「専心」の読み方
まず「専心」は、「せんしん」と読みます。訓読みで「専」は「もっぱ(ら)」と読み、「心」は「こころ」と読みます。「心」に関しては名前などにもよく使われていて、比較的、見かけやすい字ですね。
「専心」の意味
「専心」とは、心を一つの物事に集中させ、熱心に励むことを表します。また、専念の意味を含みます。そして専念は、「専心」とほぼ同じ意味です。
ちなみに「専」の字は、他のものを交えない、一途などの意味を持っています。一方で「心」の字は、精神的な働きや、何かの根本などの意味を持っています。
「専心」の使い方
上述の通り「専心」と専念は同じような意味なのですが、幅広い事柄に使われる専念に対して、「専心」は学問や研究に励むことを指し、多く使われます。また、副詞的にも用いられます。
- 研究に専心する
- 専心努力する
同様に後者の例文も、「努力する」を「専心」で装飾しています。単に「努力する」と言ってもよいところを、「専心(熱心に集中して)努力する」と、「専心」が「努力するさま」をより詳しくしているわけです。
「専心」を含む四字熟語
「専心」を含む四字熟語としては、「一意専心」が挙げられます。
「一意専心」について
「一意専心」は「いちいせんしん」と読み、ほかに心を向けず、ひたすら何かに集中することを表します。「一意」とは、心を集中することなどの意味を持つ言葉です。
よって「一意専心」は、似た意味の言葉を組み合わせることで、励むことを強調しているわけですね。「一意専心、○○に取り組む」と使えば、より強く集中して取り組むことが伝わります。またこの言葉は「専心一意」とも書かれますが、意味は同じです。
「専心」の類義語
「専心」の類義語には、「傾注」、「夢中」、「没入」などがあります。
「傾注」について
「傾注」は「けいちゅう」と読み、何かに力や心を集中することを表します。「専心」と非常に似ていますが、「傾」はそのまま傾くなどの意味を、「注」は一点に向けて集めるなどの意味を持っています。
よって「傾注」は、その物事に向けて心が傾く、というようなニュアンスです。「専心」の熱心に励むとは、少しだけニュアンスが違いますね。この言葉は「仕事に傾注する」という風に使われます。
「夢中」について
「夢中」は「むちゅう」と読み、この言葉には以下の二つの意味があります。
- 我を忘れるくらい物事に熱中することや、その様子
- 夢の中
また「無我(むが)」と組み合わせた、「無我夢中」という言葉があります。これは「夢中」の1の意味を強調した四字熟語です。
「没入」
「没入」は「ぼつにゅう」、もしくは「もつにゅう」と読み、以下の三つの意味を持っています。
- (水などに)沈み入ること
- 何かに心を打ち込むこと、没頭すること
- 役所や官庁に取り上げること、没収のこと
「専心」の対義語
「専心」の対義語としては、「両立」が挙げられます。
「両立」について
「両立」は「りょうりつ」と読み、二つの物事が支障なく、成り立つことを表します。一つの物事にだけ取り組む「専心」とは、対照的な言葉ですね。この言葉は「家庭と仕事を両立させる」や、「勉強と部活を両立させる」というように使われます。