「人のふんどし」とは?意味や使い方をご紹介

「人のふんどしで相撲を取る」ということわざを耳にしたことはありませんか。なんとなく意味を知っている人も多くいるかと思いますが、正確に理解できている人は多くないはず。今回はことわざを確認しながら、「人のふんどし」の意味や使い方を紹介していきます。

目次

  1. 「人のふんどし」とは?
  2. 「人のふんどしで相撲を取る」の意味
  3. 「人のふんどしで相撲を取る」の由来
  4. 「人のふんどしで相撲を取る」の誤用例と正しい使い方
  5. 「人のふんどしで相撲を取る」の類語・英語表現

「人のふんどし」とは?

「ふんどし」は相撲を取るときに用いる物です。「人」が相撲を取る時にふんどしを使うので、「人のふんどし」=「ふんどしが人の物」であることは当たり前のように思えるかもしれません。

しかし、ここでいう「人のふんどし」とは「人のふんどしで相撲を取る」ということわざが由来となっており、「人」=「他人」という意味で使われています。では由来となった「人のふんどしで相撲を取る」の意味についてみていきましょう。

「人のふんどしで相撲を取る」の意味

「人のふんどしで相撲を取る」とは、「他人の物を利用して、自らの利益になることをする」という意味です。これには他人の物を利用して自分の利益を図るのはずるいだろうという非難が混じっておりプラスのイメージでは用いません。

ちなみに「他人の物を利用して」ということですので「他人のふんどし(たにんのふんどし)」と言う場合もあります。「人のふんどし」あるいは「他人のふんどし」という言葉は、それだけで「人(=他人)のふんどしで相撲を取る」の略語として使われます。

また、あまり日常では用いない漢字ですが「ふんどし」は「褌」、「相撲」は「角力」と表記することがあります。

「人のふんどしで相撲を取る」の由来

「人のふんどしで相撲を取る」は字面からもわかるように、相撲での出来事を由来としています。前述の通り「ふんどし」は力士が腰につける「まわし」のことであり、自分の物を使わないで他人のふんどしを借りて相撲を取り、ちゃっかりと自分の利益を生むという様が「人のふんどしで相撲を取る」の起源です。

そこから派生して、「他人のものを利用したり、人に出させたりしてちゃっかりと自分の利益を図るずるさ」を非難していうようになりました。他人のものとは、例えばお金なども含まれます。

「人のふんどしで相撲を取る」の誤用例と正しい使い方

「人のふんどしで相撲を取る」の誤用例として、「他人の援助を受けて自分の利益を図る」という意味で用いるものがあります。人のふんどしは"他人の援助"というような他人が進んでやることではありませんので、非難できることを必須とする本来の意味とは全く異なります。なので、例えば「資金がないので人のふんどしで相撲を取ることになってしまった」という文章は明らかなる間違いとなります。

以上を踏まえて正しい使い方は、例えば「土地の転売で利益を得るのは、人のふんどしで相撲を取るようなものだ」という文章です。「土地の転売で利益を得る」という「他人のお金を利用して自分の利益を得る」ことに対する非難が込められていますので、このことわざの本来の意味に合致するのです。

「人のふんどしで相撲を取る」の類語・英語表現

「人のふんどしで相撲を取る」の類語としては、「人の牛蒡(ごぼう)で法事する」ということわざが挙げられます。このことわざは「他人が持ってきた牛蒡を使って法事のための料理を作る」という意味で、「他人の物利用して自分のやらなければならないことを終わらせてしまう」という避難が込められているため、「人のふんどしで相撲を取る」という言葉に近い類語となっています。

また、「人のふんどしで相撲を取る」の英語表現としては、"One wrestles by wearing another man's loincloth."や"gain profits at somebody else's expense"があります。前者はそのまま「人のふんどしで相撲を取る」という意味、後者は「誰か他人の支出で利益を得る」という意味です。


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