「高尚」の読み方
まず「高尚」は、「こうしょう」と読みます。「高」の字は訓読みで、「たか(い)」と読みます。「尚」の字は表外の訓読みで、「なお」、「くわ(える)」、「たっと(ぶ)」、「とうと(ぶ)」と読みます。「高」も「尚」も、よく人名に使われる漢字です。
「高尚」の意味
「高尚」とは、知性や品性の程度が高く、上品なこと。気高くて立派なことや、その様子を表します。「高」の字はそのまま高いことや、程度が上、多い、優れているなどの意味を持っています。
一方で「尚」の字は、その上に、一層、たっとぶなどの意味を持っています。なので「高尚」とは、その物事の程度が一層に高く、尊敬に値する、というような意味を含んでいます。
「高尚」の使い方
「高尚」は知性や品性が高いことや、気高くて立派なこと、そういった学問や技芸や趣味、行動を指して使われます。
たとえば「彼は高尚な人間だ」と使えば、「彼は知性や品性が高い、気高くて立派だ」と伝わり、その人の生き様や性格を表します。
また大抵は良い意味で使われますが、場合によっては嫌味として使われることもあるので、注意が必要です。
たとえば明らかに「高尚」から掛け離れた趣味や行動を指し、「随分と高尚だな」という風にも使われます。その場合は皮肉、嫌味のニュアンスが強いです。
「高尚」の例文
- 「寺のお坊さんから、高尚な話を聞く」
- 「彼女が専攻している分野は、高尚すぎて私には合いません」
- 「彼の高尚さを見習いたい」
「高尚」の類義語
「高尚」の類義語には、「高度」、「高潔」、「高等」などがあります。
「高度」について
「高度」は「こうど」と読み、物理的な距離としての高さや、物事の程度の高さを表します。「高尚」の類義語としての「高度」は、後者の意味です。
たとえば「高度な技」と使えば、「水準が高い、ハイレベルな技」を意味します。「高尚」との違いは、知性や品性の程度に関わらない部分です。
なので知性や品性のない機械を指す場合など、「高尚な技術」とは使いませんが、「高度な技術」とは使います。そういった点で、「高尚」と使い分けられます。
「高潔」について
「高潔」は「こうけつ」と読み、気高くて立派なこと、けがれのないことや、その様子を表します。この言葉は「高度」とは逆に、知性や品性を重視しています。
そして「けがれのない」が加わるので、大抵は物事ではなく、人間の性格や行動に対して使われます。その場合は「高尚」よりも、知性や品性の高さ、気高さや立派さが強いニュアンスです。
「高等」について
「高等」は「こうとう」と読み、程度や等級、位が高いことを表します。この言葉は「高等教育」や「高等動物」といった形で使われており、「定められた序列の中での、高い位」という意味です。
なので他人を指して使う機会は殆どなく、多くは物事を指して使われます。あるいは「高等裁判所」のよう、場所にも使われています。
「高尚」の対義語
「高尚」の対義語としては、「下劣」、「野卑」、「低俗」が挙げられます。
「下劣」について
「下劣」は「げれつ」と読み、品性や節度を欠いていること、いやらしいこと、人柄や態度が下品なことや、その様子を意味します。
たとえば汚い話のことを「お下劣な話」という風に表したり、いやらしい人を「下劣な人間」と表します。どちらかと言えば、汚さのニュアンスが強めです。
「野卑」について
「野卑」は「やひ」と読み、言動などが下品で卑しいことや、その様子を表します。また、田舎びているという意味も持っています。
ちなみに「野卑」は「野鄙」とも書きますが、どちらも同じ意味です。この言葉は田舎びているがゆえに洗練されていない、卑しさのニュアンスが強いです。
「低俗」について
「低俗」は「ていぞく」と読み、程度が低く下品な様子や、俗っぽいことを意味します。こちらは「下劣」や「野卑」と比べて、汚さや卑しさの度合いが低めです。
たとえば「低俗な番組だ」と使えば、「品がない、馬鹿らしい番組だ」というようなニュアンスが伝わります。