「原作レイプ」とは
「原作レイプ」とは、原作のある作品に対する評価のひとつです。原作のある作品とは、たとえば以下のようなものを指します。
- 実写化
- アニメ化
- コミカライズ
- ノベライズ
- スピンオフ
- 二次創作
このような作品において、原作ファンが「原作を陵辱するにも等しいクオリティ(または改悪)である」と判断した際に「原作レイプ」と評されます。
「原作レイプ」の具体例
何をもって「原作レイプ」と評価するかは受け手次第であり、また原作ファン同士でも当然評価が分かれることはあります。とはいえ、「原作レイプ」と評される作品には、以下のような傾向があります。
- 原作のテーマやメッセージを理解していない
- 世界観や設定の変更・追加
- ストーリーの改悪
- 重要なシーンや展開のカット・変更
- キャラクター特性の不理解・変更
- ミスキャスト
- 演出や作画、CG技術などの稚拙さ
「原作レイプ」の使い方
- 実写化はほぼ原作レイプになるから期待はしていない
- こんなのもう原作レイプじゃん…
- あの程度なら原作レイプとは言えないんじゃないかな
「レイプ」はサ行変格活用により動詞として使用できますが、「原作レイプ」は上記例のとおり、ほぼ名詞として使用されます。
「原作レイプ」と「原作クラッシャー」の違い
「原作レイプ」と似た言葉に「原作クラッシャー(または原作ブレイカー)」があります。「原作レイプ」と同様、原作のある作品に対する評価として使われる言葉ですが、この2つは同義語ではないので注意しましょう。
「原作クラッシャー」は、「原作が壊れるほどの改変、またそのような改変を行う人物・団体」を意味する俗語です。
たとえば、「おおむね原作に忠実だが、見過ごせない改変のある作品」は「原作レイプ」と称されるかもしれませんが、「原作クラッシャー」ではありません。
対して、「原作が見る影もないほど改変されているが、作品として成功している」場合は、「原作クラッシャー」ですが「原作レイプ」ではありません。
もちろん、「原作が見る影もないほど改変されており、かつ失敗している作品」なら「原作クラッシャー」「原作レイプ」どちらの評価もあり得るでしょう。要するに、「原作クラッシャー」は、結果の良し悪しではなく「改変行為の程度」を表す語句なのです。
「原作クラッシャー」の代表例
もっとも著名な「原作クラッシャー」といえば、ウォルト・ディズニー・カンパニーでしょう。「ディズニー映画」と呼ばれる、ウォルト・ディズニー・カンパニー制作のアニメーション映画は、その多くが既存の作品(童話・漫画・神話など)をベースに作られています。
ただしストーリーをそのままなぞるのではなく、老若男女問わず誰でも安心して観賞できるよう全体的にコミカルな作風となっており、ハッピーエンドが約束されているのが特徴です。
そのため、展開や結末が原作と大きく相違することも少なくありません。例として1989年公開の『リトル・マーメイド』を例に挙げます。これは言わずもがな、ハンス・クリスチャン・アンデルセン作の童話『人魚姫』がベースとなった作品です。
人魚姫 | リトル・マーメイド |
浜辺で介抱した際、王子の意識は戻らない | 浜辺で介抱した際、王子は朦朧としつつ意識がある |
人魚姫が人間でいる期間に制限がない | アリエル(主人公)が人間でいられるのは3日間だけ |
王子は修道院の女性に惹かれている | 王子はアリエルに惹かれている |
王子が恩人だと思っているのは隣国の王女 | 王子が恩人だと思っているのは魔女 |
王子は隣国の王女と結ばれ、人魚姫は自殺する | 王子はアリエルと結ばれる |
上記以外にも、魔女アースラが海の覇権を握ろうと目論むなど、『リトル・マーメイド』にはオリジナル要素が満載です。