「羅」の読み方と漢字の成り立ち
「羅」の読み方は音読みが「ラ」で、訓読みが「うすもの」・「あみ」・「うすぎぬ」・「つら(ねる)」です。漢字の成り立ちは、「罒」(読みは"もう")と「維」が組み合わされています。部首のあみがしら(罒)で鳥を捕まえる「あみ」を、維で「(繊維、織り目が)つらなる・並んで重なっている」ということを表します。
元々の意味は意味1の「鳥を捕るためのあみ」です。
「羅」の意味1:「鳥を捕るためのあみ」
「羅」は元々、「鳥を捕るためのあみ」という意味の漢字です。そのような意味で使われた熟語と四字熟語を紹介します。
門前雀羅
「門前雀羅」は漢字だけを見ると「門の前にスズメを獲るためのあみを仕掛ける」ということになります。「(家の門の前にあみをかけて雀を捕るためのあみを仕掛けるくらい)家や場所などに訪れる客がいない、その場所に行き交う人もなくさびれている様子」という意味です。
網羅
「網羅」は似た意味を持つ漢字を並べた熟語です。「網」で魚をとる網、「羅」で鳥を捕るあみを表します。陸と海の獲物を両方とも余す所なく捕らえるという所から、「関連する物を、残す所なく全てを取り入れること」を表すようになりました。
- こちらの漢和辞典は、義務教育で使う漢字を網羅している。
「羅」の意味2:ならぶ
「羅」が「あみ」を表す様子から派生して、織られたあみ目が次々と繋がって、並んで重なっている様子から、あみの目のように「ならぶ」・「つらなる」・「つらねる」の意味で使われます。
羅列
「羅」も「列」も、繋がるや並べるの意味を持つため、同じような意味が重なり、強調する意味合いになります。「羅列」で、次々に並べ続けることを表します。
- 単語を羅列する。
森羅
四字熟語「森羅万象」に使われている「森羅」は、樹木が生い茂って、次々と並ぶ森の様子を表しています。その意味から派生して「数え切れないくらいに並んでつらなっていること」、「天地に存在する色々な物事」という意味で使われます。
「羅」の意味3:絹織物
「羅」にはあみの意味から派生して、高価で手が込んでいる「うすぎぬ」を表します。網の目が連なるように織られた薄い絹織物の着物用の生地のことです。
綺羅
幼稚園や小学校の低学年で、「きらきら星」という歌があります。美しく光る星を表した歌詞が特徴です。「きらきら星」に使われている「きら」は、漢字で書くと「綺羅」です。
「綺」は「あやぎぬ」を表していて、「綾織りの美しい絹織物(綺)」の意味です。元々は「あやぎぬ」と「うすぎぬ」で「華やかで美しい衣装」または、「華やかで美しい様子」を指しました。「着飾っている人」を表すこともあります。両方の絹織物も手がかかっていて非常に高価なので、そのような衣装を身に着けられる「権力者」という意味で使われることもあります。
一張羅
「羅」が高価な薄絹の織物をさすことから、「一張羅」という言葉出てきました。 自分が持っている着物や衣服の中で、最も上等な物を指します。今で言うと振袖や訪問着などの晴れ着や、お出かけ着、勝負服をイメージするといいでしょう。「一張」の「張」は幕などの数え方を表す単位の語句で、「一つ」という意味です。
「羅」の意味4:めぐる
「羅」には「めぐる」という意味を表すこともあります。「羅針盤」は、針の磁石が南北を指すことで方位を確かめられる方位磁針のことを言います。南北を指し示す時に、針がぐるっと周囲を回って正しい南北の位置に戻って指し示す様子から、めぐるという意味の「羅」の字を当てたと考えられます。
「羅」の意味5:外国語の当て字
外国語の「ラ」や「ロ」の音の当て字として、「羅」が使われています。国名や地名の例を挙げます。
- 羅甸(ラテン)ラテン語・ラテン民族の・ラテン系の人などを表す
- 羅馬(ローマ)イタリアの首都
- 羅馬尼亜(ルーマニア)国の名前
- 羅府(ロサンゼルス)アメリカの都市名