「提供」の読み方
まず「提供」は、「ていきょう」と読みます。訓読みで「提」は「さ(げる)」、「供」は「とも」や「そな(える)」と読む字です。どちらも小学校では、六年生あたりまでに習います。
「提供」の意味
「提供」には細かく分けて、以下の二つの意味があります。
- 金品や技能など、自分が持っているモノを、ほかの人の役に立てるよう差し出すこと
- 企業などがスポンサーとなって、テレビやラジオ番組を視聴者に公開すること
2の意味はかなり限定されていて、見方によっては、1の意味に内包されているとも言えます。ただちょっとニュアンスや使う場面が違うので、ここでは別々に記載します。
ちなみに「提」の字は、持ち出すや取り出すなどの意味を持っています。「供」の字は、役立てるや差し出すなどの意味を持っています。
「提供」の使い方
「提供」は名詞としてそのまま使う一方で、動詞として使うときは「する」などをつけ、サ行変格活用されます。また、文脈によってニュアンスが微妙に変わります。
提供:差し出すニュアンス
【例:私は血液を提供する】
これは1の意味+動詞として使っていて、「(献血や輸血のために)自分の血液を相手に渡す」ということを表します。
金品や技能ではありませんが、血液は自分が持っているモノですし、献血や輸血は誰かのためになる=役立ちますね。そしてこの使い方は、差し出すニュアンスが強めです。
提供:許可・貸し出すニュアンス
【例:私の土地を提供します】
これも1の意味+動詞として使った例文です。たとえば皆で集まって何かをするとき、「場所がない」という状況に陥ったとします。そこで「私の土地を提供します」と使った場合、「私の土地を使ってもOKです」というように伝わります。
こちらにも差し出すニュアンスは含まれていますが、ほかにも許可や貸し出すといったニュアンスが含まれます。同じ1の意味でも使い方によって、ほんの少し含むニュアンスが変わってきます。
提供:ビジネス的なニュアンス
【例:ご覧のスポンサーの提供でお送りします】
これは2の意味+名詞として使っていて、テレビでは頻繁に流れる、有名なフレーズです。見聞きしたことのある方は多いかと思います。番組が終わった後には、「ご覧のスポンサーの提供でお送りしました」と、変化して使われています。
そしてこのフレーズが流れたときは、テレビ画面に企業名が表記されますよね。2の意味を踏まえて、その表記された企業がスポンサー=番組の資金などを出してくれているところです。
つまり企業側から見れば、その番組に資金などを「提供している」わけです。そう考えれば1の意味に通じますが、役立つように差し出すとはニュアンスが違っていて、2の意味の「提供」は、ビジネス的な感じが強めに伝わるかと思います。
「提供」に関連する言葉
「提供」に関連する言葉としては、「供給」、「支給」、「用意」などが挙げられます。
「供給」について
「供給」とは、必要に応じてモノを与えることや、販売のために商品を市場に出すことを表します。この言葉は意味の通り、与えるニュアンスが強めです。
たとえば「材料を提供する」は「材料を供給する」と言い換えられますが、差し出すと与えるでは、少しニュアンスが違ってきますね。
「支給」について
「支給」とは、金銭やモノなどを払い渡すことを表します。この言葉は「ボーナスを支給する」や「諸手当を支給する」のように使われるので、どちらかと言えば「供給」と同じく、与えるニュアンスが強めかもしれません。
スポーツに関して「ユニフォームを支給する」と「ユニフォームを提供する」を比べると、ニュアンスに結構な違いが出ているかと思います。
「用意」について
「用意」には、以下の二つの意味があります。
- あらかじめ必要なモノを揃えておくこと、準備や支度のこと
- 細かなところまで気を配ること、用心のこと
中でも1の意味は、「提供」に通じるところがあります。たとえば誰かに料理を「提供」する場合、まず料理を「用意」しなければいけませんね。そういった意味では、「準備」や「支度」も含めて、「提供」と繋がりが強めな言葉だと言えるかもしれません。