「運営」の基本的な意味
「運営」は「組織の機能を内側から動かし、仕事を進めていく」という意味です。「運営」だけなら名詞として扱いますが、「運営する」といった場合は動詞として扱います。
名詞としての「運営」は、本来は「運営すること」を意味していますが、近年では「運営者」「運営側」という意味も含まれています。
「運営」の例文
- イベントを実施するにあたり、運営委員会を設立する。
- 運営と管理が重要です。
- この団体の運営母体は自治体です。
- 運営側の責任を問う。
- 運営がそんなこと言っちゃだめだよ~。
- 運営さん、対応してくれ
- 運営の手のひらで踊らされている
例文のうち、4~7は「運営者」「運営側」という意味で「運営」という言葉が使われています。
「運営」の語源
現在、日本語で使っている漢字二文字の熟語の多くは、明治時代になって英語を翻訳して誕生したものが多く、「運営」も"management","administration","operation"といった英語を翻訳して生まれた可能性が高いです。
漢字ごとに意味を見ていくと、「運」には「運ぶ・動かす」という意味があり、「営」には「営む」という意味があります。いわゆる「マネージメント」を意味する日本語を作るにあたり、物事を動かすという意味の「運」と、組織を営むという意味の「営」の字をあてたと思われます。
「運営」の類義語
経営
「運営」に近い意味の言葉としてよく使われるのが「経営」です。実際、「経営」の意味は「事業を運営していくこと」なので、「経営」は「運営」の一つの形であるともいえます。
「事業」とは経済活動、すなわち、お金を稼ぐことを意味します。そのため、「経営」は「お店や会社など、お金を稼ぐための組織を、経済の面で運営していくこと」を意味します。そのため、組織のもっとも大きな目的がお金か否かで、「運営」か「経営」かが分かれます。
なので、たとえば学校の文化祭の場合、お金を稼ぐことはあっても基本的には収支を度外視したイベントですので、「経営」とは言わず「運営」を使います。
また、アイドルグループの場合、プロデュース面を「運営」と呼びますが、それを経済的に支える芸能事務所やレコード会社、イベント会社などに対しては「経営」をあてはめます。
管理
「管理」も「運営」に近い言葉としてしばしば使われますが、「管理」は「モノを使える状態のまま維持していくこと」を意味します。したがって管理の対象となるものは、基本的には大きく変化せず、そのままの形で管理されます。
一方、「運営」は先ほど見た通り「仕事を進めていく」という意味がありますので、運営の対象となるものはそのままの姿・形ではなく、そこから変化・発展していきます。
「管理」は現状維持の意味合いが大きいため、その組織において大きな権限を与えられている「運営者」と違い、「管理者」「管理人」は外部委託などで、大きな権限を与えられていないことが多いです。
運用
「運用」も「運営」の類義語として使われています。「運用」は「モノをうまく働かせること」。「運営」が組織、つまりは人の集まりに対して使うのに対し、「運用」は道具やお金、システムなどの「モノ」に対して使われます。
「運営」の意味が変わってきた?
「運営」は組織に対して使う言葉で、本来はモノには使いません。ところが、近年ではイベントやアイドルグループ、スマホのゲームなど、コンテンツやプロジェクトを取り仕切る人たちに対しても「運営」という言葉が使われています。
「イベントの運営」といった場合、本来は「イベントを取り仕切る人たちの組織(実行委員会という名称が多い)を運営する」という意味だったはずですが、そこから転じて、「イベントそのものを運営する」という意味に変わっていきました。
さらに、「アイドルグループを運営する」「ゲームの運営側」というように、組織以外にもプロジェクトやコンテンツに対しても使われるような言葉へと変化します。
派生した「運営」の意味
イベント、アイドル、ゲーム。これらは「人を集めて楽しむもの」です。イベントでは参加者を募ります。アイドルもファンを集めてライブやイベント開催しますし、スマホのゲームはゲームソフトを購入してもらうのではなく、仮想空間上に作ったゲームの空間にプレーヤーを集めることでゲームが成り立ちます。
このように、近年では、「運営」という言葉に「人を集めて楽しませるプロジェクト・コンテンツを取り仕切ること、もしくは、取り仕切る人たちの総称」という意味が追加されているのです。
「運営」まとめ
もともとの「運営」は「組織を取り仕切る」という意味だったので、日常的に使う言葉ではありませんでした。ですが、アイドルやゲームを取り仕切ることに対しても使われるようになり、使用機会が非常に増えました。
このようなコンテンツの隆盛に伴い、「運営」という言葉の意味もまた、どんどん変化していくのかもしれません。