「タガメ女」とは
「タガメ女(たがめ・おんな)」は、東洋史の研究者で評論家、大阪大学准教授(2019年4月現在)である、深尾葉子(ふかお・ようこ)が提唱した用語(造語)です。
「タガメ」とは
「タガメ(田鼈、水爬虫)」とは、半翅目コオイムシ科タガメ属に分類される昆虫の一種で、日本最大級の水生昆虫として知られています。
非常にどう猛な肉食性で、小魚などの水生生物のみならず、カエルやカメのような小動物まで襲ってしまいます。捕食の際には、獲物に口吻(こうふん)を突き刺し、溶解液を注入して内容物を吸い取ってしまいます。
しかし一方でタガメは、水田や用水路といった人の手が入った里山で繁栄してきた生き物であるため、そうした田園風景が消えつつある昨今では生息域を大きく狭めつつあります。
「タガメ」+「女」
「〜女」という言葉は、「鬼女(きじょ)」や「干物女(ひもの・おんな)」がそうであるように、「〜によく似た女性」や「まるで〜を思わせるような性質(性格)を持つ女性」という意味になります。
そのため、「タガメ女」は「まるでタガメのような女性」という意味になります。
もちろんこれは、実際の容姿や生態の話ではなく比喩表現であり、その行動やメンタリティが「タガメ」を思わせると言う意味です。
「タガメ女」の特徴
では、「タガメ女」というのはどのような女性なのでしょうか。以下に、「タガメ女度」を計測するチェックシートを掲載します。
- 規則正しい生活を送っており、周囲から「ちゃんとしているね」と言われる
- パートナーには「○時には帰る」という「カエルコール」を義務づけている
- 相手が失敗をすると、「ほら、だから言ったでしょ」と言う
- いかに自分が日々の家事(仕事)を頑張っているかを周囲にアピールする
- 習い事に夢中になっている
- 休日は友人と会ったり、イベントが目白押しだったりで忙しい
- マンションの階層にこだわりをもっている(戸建ての場合は家の立地)
- 近所からどう見られるかにはかなり敏感だ
- スマホではなくガラケーでドコモユーザーだ
- 住宅ローンを組み、「郊外のベッドタウン」で暮らしている
- 結婚願望は強かった(強い)
- まとまったお金は投資型の運用よりも郵貯や積立保険にまわす
- アルバムが充実している
- 誕生目やクリスマスパーティなどのイベントを企画するのが好きだ
- ディズニーランドが大好き
- 女子会では「意味のない会話」を延々と続けられる
- 身近に独身のオタク男性などがいると不安になる
- 「主人は~(カレは~)」というのが口癖だ
- PTA活動(行事)では積極的に「役職」につき、懸命にこなす
- 働きながら子育てをする女性や独身女性とはあまり親しくしない
以上20項目のうち、5〜10項目当てはまると「タガメ女予備軍」、11項目以上を「タガメ女」と定義されるようです。(『日本の男を喰い尽くすタガメ女の正体』深尾葉子著、講談社、2013より引用)
日本文化と「タガメ女」
上記チェックシートを見る限り、「タガメ女」は決して珍しいタイプではなく、どこにでもいそうな類型的な女性像と感じるかもしれません。
事実、「タガメ女」は「専業主婦」や「家事手伝い」という姿で日本の社会に広く存在している女性像をユーモアを交えて描写したものだと言えます。
こうした女性たちは「ふつう」や「当たり前」、「平凡な幸せ」な言葉をうまく使って、自分の夫やパートナー(=「カエル男」)を縛りつけ、収入や社会的なリソースを吸い尽くすと言います。
「タガメ女」は男を「箍(タガ)」にはめて搾取するという意味で「箍女」でもあります。旦那を「ATM」扱いしたり、尻に敷いて全くかえりみないような「鬼嫁(おによめ)」とよく似た意味の言葉だと言えるでしょう。
「タガメ女」の使用例
- A君の結婚してからの痩せ具合を見ていると、奥さんは相当なタガメ女のようだ。
- あの人、「自分はセレブ妻」って顔しているけど、典型的なタガメ女だよね。
- タガメ女が悪いわけじゃない。旦那に充分な手当を出せない会社にも問題はある。