「アニオリ」とは?
「アニオリ」の意味
「アニオリ」とは、「アニメオリジナル」の略で、「原作の小説や漫画などには存在しない、アニメオリジナルのストーリー・設定・キャラクター・シーンなど」を指す言葉です。
「アニオリ」の使い方
- 今週はアニオリ回だった。(今週はアニメオリジナルのエピソードだった。)
- 原作ファンだったからアニオリ設定にはがっかりした。
- あのキャラはアニオリだけど人気がある。
「アニオリ」が採用されるケース
引き伸ばし
映像化するにあたって原作のストックが足りていない(ネタ切れ)、原作のストーリーにアニメが追いついてしまう場合に、時間稼ぎのためにアニオリエピソードを加えたり、原作よりも描写を引き伸ばしたりすることがあります。
『BLEACH』などのようにオリジナルの過去エピソードを挿入したり、『ドラゴンボールZ』などのように10話も使って数分の戦闘描写行うケースが、これに当たります。
原作が未完
原作が完結していないのにアニメが最終回を迎える場合は、原作から乖離したアニオリストーリーで物語の決着をつけるかたちになります。アニオリのエンディングを迎えた作品には、『鋼の錬金術師』(2003年版)、『トリコ』など多数のタイトルがあります。
しかし、近年のアニメは1〜2クール(四半期〜半期)放送したところでDVD販売などで制作費を回収し、1〜2年後くらいに続編を放送するケースが多く、その間に原作が進行しているため、引き伸ばしのためのアニオリストーリーは、以前ほど見かけなくなりました。
これに対して、原作が進んだところまでで「俺たちの戦いはこれからだ」、「私たちの日常はこうして続いていく」というエンディングにして、アニオリストーリーを避けるケースもあります。
原作の補完
原作では語られなかったエピソードを補完する場合、原作をアニメという媒体でより魅力を増すようなシーンを追加する場合などに、アニオリストーリー、アニオリシーンが採用されることもあります。アニオリによって原作を補完した作品には、『ONEPIECE』のTVスペシャル『3D2Y』、『THE LAST NARUTO THE MOVIE』などがあります。
キャラクターと設定のみを借りている
原作者の逝去などで原作がこれ以上増えない場合や、原作者の手から作品がほぼ離れてしまっている場合、原作からキャラクターと設定のみを借りて、アニオリストーリーで番組が続けられることがあります。『サザエさん』、『ドラえもん』、『クレヨンしんちゃん』などの長寿番組に多く見られるケースです。
放送コードに配慮
テレビアニメの場合は、放送コードの問題で、原作と同じ展開が難しいことがあり、その時にはアニオリストーリーになる場合があります。
- 原作にエロシーンが多い場合…『ハイスクールD×D』、『魔装学園H×H』など
- 原作にグロテスクなシーンが多い場合…『ベルセルク』、『されど罪人は竜と踊る』など
近年は、ネット配信限定の作品も増えており、過激な表現も原作と乖離せずに採用される場合もあります。
「アニオリ」の賛否
アニオリストーリーやアニオリキャラについては、「原作厨」(原作を至高と頂きアニメなどの派生作品を嫌う人)からの批判は免れないところです。
明らかに原作や原作のイメージやテーマとかけ離れたアニオリについては、一般の原作ファンからも、「原作クラッシャー」、「原作レイプ」(共に、原作を冒涜する行為だという批判)との声も上がります。特に、原作エピソードをカットして、アニオリストーリーを挿入した場合には、それだけで批判されることもあります。
とはいえ、アニメ制作者サイドが原作を深く理解、リスペクトして、素晴らしいアニオリストーリーが描かれたり、原作を補完する形でアニオリシーンが挿入される場合には、原作ファンからも高い評価を得られます。場合によっては、アニオリストーリーやアニオリキャラが原作側に逆輸入されることもあります。
有名な「アニオリ」
有名な「アニオリ」:ストーリー編
- 『ドラゴンボールGT』:人気作品のため、原作完結後も放送続行するために制作された、全編オリジナルストーリーです。
- 『るろうに剣心』修羅編、島原編、霊薬編、風水編 :アニオリの島原編の後に、原作の人誅編に戻るつもりだったようですが、原作に戻らずアニメオリジナルの風水編で最終回を迎えました。
有名な「アニオリ」:キャラクター編
- 劇場版『ドラゴンボール〜たったひとりの最終決戦〜』/バーダック:主人公・孫悟空(カカロット)の実父。原作者の鳥山明が関わっていないオリジナルストーリーながら、後に原作に逆輸入されました。
- 『うる星やつら』/メガネ:諸星あたるのクラスメイトで、ラム親衛隊のリーダー。原作では「生徒A」というモブキャラだが、アニメ化にあたり脇役に昇格しています。