「瞠目」とは?意味や使い方をご紹介

みなさんは「瞠目」の読み方や意味をご存知ですか?「瞠目」は「どうもく」と読み、「驚いて目を見張る」という意味です。日常会話にはあまり登場しませんが、SNSなどでは時々使われていますので、今回は、この「瞠目」について解説します。

目次

  1. 「瞠目」とは?
  2. 「瞠目」の類語・対義語
  3. 「刮目」と「瞑目」
  4. 四字熟語「瞠目結舌」

「瞠目」とは?

「瞠目」の意味

「瞠目(どうもく)」とは、「驚いたり感心したりして、目を見張ること」を表す言葉です。「瞠」という漢字には「目を見張る」、「見つめる」という意味があり、音読みでは「トウ」または「ドウ」、訓読みでは「みは(る)」または「みつ(める)」と読みます。

「瞠目」の使い方

「瞠目」は「瞠目する」というかたちで使われることが多い言葉で、嬉しい驚きや感心したポジティブな場合にも、呆れたりショックを受けたなどのネガティブな場合にも使用されます。

  • 「彼女の作品は瞠目に値する。」
  • 「惨憺たる結果に瞠目して言葉を失った。」

「瞠目」の用例

【宮本百合子『山の彼方は―常識とはどういうものだろう―』】
昭和初期の小説家、評論家である宮本百合子が『婦人画報』にて発表した文章において、清少納言を例に出している箇所で、清少納言の描写の鮮やかさや独特な着眼点などに感心する場面で「瞠目」を用いています。
 

他の人が絵にも歌にもしていない色彩のとり合せや、日常瑣事の風情に眼をつけていて、色彩の感覚などは今日の洋画の色感でさえ瞠目させられるようなものもある。

【太宰治『新ハムレット』】
『新ハムレット』は、太宰治による戯曲風の小説で、シェイクスピアの『ハムレット』のパロディです。先王殺しの疑いがある王の反応を見るために、ハムレットたちが王殺しに似た状況の朗読劇を演じることになった第7幕、ハムレットがみんなに注目されたいと思っているのに、才能も勇気もないと嘆いている場面で「瞠目」が用いられています。

世界中の人間に、しんから敬服されたいものだ、僕の俊敏の頭脳と、卓抜の手腕と、厳酷の人格を時折ちらと見せて、あらゆる人間に瞠目させたい等と頬杖ついて、うっとり思案してもみるのだが、さて、僕には、何も出来ない。

「瞠目」の類語・対義語

「瞠目」の類語

「瞠目」を言い換える類語表現には次のような言葉があります。

  • 「(驚いて)目を丸くする」
  • 「感服する」
  • 「驚くべき」
  • 「ものすごい」
  • 「尋常ではない」

「瞠目」の対義語

「瞠目」の逆の意味は「驚きに値しない」、「見るほどのことはない」ということなので、「瞠目」の対義語には、次のような言葉が挙げられます。

  • 「平凡な」
  • 「取るに足りない」
  • 「お粗末な」
  • 「くだらない」
  • 「ありきたりな」

「刮目」と「瞑目」

「刮目」

「刮目(かつもく)」とは、「目をこすってよく見ること」、「注意して見ること」を意味する言葉です。「刮」という漢字には、「けずる」、「えぐる」、「こそげる」、「こする」という意味があります。

注意深く見るために、目をこすった後に目を見開くことはあるかもしれませんが、驚いた結果として目を見開く「瞠目」とは意味が異なります。

ただし、「瞠目に値する」と、「刮目に値する」は、ともに「驚きに値する」ことを表しますので、この用法においては同義と言えるでしょう。

「瞑目」

「瞑目(めいもく)」とは、「(瞑想などのために)目を閉じる」、「目をつぶる」、または「安らかに死ぬ」、「永眠する」という意味の言葉です。「瞑」という漢字には、「目をつぶる」、「死ぬ」、「暗くてよく見えない」、「眠る」という意味があります。

動作だけに焦点を当てれば、「目を閉じる」は「目を見張る」とは正反対ですが、「瞠目(驚いて目を見張る)」の対義語となるのは「驚きも感動もないので表情も変わらない」というニュアンスの言葉ですので、「瞑目」は「瞠目」の対義語とはいえません。

四字熟語「瞠目結舌」

「瞠目結舌」の意味

「瞠目結舌(どうもくけつぜつ)」とは、「激しく驚いて呆れること」を表す四文字熟語です。「結舌」は、「舌を結ぶ」から転じて「舌が動かなくなって、声も出ない様子」を表しています。

[使用例]

  • 彼女は、突然の父親の訃報を受けて瞠目結舌して立ち尽くしていた。

「瞠目結舌」の類語

「瞠目結舌」と意味が似ている四字熟語には、次のような言葉があります。

大驚失色(たいきょうしっしょく)
「激しく驚き恐れるあまり、青ざめること」を表す言葉です。「大驚」は「激しく驚くこと」、「失色」は「顔から血の気が引いて顔色を失うこと」を表しています。
[使用例]

  • 判決を聞いた被告は大驚失色の様相でした。

茫然自失(ぼうぜんじしつ)
「予想外のことに、気が抜けて我を忘れること」を表す言葉です。「茫然」は「予想外のことに、ぼんやりすること」、「自失」は「放心してぼんやりすること」を指しています。
[使用例]
  • 驚きのあまり茫然自失として、しばらく答えることができなかった。

呆然自失(ぼうぜんじしつ)
「呆然自失」の別表記。


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