のレジメンタル・ストライプを指します。一方「右肩下がり」はそれをアレンジした合衆国式のものです。これらの由来はグラフとは無関係ですが、日本ではゲン担ぎで「右肩上がり」のものを好む人もいます。
竜頭蛇尾
「竜頭蛇尾(りゅうとうだび)」は「尻すぼみ」と同じくはじめの頃にはよかった勢いが終盤には弱まることです。頭は竜のように立派なのに、尻尾は蛇のように弱弱しいという意味です。出典は『五灯会元(ごとうえげん)』という中国の仏教の歴史書です。
斜陽
「斜陽」は反映していたものや力を持っていたものが衰退していくことです。太陽が傾いていくという意味もあり、落日や夕暮れなどの日没を表す言葉も同じような意味で使われることがあります。
太宰治の『斜陽』に見られるように、時代の変化による没落を表すことの多い言葉です。需要が減ってきている産業を斜陽産業、没落した貴族を斜陽族と呼びます。
「尻すぼみ」の対義語
徹頭徹尾
「徹頭徹尾」は始めから終わりまで、あるいは一つの立場を貫き通すという意味の言葉です。頭から尻尾まで貫き通すという意味の言葉で、『朱子全書』に由来します。
「尻すぼみ」や「竜頭蛇尾」が最初の勢いを維持できないのに対し、「徹頭徹尾」は最後まで変わらない場合に使われます。
終始一貫
「終始一貫」も「徹頭徹尾」と同じく、最初から最後までずっと同じで変わることがないという意味です。
立場や考え方が変わらないことや、意志を貫くことを指します。同じ意味で「首尾一貫」や「一気通貫」「初志貫徹」も使われます。
尻上がり
「尻上がり」とは、はじめの頃はそうでもなかったが、時間が経つと徐々に頭角を現し、勢いづいていくという意味です。
後半になってから力を表すスロースターターで、はじめはよいのに後半にいまひとつ振るわない「尻すぼみ」とはちょうど反対の言葉になります。