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「デーモン(demon)」の意味
「デーモン(deamon)」には、次のような意味があります。詳しくは後述しますが、主に1の意味で使用されます。
- ギリシャ神話におけるダイモン(土地の守護神や人の守り神など)、下位の神格
- 悪魔、悪霊
IT用語としての「デーモン(demon)」
一番目にする機会が多い、IT用語の「デーモン(deamon)」は、「(ファイル管理やメールの送受信などの)メモリーに常駐し、バックグラウンドで実行するプログラム」を指します。
「デーモン(daemon)」の使い方
- メーラーデーモンは、バックグラウンドでメール送受信を行うプログラムのことだ。
- デーモン(プログラム)は、Unix系のデーモンの命名に倣って、最後尾に "d" をつけている。
「デーモン(daemon)」と「デーモン(demon)」
「daemon」と「demon」の発音は同じ「デーモン」ですが、現在の英語では、綴りによって意味を区別する場合があります。
- 「daemon」:守護神←善の存在
- 「demon」:鬼神、悪魔、悪霊←悪の存在
両方とも語源はギリシア語の「ダイモン(daimōn)」。「超自然的・霊的存在者」、「霊魂」を指す言葉で、その存在自体にに善悪の区別はありませんでした。
「デーモン(daemon)」の由来「ダイモン(daimōn)」
「ダイモン(daimōn)」は、善悪両方の側面を持っており、人間に災厄をもたらすだけでなく、あらゆるできごとを引き起こす原因となる神に限りなく近い存在(半神)とみなされていました。
古来、超自然的なものは人間に襲いかかり、災害や災難、心身の病気や不幸をもたらすものとして畏怖されていました。「ダイモン(daimōn)」には、古代の中国や日本における魑魅魍魎や自然の精霊をも含めた広い意味もあります。
しかし時代が進むにつれて「ダイモン(daimōn)」は、超越的性格を失い、神性は低くなっていきました。そして、異教の神を悪と見做すキリスト教において、「悪魔」という意味で用いられるようになったのです。
IT用語「デーモン(daemon)」の由来
ギリシャ神話における「ダイモン(daimōn)」は下位の神格で、神々が煩わされたくない雑事を処理する役目もありました。
そのことから、ユーザーが煩わされたくない処理(タスク)をバックグラウンドで実行するプログラムのことを「デーモン(daemon)」と呼ぶようになりました。
「デーモン(demon)」の綴りを使わなかったのは、バックグラウンドで動くプログラムが悪さをするものではないからかもしれません。
日本の「鬼」と「デーモン(demon)」
日本における「鬼(おに)」は、民話や郷土信仰によく登場する妖怪で、主に人をはるかに上回る力を持った、災いをもたらす悪の存在として描かれています。しかし、鬼瓦などに代表されるような守り神として扱われたり、親が子供に「悪いことすると鬼が来るよ」など言って戒めるなど、善の一面もあります。
日本の「鬼」を英語に訳す時、「demon」が使われることが多いですが、「demon」=「悪魔」では「鬼」を説明しきれていないと感じることもあるでしょう。
しかし、語源となった「ダイモン(daimōn)」が、善悪の区別のない、超自然的な畏怖すべき存在を指すことを考えると、しっくりしたイメージになるかもしれません。日本の鬼は、悪の「デーモン(demon)」と、善の「デーモン(daemon)」を合わせたような存在と言えるでしょう。
「デーモン(daemon)」の類義語
「デーモン(daemon)」の類義語
「守護神」や「守護霊」を意味する「デーモン(daemon)」の類義語には次のような言葉があります。
- guardian deity/guardian god:守護神
- guardian spirit:守護霊
- numen:(アニミズムの)霊、神、守護霊、守護神。自然や生き物に宿る神や精霊。
- tutelary:守護者(神・聖人)
IT用語「デーモン(daemon)」の類義語
IT用語における「デーモン(daemon)」と「サービス」は、どちらも「バックグラウンドで待機、実行される常駐プログラム」を指しますが、動作環境によって使い分けられています。
- 「デーモン(daemon)」:UNIX系(LinuxやMac OS)において使用する言葉
- 「サービス」:Windows系において使用する言葉