「理念」とは?意味や使い方をご紹介

「理念(りねん)」という言葉の意味をご存知でしょうか。「企業理念」や「経営理念」など耳にする機会は多いものの、詳しい意味を説明するとなると言葉に詰まってしまう方が多いかもしれません。そこで、今回は「理念」という言葉の意味や由来を分かりやすくご紹介します。

目次

  1. 「理念」とは
  2. 「イデア」とは
  3. 「理念」と「イデア」
  4. 「理念」の使い方
  5. 「理念」を使うメリット
  6. 「理念」の意味・使い方のまとめ

「理念」とは

「理念」の一般的な意味

現在、一般的に「理念」は、事業や計画などの根本的な考え方という意味で使われています。つまり、「○○理念」とは、「○○の根底にある根本的な考え方」を意味します。

「理念」の由来

元々、「理念」は哲学用語として使われてきました。哲学用語としての「理念」は、「純粋理性によって得られる最高概念」や「非感覚的な永遠の真実在」という意味です。また、哲学用語の「イデア」の訳語であるという説明もされています。

「イデア」とは

プラトンの「イデア」

さて、「理念」の意味を詳しく紹介するために、本来の意味である哲学用語「イデア」からアプローチしましょう。

元々、「イデア」は古代ギリシアで「見られたもの」や「形」を意味する言葉でした。
一方、プラトンは「人間が感知できる世界における個別の物に対して、その原型となる永遠不変の実在が存在する」という趣旨の主張をしました。この「永遠不変の実在」を「イデア」と呼んだのです。

噛み砕いて説明しましょう。私たちは、世の中にある様々な花のそれぞれを「これは花だ」と認識できます。しかし、花は多種多様な形をしているのに、どうして「これは花だ」と判断できるのでしょう。

この疑問に対して、プラトンはまず、すべての花には共通する本質・原型があるのだという前提に立ちます。そして、この「本質・原型」という判断基準に照らすことによって、花と花以外のものを区別できるのだという説明をしました。この判断基準となる「本質・原型」が「イデア」というわけです。

「イデア」の歴史

そして、「イデア」という考え方は哲学の歴史の中で二分化していきます。デカルトやイギリス経験論では、「イデア」は主観的な意識内容や観念に過ぎないとされました。このような見解から、英語の「idea(観念)」という言葉が生まれました。

一方、ドイツ哲学では、「イデア」は絶対的な実在や超越的なものとして捉えられます。このような見解からドイツ語の「Idee」という言葉が生まれたのです。この「Idee」の訳語が「理念」というわけです。
 

「理念」と「イデア」

これまで説明した「理念」と「イデア」の意味や由来から、「理念」は、判断基準となる「本質・原型」、つまり「物事の根底にある根本的な考え方」を意味すると説明できます。

また、単なる考え方というよりは、判断基準となるような絶対的な価値観や本質的な考え方として使用すると、語源に照らしても正しい使い方ができます。

「理念」の使い方

それでは、「理念」という言葉はどのように使うのでしょうか。例を挙げます。

  • 憲法の理念を尊重する
  • 弊社の経営理念を策定する
  • 経営理念に基づいた経営戦略を考える

「理念」を使うメリット

なぜ、多くの企業などの組織は「企業理念」や「経営理念」を定めているのでしょうか。これには、主に二つのメリットが考えられます。

  1. 組織内に明確な判断基準を示す…「理念」は、判断基準となるような「物事の根底にある根本的な考え方」という意味ですから、これを示すことによって、組織の人間すべてに判断基準を与えることができ、行動の指針となります。
  2. 組織外へのアピール…先ほど説明したとおり、「理念」には絶対的な価値観という意味合いもあります。よって「理念」を示すことで、組織の外に対して、「この組織はこのような価値観に基づいています」というアピールをすることができます。

「理念」の意味・使い方のまとめ

「理念」はビジネス用語としてもよく使用される用語なので、覚えておいて損はないでしょう。取引先や地元企業など、色々な企業の理念を調べてみると、商談や就職面接などの役に立つかもしれませんね。


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