「目下」の読み方
まず「目下」は「めした」、もしくは「もっか」と読みます。どちらも正しい読み方です。「目」に関しては他にも、「ぼく」などの読み方があります。
一方で「下」には、「お(りる)」や「くだ(さい)」などの読み方があります。両方とも小学校では、一年生あたりで習う漢字です。
「目下」の意味
「目下」はどう読むかによって、意味が違ってきます。紛らわしいのでここからは、一部を平仮名で表記します。
「めした」と読む場合の意味
「めした」には、以下の二つの意味があります。
- 目の下、眼下のこと
- 年齢や立場、地位や階級などが自分よりも低いことや、そういう人のこと
1の意味はそのままですね。2の立場や地位に関しては、たとえば自分から見て、部下に当たる人などのことです。
「もっか」と読む場合の意味
「もっか」には、以下の二つの意味があります。
- 目の前、すぐ近く、眼前のこと
- ただ今、現在のこと
1の意味は、「めした」の1に通じるところがありますね。2の「ただ今」には、ついさっき、今すぐなどの意味があります。
「目下」の使い方
「目下」はどちらの読み方でも、名詞に分類されます。そして読み方によって、少し使い方が違ってきます。
めした:目の下のこと
【例:なんだか目下が痛い】
これは「目の下の方が痛い」や、「眼下が痛い」と言い換えられます。似たような使い方としては、「目下を見おろす」のような表現があります。
めした:立場などが自分よりも低いこと
【例:彼は目下の者の意見を聞こうとしない】
これは「自分よりも立場の低い者の~」や、もしくは年齢という意味で、「自分よりも若い者の意見を~」と言い換えられます。どちらの意味を示すのかは、状況や文脈によります。
もっか:目の前のこと
【例:脅威は目下に迫っている】
これは「脅威は眼前に~」や、「脅威はすぐ近くに~」と言い換えられます。似たような使い方としては、「敵は目下にあり」のような表現があります。
もっか:ただ今、現在のこと
【例:例の件に関しては、目下、検討中です】
これは「現在、検討中です」と言い換えられます。似たような使い方として「目下、作業に取り掛かります」でしたら、「ただ今、作業に~」と言い換えられます。この場合の「ただ今」は、今すぐという意味です。
他には「目下のところ不明です」や、「目下、見込みはありません」などの表現があります。
「目下」に関連する言葉
「目下」に関連する言葉には、「面前」、「現下」、「刻下」、「差し当たり」などがあります。
「面前」について
「面前(めんぜん)」とは、目の前、見ている前のことを表します。「もっか」の1の意味と似ていますね。この言葉はそのまま、「面=顔の前」と解釈できます。
使い方としては「公衆の面前で恥をかく」や、「彼の面前に姿を現す」のような表現があります。
「現下」について
「現下(げんか)」とは、今、現在のことを表します。「もっか」の2の意味とソックリですね。この言葉は「現下の実情」や、「現下の世相」などのように使われます。
「刻下」について
「刻下(こっか)」とは、ただ今、今現在のことを表します。こちらも「もっか」の2の意味と似ています。一方で上述の「現下」と比べると、「ただ今」が入っているので、「刻下」は今すぐなどの意味でも使えます。
たとえば「刻下の急務」でしたら、「今すぐの急務」のような意味です。一方で「刻下の生活」の場合は、「今現在の生活」を表します。
「差し当たり」について
「差し当たり」とは、将来のことは考えず、今現在に限って問題に対応する様子や、今のところ、当面のことを表します。
たとえば今のところという意味で、「もっかの問題」は「差し当たっての問題」と言い換えられます。この場合は、「差し当たり」を変化した形で用いています。
「めした」の対義語
「めした」の対義語としては、「目上(めうえ)」が挙げられます。「目上」とは、自分よりも年齢や立場、地位や階級が高いことや、そういう人を表します。
下に対しての上なので、分かりやすく逆のことを意味していますね。使い方に関しては、「目上の人」や「彼は目上だ」のように用いられます。