「声」とは?
「声(こえ)」には、主に次の5つの意味があります。
- 発声器官や物が振動する音。(人や動物が発声器官を使って出す音・虫が羽や足をこすり合わせて出す音・物がぶつかるなど振動して発する音)
- 語調。言葉の発し方。アクセント。
- 神仏などが人に告げる言葉。
- 人々の考え・意見。風評。うわさ。
- 気配。
「声」は、音声学用語においては「有声音」を指します。また、古くは「漢字の訓に対しての音(おん)」という意味でも用いられた言葉です。
声①「発声器官や物が振動する音」の例と類語
人や動物が発声器官を使って出す音
「声」を「人や動物の発声器官を空気が通ることによって出る音」という意味で用いる時は、「向こうから子供の声が聞こえる。」「犬の鳴く声で目が覚めた。」のように使われます。
【類語】
- ボイス(voice):声。音声。
- 音声(おんせい・おんじょう):人間が音声器官を通じて発する音。
- 音吐(おんと):声、または、声の出し方。
- 「ワンワン」「ニャーニャー」など鳴き声の擬音語
虫が羽や足をこすり合わせて出す音
「声」は「(セミやスズムシのように)虫が羽や足をこすり合わせて出す音」を指すこともあり、「虫の声に秋の訪れを感じる。」のように用います。
【類語】
- 蝉の音(せみのね):アブラゼミやヒグラシなど蝉が発する音。
- 虫の音(むしのね):スズムシやクツワムシなど秋に鳴く虫が発する音。
- 「ジージー」「リーンリーン」など虫が発する音を表す擬音語
物がぶつかるなど振動して発する音
「物がぶつかったり、すれたり、落ちたりするときに振動して発する音」という意味で「声」を用いるときは、「遠くの鐘の声に風情を感じる。」「この場所では風の声しか聞こえない。」のように使用します。
【類語】
- 響き(ひびき): 音や声が広く周囲に伝わって聞こえること。
- 音色(ねいろ・おんしょく):楽器や人の声など発音体に特有な音の感じ・色あい。
- 「ゴーン」「キーン」など物が当たったり擦れたりして発生する音の擬音語
声②「語調」の例と類語
「声」という言葉を「語調」「声の様子」を表すときに用いるには、「猫撫で声」「美声」のように他の言葉と合わせた熟語として使ったり、「声が荒くなる」「声をひそめる」などのように使います。
【類語】
- 声音(こわね):声の音色や調子。
- 声色(こわいろ・せいしょく):声の音色や調子。物を言うときの声や顔色、態度。
- 声付き(こえつき・こわつき):声の様子。
- 「ひそひそ」「ぶつぶつ」など話し方を表す擬態語
- 「悲鳴」「雄叫び」など発声に関わる言葉
声③「神仏などが人に告げる言葉」の例と類語
「声」には「神仏などが人に告げる言葉」という意味もあり、「彼は神の声を聞いた。」「天の声に従って仏門に入った。」のように用いられます。
【類語】
- 神意(しんい):神の心。
- 御心(おこころ・みこころ):相手を敬って、その「気持ち」や「考え」を指す。
- 神託(しんたく):神のお告げ。
- 思し召し・思召(おぼしめし):お考え。ご意向。
- 予言:未来の物事を予測して言うこと。
- 黙示(もくし・もくじ):隠された真理を示すこと。啓示。
声④「人の意見や噂」の例と類語
「人々の意見」や「噂」という意味で「声」を用いる場合は、「読者の声」「政府を非難する声が高まる」などのように使用します。
【類語】
- オピニオン(opinion):意見。見解。世論。
- サジェスチョン(suggestion):示唆。暗示。
- 申し立て:言い分。
- 思想:考え。意見。
- 思考:考えること。
声⑤「気配」の例と類語
「気配」や「年月や季節のそれとわかる感じ」をいう意味で「声」を用いる場合は、「師走の声を聞く」「50の声を聞く」のように「〜の声を聞く」という形で用いられます。
【類語】
- 兆候・徴候(ちょうこう):物事が起こる前触れ。きざし。
- サイン(sign):合図。暗号。神や自然から人間への「しるし」。
- 感触:物事の雰囲気などからそれとなく受ける感じ。印象。