「取捨」とは?意味や使い方をご紹介

「取捨」という言葉をご存知でしょうか。何かを選ぶときに用いられる言葉であり、「選択」と組み合わせてよく使われます。比較的、見聞きしやすい言葉です。ここでは「取捨」という言葉の意味や使い方、類語などを、順々に紹介していきます。

目次

  1. 「取捨」の読み方
  2. 「取捨」の意味
  3. 「取捨」の使い方
  4. 「取捨」の類語
  5. 「取捨」を含む四字熟語

「取捨」の読み方

まず「取捨」は「しゅしゃ」と読みます。「取」の字は訓読みで「と(る)」とも読み、「捨」の字は訓読みで「す(てる)」、「ほどこ(す)」とも読みます。

ただし「捨」の「ほどこ(す)」は常用外です。一方で「取捨」は「取舎」とも書かれますが、こちらに関しても、「取捨」が一般的です。

「取捨」の意味

「取捨」とは、良いものや必要なものを選び取ることと、悪いものや不要なものを、選び捨てることです。この言葉は「取り、捨てる」、引いては「必要なものを取り、不要なものを捨てる」とも言い換えられます。

2字熟語は「似ている意味の字を組み合わせ、強調したもの」、「異なる意味の字を組み合わせ、複合的な何かを表すもの」、「相反する意味の字を組み合わせ、両方を表すもの」と大雑把に傾向が分けられます。

そういった傾向の中で「取捨」は、取ると捨てる、相反する意味の組み合わせであり、2つの行動を表す言葉です。

「取捨」の使い方

上述を踏まえて「取捨」は、何かを選んで取り、何かを選んで捨てることを指し、使われます。注意点としては、何かを選ぶには候補が複数なければならず、複数の選択肢が必要なことです。そしてその候補は、同質なものとは限りません。

たとえばリンゴであれば、2つのリンゴがあったとして、美味しそうな方を取り、腐っている方を捨てます。これは同質なものの「取捨」です。

一方でたとえば小説などで、「ヒロインを殺さなければ世界が滅びる」という設定があったとします。こちらの候補は同質と言えませんが、「ヒロインを取って世界を捨てる」場合も、「取捨」に当て嵌まります。

引いては何かを取った結果、何かを捨てなければならず、「取捨」における「取る」や「捨てる」とは、非常に広い範囲を意味します。

「取捨」の例文

  • 「料理を任されたが一部の材料が痛んでいるので、材料を取捨する」
  • 「インターネット上で、集まった情報を取捨する」
  • 「この状況では、取捨せざるを得ない」

「取捨」の類語

「取捨」の類語には、「選択」、「採択」などがあります。

「選択」について

「選択」とは「せんたく」と読み、複数のものの中から、良いものや、適したものを選び取ることを意味します。また「選択」は「撰択」とも書きますが、「選択」が一般的です。

一方、仏語では「選択」を「せんちゃく」や「せんじゃく」と読み、こちらは立場のもとに不要なものを捨て、必要な、仏教的に正しいものを選び取ることを表します。

仏語の「せんちゃく」は「取捨」と似ていますが、「せんたく」の方は「捨てる」の意味が含まれていないので、その部分で使い分けられます。

「採択」について

「採択」は「さいたく」と読み、いくつかあるものの中から、良いものとして選び、取り上げることを意味します。こちらも「捨てる」の意味が含まれておらず、その点では「選択」と似ていますが、細部が異なります。

「採択」の「採」は採用などにも使われる字なので、この言葉は意見、提案に対して用いられることが多いです。意見に対して使う場合は、「その意見を選択し、採用する」とも言い換えられます。

つまり「採択」は「選択」に内包されており、選んだうえでどれを採用するのか、他人に伝える際に便利な言葉なのです。

「取捨」を含む四字熟語

「取捨」を含む四字熟語としては、「取捨選択」が挙げられます。

「取捨選択」について

「取捨選択」とは「しゅしゃせんたく」と読み、「取捨」と上述の「選択」が組み合わさった言葉です。「取捨選択」とは、良いものを選び取り、悪いものを選び捨てることを意味します。

「取捨」とはほぼ同じ意味ですが、「取捨」の場合、取ると捨てるを同等の程度で表しています。対して「取捨選択」は、捨てるよりも、良いものを取ることの程度が強いです。

なので「取捨」はたとえば、「まず悪いものを捨てて、残った良いものを取る」といったニュアンスでも使われますが、「取捨選択」は「積極的に良いものを選び取る」といったニュアンスで使われます。


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