「エンブレム」の意味
「エンブレム」は英語「emblem」を元とするカタカナ語で、以下のような意味を持っています。
- 象徴、表象
- 標章、紋章
もう少し噛み砕いて言うと、エンブレムとは「概念や人物、家柄、所属組織などを表すための、抽象的・具象的な図形」のことです。
「エンブレム」の例
私たちの身近にはさまざまなエンブレムが存在しています。たとえば高級車のボンネットについている装飾、あれもエンブレムです。
また三つ葉葵などの家紋も、家柄を表すエンブレムです。ほかには制服の左胸についている校章や、警察手帳などについている旭日章、弁護士記章にデザインされたひまわりと秤のマークもエンブレムですね。
「エンブレム」の使い方
- クラスの友達と少年探偵団を結成したので、エンブレムのデザインを考える。
- 見たことのないエンブレムだったが、どこの学校の生徒だろう。
- このエンブレムに憧れて入団を決めたようなものだ。
エンブレムの類語:ロゴ
「ロゴ」はロゴタイプの略語です。「ロゴタイプ」とは、会社名・商品名などを独特の字体・デザインで著したもののことです。
「エンブレム」が図形を表すのに対し、「ロゴタイプ」は文字や文字列を表すという違いがあります。また、「ロゴ」は対象を象徴するものではありません。
総称としての「ロゴ」
ただし現在、「ロゴ」はロゴタイプとシンボルマークの組み合わせのことを指す場合もあります。「シンボルマーク」とは、ある団体・運動などを象徴する図案のことです。
たとえばトヨタ自動車株式会社で言えば、自動車の後部などで見られる、楕円を2つ組み合わせたようなマークがシンボルマーク。シンボルマークの下にデザインされている「TOYOTA」の文字がロゴタイプです。
つまり図案の総称としての「ロゴ」を構成する要素のうち、シンボルマークがエンブレムと非常に近い意味を持っていると言えます。
エンブレムの類語:シンボル
『広辞苑』によると、「シンボル」は「言葉や感覚的形象で、その本来的意味に加えて非本来的意味を担い得るもの」と記載されています。
と言われても、何のことやらわかりませんね。「象徴」という意味合いは「エンブレム」も「シンボル」も共通しているのですが、「シンボル」の方がより具体的に対象を連想させるのです。
対象との関連性の違い
「印籠(いんろう)」を例に挙げてみましょう。印籠の本来的意味は、「薬などを入れて腰から下げる、小さな携帯用の容器」です。
それと同時に、三つ葉葵の家紋がデザインされた印籠といえば、時代劇『水戸黄門』で角さんが「静まれェい!」と言いながら取り出すアイテムであり、水戸光圀の威光の象徴です。したがって、印籠は『水戸黄門』のシンボルであると定義できます。
一方、『水戸黄門』に登場するエンブレムといえば、徳川家の家紋である三つ葉葵です。しかし『水戸黄門』と印籠ほど、徳川家と三つ葉葵は関連性が高くありません。
もちろん、知名度が高いので三つ葉葵といえば徳川家をすぐに連想するかもしれませんが、ではなぜ徳川家の家紋が三つ葉葵かと問われると、返答に窮する方もいらっしゃるのではないでしょうか。その点、なぜ『水戸黄門』のシンボルが印籠なのかは明白ですね。
このように、「エンブレム」と「シンボル」には、対象との関連性の高さに差異があるのです。
象徴とするものの違い
「エンブレム」と「シンボル」の違いは他にもあります。「エンブレム」が必ず図形を指すのに対し、「シンボル」は以下のように物や動物、人間を指す場合もあるのです。
- 大阪のシンボルは通天閣
- 国鳥であるキジは日本のシンボル
- 天皇は日本国のシンボル
エンブレムの類語:アイコン
「アイコン」は物事をわかりやすく記号化した図形のことで、特にコンピュータにおけるプログラムを図や絵に表したものをいいます。
「エンブレム」が抽象的・具象的であるのに対し、「アイコン」は対象がわかりやすく簡略化されているという違いがあります。