「許容」とは?意味や使い方をご紹介

「許容」という言葉を目にしたり使ったりしたことはありますか。やや固い印象をもつ言葉ではありますが、新聞記事やニュースなどで目にする機会も多い言葉です。ここでは、そんな「許容」という言葉の意味や用法、類語との違いについてまとめました。

目次

  1. 「許容」の意味は?字の意味は?
  2. 「許容」の使い方
  3. 「許容」と「容認」
  4. 「許容」と類義の慣用句
  5. まとめ

「許容」の意味は?字の意味は?

「許容」の読み方は「きょよう」です。その基本的な意味はずばり「許すこと」。「許」という漢字の訓読みは、「ゆる(す)」ですが、これがこの字の主な意味を表していますね。「許」は「ゆるす」という意味をもつ字です。

一方、「容」という漢字の意味は少したくさんあるのですが、その中に「ゆるす」という意味があります。こちらもやはり「ゆるす」という意味なのです。つまり、「許容」という熟語は同じ意味を持つ二つの漢字が合わさってできているのです。

なお、「容」という漢字は「ゆるす」という意味のほか、「受け入れる」という意味も持ちます。そんなところから、「許容」は単に「許すこと」を意味するだけでなく、「許して受け入れる」という意味合いを持つことが分かります。

「許容」の使い方

「許容」という言葉自体は名詞ですが、「許容する」というサ行変格活用の動詞(「~する」という形の動詞)として使われる場合が多くあります。また、「範囲」という言葉と一緒になって「許容範囲」という四字熟語として耳にすることも多いでしょう。

さらに、「許容電流」、「許容線量」など、「許容」が入った科学技術系の用語も多数あります。「許容電流」とは、電線に流すことのできる最も大きな電流のことで、これを超えるとショートが起こったり発火してしまったりします。そして、「許容線量」とは、人体への影響上、そこまでなら許容できるという放射線量のことです。

「許容」の例文

  • 「多少の誤差は許容する。」
  • 「自分勝手なふるまいは許容できない。」
  • 「それは許容されていない手段です。」
  • 「許容範囲をこえたひどいイタズラだ。」

「許容」と「容認」

「許容」と同じように「許す」という意味を持つ言葉として「容認」があります。先に挙げた例文の「許容」を「容認」に入れ替えてみましょう。

  • 「多少の誤差は容認する。」
  • 「自分勝手なふるまいは容認できない。」
  • 「それは容認されていない手段です。」
このように、文意が大して変わりません。「許容」と「容認」を同等に使える場合は多いのですね。

ただし、「許容」と「容認」が性質を異にしているところもあります。たとえば「許容範囲」は「容認範囲」とは言いません。また、「許容線量」を「容認線量」と言うのもまた違います。

「許容」と類義の慣用句

「許容」や「容認」と同様の意味を表す慣用句に「大目に見る」「目をつぶる」があります。漢語である「許容」や「容認」に比べるとやわらかい感じを持つため、文章の雰囲気を堅苦しくしたくないときには、「大目に見る」や「目をつぶる」を使うと良いでしょう。

ただし、これら慣用句は「目」という身体の部分を用いた表現だということもあり、「許容」とくらべるとだいぶ主観性を帯びた表現になります。

たとえば、「大目に見られる電流」というのと、「許容される電流」というのをくらべれば、その違いがはっきり表れてきます。前者は、その電流を観察している人がどう感じるかという意味合いが濃く出てきますが、後者は電流の流れる電線が耐えられるかなど、人の感じ方以外の意味合いを表す文脈でも使うことができます。

まとめ

以上、「許容」という言葉について、類語との使い分けを考察しながら紹介していきました。

基本的には「ゆるすこと」という意味を持つ言葉であり、類語に「容認」や「大目に見る」「目をつぶる」といった言葉がありますが、これらにくらべると、「許容」は、許す基準や範囲が明確な場合や、科学的事象など客観的な事実を述べる文脈で使うことに適しています。


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