「闇」の意味とは
みなさんは、「闇」という言葉を普段どんなふうに使っていますか。「○○さんって、なんか闇抱えてそう」「闇雲にやったって意味ないよ」なんて言ったり言われたりしていませんか。
あまりいい印象をもたない意味合いで使われることの多い「闇」ですが、大まかに意味の違いで3つに分類することができます。
- 物理的な暗さ
- 精神的な不安や心配
- 法的な範囲の外
「闇」の使い方
①物理的な暗さ
物理的な暗さという意味の「闇」とは、光がなく真っ暗で見えない状態のことです。「闇に包まれる」なんて、小説などで書き言葉として目にする機会もあるでしょう。「闇」という言葉は遥か昔から使われていますが、昔の人の歌からも暗闇に対する思いが読み取れます。
凡河内躬恒(おおしこうちのみつね)
春の夜の闇は空気が読めないけれど、梅の花は隠せても香りは隠せないのよ、といった意味です。現代よりずっと暗くなるのが早く、ライトアップなんてされない当時。闇はすべての美しいものも覆い隠してしまったのでしょう。それでも深い闇のなかでかぐわしい香りだけでも楽しもうとする風流さを感じます。
②精神的な不安や心配
精神的な不安や心配としての「闇」。これは日常的にもよく使う意味だと思います。
例えば、「心の闇」という表現もそうですし、「闇雲」という言葉もそうです。「闇雲」は、むやみにとか無計画になどの意味がありますが、これも心に落ち着くところがないためにしてしまう衝動的な行動などに使われます。
「一寸先は闇」このことわざはよく耳にしますよね。ちょっと先のことであっても予測できない、という意味です。
何が起こるかわからないなかで生きていくということは、ありとあらゆることへの不安と常に隣り合わせでいるということです。でも逆に、どうせわからないならやってみようか、とポジティブに捉えることもできるのではないでしょうか。
③法的な範囲の外
法的な範囲の外という意味の「闇」は、ニュースや新聞などでは馴染みがあるかもしれません。闇金融、闇サイト、闇取り引き。いずれも危ない匂いがしますね。
「闇から闇に葬る」という表現もありますが、これは人知れずこっそりと事を行うという意味ですから、やはり後ろめたい、表沙汰にするとまずいことを隠すわけです。
第二次世界大戦後の日本では混乱のなか、各地の焼け跡などで露店形式のいわゆる闇市がうまれ、法外な値段での闇取り引きが公然と行われました。生きるためには高くても買うしかない。現代でも、どうしようもなくなって闇金融でお金を借りる人もいます。時代が変わっても、法があればそこに「闇」は存在し続けるのかもしれません。
「闇」を英語で言うと?
ここまで「闇」を使った表現をニュアンス別に見てきました。では、英語でそれらは何と言うのでしょう。
だいたい名詞では「the daek」や「darkness」、形容詞では「dark」や「black」が使われます。ただし法的な範囲の外という意味においては、日本語で言う「闇」を別の単語で表現する場合もあります。
ダーク系
- The child was afraid of the dark. (子どもは暗闇を怖がった。)
- She has darkness in her mind. (彼女は心に闇を抱えている。)
また形容詞「dark」としては、日本語でも「ダークスーツ」や「ダークグレーの瞳」などのように濃い色、黒に近い色を表現します。
- The dealings were done in the dark. (その取り引きはこっそりなされた。)
- He has dark thought. (彼は腹黒いことを考えている。)
ブラック系+その他
「black」は「white」と対比的に使われるように、肌や瞳の色、洋服や絵の具が「黒い」と表現するときに用います。「dark」が明暗としての暗さなのに対して、「black」は色そのものとしての黒さを指しますが、一方では次のような使われ方もします。
- She bought the watch on the black market. (彼女はその時計を闇市で買った。)
一方、闇金融は「illegal money lending」と言いますし、闇で儲ける(=不正に金を儲ける)ことを「make money illegally」と言いますから、「illegal」も日本語で言うところの「闇」に相当すると言えます。
「闇」を使った英語のことわざ
さきほど出てきた「一寸先は闇」。これを英語で言うと次のようになります。
- Who knows what tomorrow will bring?
- The scandal was hushed(covered) up. (汚職事件は闇から闇に葬られた。)