「伏線」の意味
伏線は「伏せる」と「線」です。「伏せる」は物や顔を伏せるといった意味ではなく「潜ませる・隠す・知れ渡らないようにする」の意味で使います。ですから、線を見せないように隠すという意味になります。後のことがうまく流れていくように、前もって分からないように用意するといったような時に使います。
「伏線」の例文
「伏線」の意味は、動詞の使い方で微妙に違ってきます。
- この映画はあらゆるシーンに伏線が敷いてある。
- 今回の契約は難しくなりそうなので伏線を張っておく。
「伏線」の類語
「伏線」と同じように、はっきりではなく、それとなく知らせるというように似た言い回しで使う言葉があります。
暗示
「暗示」は「暗に示す」という言葉にも表れています。物事を明確には示さずに、それとなく知らせること、または相手が信じ込むようにうまく仕向けることを言います。先がどうなるか予測がつかない物事に対して、それとなく無意識に思い込ませることに対して使います。
- 昨年のアメリカでの出来事は、今年の日本経済を暗示しているようだった。
示唆
「示唆」の「唆」という言葉はそそのかすと言う意味があり、それを示すということですから、明確に言うわけでなく、遠回しに知らせると言った意味になります。比較的堅い言い方で、ニュースやビジネスシーンで使うことの方が多いです。
- 閉店の可能性を示唆した。
仄めかす
「仄めく」は、ほのかに見えたりかすかに映ったりといった様子を表したりします。なので「仄めかす」は、それとなく言葉や態度に表して、間接的に匂わせるという意味です。場合によっては、相手に思わせぶりな態度をとったりして、どこか楽しんでいるような感じを与えます。
- 詐欺師の男は彼女に結婚を仄めかしていた。
「伏線」と「布石」の違い
「布石」は囲碁で言うところの対局の石の配置のことですが、比喩的には将来のためにしておく備えのことです。「布石を打つ」は計画通りに物事が進むように準備すると言う意味で、囲碁の石の意味からも「打つ」と言う言葉を使います。
「伏線」は分からないように用意すると言う意味で「仕掛け」に近いような意味ですが、「布石」は将来に起こることを「下準備や用意」と言った意味合いで使います。
- 将来、会社を立ち上げるために様々な布石を打っておいた。
「伏線」と「付箋」の注意
よく間違えて使っているのが「付箋」です。「付箋」はご存じの通り、用件などを書いて貼る小さい紙のことですが、「ふくせん」と「ふせん」と読み方も似ていますし、「伏線をはる」という「張る」と「貼る」のいい回しも同じです。
さらには付箋も大事なポイントになるところに貼るので、ますます混同してきます。言葉自体はよく似ていますが、意味は全然違うので、注意してください。
「伏線」の英語
「foreshadow」はあらかじめ示す・前兆となるという意味で、それを現在分詞形にしたのがforeshadowingです。
- The foreshadowing in the movie was great. その映画の伏線は素晴らしかった。
「hint」伏線・暗示・示唆・ほのめかすなどの意味です。
- He hinted at marriage. 彼は結婚をほのめかした。
- There are many hints in that story.その物語にはたくさんの伏線が敷いてある。