「嘆息」の読み方
「嘆息」は、「たんそく」と読みます。「嘆」は音読みで「タン」、訓読みで「なげく」と読みます。「息」は日常的によく使われる字ですが、音読みで「ソク」、訓読みで「いき」ですね。「嘆」も、訓読みの「なげく」という使い方で、新聞や小説などに登場することがあります。
「嘆息」の意味
「嘆息」とは、「落ち込んだり嘆いたりするときに出るため息」という意味です。また、「嘆息する」と動詞にすると、そのため息をつくという意味になります。先ほどご紹介した文字ごとの意味とあわせて考えると、とても深い落ち込みや悲しみを指していると言えます。ただガッカリしているのではなく、より深刻な状態のときに使う言葉です。
余談ですが、字がよく似ている「喘息」は「ぜんそく」と読み、気管支などの病気のことで、嘆息とは全くの別物です。もちろん、「嘆息」が「喘息」の症状の一つ、ということもないので、混同しないように気をつけてください。
「ため息」と「嘆息」の違い
先ほどご紹介したように、「嘆息」という言葉それ自体に、ため息やため息をつくという意味が含まれています。では、単なる「ため息」と「嘆息」の違いはどこにあるのでしょうか。
「ため息」とは
「ため息」という言葉にも、落ち込んだ時に吐く息という意味があります。日常生活の中でため息をつく場面といえば、まず嫌なことがあったとき、落ち込んだときなどが思い浮かぶのではないでしょうか。
しかし、それ以外にもため息をつく場面があります。
何かに感心したとき、心を動かす出来事があったときなどにつくのも「ため息」です。ネガティブな感情の現れと思われがちですが、実はこうしたポジティブな意味でも「ため息」を使うことができます。「嘆息」はネガティブな場面や感情にしか使われませんので、この点がまず両者の大きな違いです。
「嘆息」と「ため息」の差
「ため息」には「嘆息」にはない意味もありますが、ネガティブな意味を持つという点では同じです。では、その場合の使い分け方はあるのでしょうか。
一般的に、「嘆息」のほうが「ため息」よりも強い落ち込みや悲しみを指しています。涙が出るくらい失望した、深い嘆きを表すときには「嘆息」のほうが相応しいでしょう。また、違いを知って使い分けることで、その時の嘆きぶりを際立たせることもできますね。ただの「ため息」ではなく、もっと深い「嘆息」と表現すれば、受け手の印象も違ったものになるでしょう。
「嘆息」の使い方
ここまで「嘆息」の意味や「ため息」との違いについてご紹介してきましたが、使い方や例文についてもいくつかご紹介します。
「嘆息」は単体ではなく、「嘆息する」や「嘆息をもらす」といった形で、動詞として使われることが多い言葉です。ただし「ため息をつく」という言い方はありますが、「嘆息をつく」という言い方はあまりしないので、気をつけましょう。嘆息を使った例文には、以下のようなものがあります。
- 運のなさに思わず、天を仰いで嘆息した。
- 不合格の通知を受け取り、嘆息をもらした。
- 私は嘆息まじりに彼のほうを見た。
「ため息」に言い換えられる使い方もありますが、「嘆息」とすることで、文章全体がやや文語的な印象を持つようになります。少し固い表現ではありますが、先ほどご紹介した「ため息」との意味の違いも踏まえて使い分けると、表現の幅が広がると思います。
「嘆息」のまとめ
いかがでしたでしょうか。今回は「嘆息」という言葉の意味や使い方についてご紹介してきました。聞いたことはあっても、「ため息」との違いが今一つ分からないという方も多いかと思います。
人生の中で、「嘆息する」ような場面にはそうそう出くわしたくありませんが、万一そんな場面があったときには、「ため息」ではなく「嘆息」が出るほどの嘆きや悲しみ、という風に、自分の感情を的確に表現できるようになりたいですね。