「一線」の意味
「一線(いっせん)」とは、次のような意味を持つ言葉です。
- 一本の線
- はっきりした区切り、けじめ
- 「第一線」の省略形。(戦いの)前線。活躍の場。
「一線」は次でご紹介する慣用句の形で使われます。
「一線」を含む慣用句と使い方
「一線を画す」
「一線を画す(いっせんをかくす)」または「一線を画する(いっせんをかくする)」とは、「境界線を引いて区切りをつける」、「明確に区別する」と言う意味です。
【区切りをつける】
- 使用例:「彼の仕事は他とは一線を画している。」
- 英訳:His work is outstanding.(outstanding「外に出ている」→「飛び抜けている」)
【区別する】
- 使用例:「彼女は仕事と余暇に一線を画している。」
- 英訳:She makes a clear distinction between work and leisure.(make a clear distinction between A and B「AとBを明確に区別する」)
「一線を越える」
「一線を越える」とは、「してはならないことをする」、「守るべきことを破る」という意味です。
- 使用例:「彼らの振る舞いは一線を越えている。」
- 英訳:Their behavior has crossed the line.
「一線を引く」
「一線を引く」とは、「相手との間に線を引いて自分の領域と他人の領域を区別すること」から転じて、「(人との関係において)これ以上立ち入られないように距離を取ること」、「牽制すること」という意味です。「線を引く」と表記されることもあります。
- 使用例:「私はあなたの関係に一線を引きたい。」
- 英訳:I want to set a boundary between us.
「一線を退く」
「一線を退く(いっせんをしりぞく/いっせんをひく)」とは、「第一線を退くこと」、つまり、「活動の場や戦いの前線から離れること」、「退任すること」という意味です。
- 使用例:「父は一線を退いて息子に地位を譲った。」
- 英訳:He retired and gave the position to his son.
「一線」と「一筋」の違い
「線」と「筋」
「線」には、次のような意味があります。また、「人の言動から受ける印象」という意味もあります。
- 糸のように長く連続した筋
- ものの輪郭
- 物事を進める上での方向、道筋
- そのものを他のものと区別する仕切り
一方、「筋」には、次の意味があります。また、「思想などの全体を貫く一本の線」、「その方面や分野」、「情報通」、「道や川に沿ったところ」などの意味もあります。
- 細長く連なったもの。表面に細長くつけられた跡。細長い縦縞。
- 生物の体に含まれる繊維状や線状のもの。植物の繊維や筋肉。血管。
- 血統
- 素質
「一筋」とは?
名詞としての「一筋(ひとすじ)」には、「細長いものの一本」、「ひとつの血統、一族」、「一道、一芸」という意味があり、「一筋縄」の省略形としても用いられます。
また、形容動詞としての「一筋」は、次のような状態を表す言葉です。
- 一途、そのことだけに集中する様子
- 尋常な様子、一様な様
「一線」と「一筋」の違い
以上のことから、同じ「一本の線」という意味を持つ「一線」と「一筋」には、次のような違いもあることがわかります。
- 「一線」:境界や区別のための線を表すことが多い
- 「一筋」:一本の筋そのもの、それに例えられるものや、その筋を通るものを指す
「一線」以外の「いっせん」
「一戦」
「一戦(いっせん)」とは、「1回の戦闘」、「ひと勝負」という意味です。
- 使用例:「敵と一戦交える。」
「一閃」
「一閃(いっせん)」とは、「ぴかっと光ること」、「さっとひらめくこと」を指す言葉で、「ものの動きのきわめて素早い様子」を表すこともあります。
- 使用例:「妙案が脳裏に一閃する」