「体躯」とは?意味や使い方をご紹介

皆さんは「体躯(たいく)」という言葉を文章の中で見かけた事があるかもしれません。言葉や漢字には、同じように「からだ」を表していても成り立ちや意味が少しずつ異なる場合があります。ここでは言葉や漢字の意味を知り「体躯」の言葉を正しく使えるように調べました。

目次

  1. 体躯の意味は?
  2. 「からだ」を表す漢字、言葉は?
  3. 「体躯」の類語、関連語、似ている言葉は?
  4. 「体躯」の言葉が使われている作品
  5. まとめ

体躯の意味は?

体躯(たい・く)とは、からだ、からだつき、体格、を意味する言葉です。

「躯」の意味は?

「躯」の読み方は、音読み「ク」、訓読み「からだ」「むくろ」です。「躯体」という言葉がありますが、これは、建築の構造の主要部分である、床や壁、梁など建物の構造を支える骨組みを意味します。「躯」には「骨組み」というニュアンスが含まれます。訓読みの、躯「むくろ」の読み方では、死体を表します。

「躯」を使った二字熟語には躯幹、短躯、長躯、病躯、老躯などがあります。四字熟語には痩躯長身(そうくちょうしん)があります。長身で痩せている体型という意味で、主に男性の体格を表す時に使います。

「からだ」を表す漢字、言葉は?

訓読みで「からだ」と読まれる漢字は、体、躰、軆、體、躯、軀などいくつかあります。「体」「體」「軆」「躰」は音読みで「タイ」「テイ」と読みます。體は体の旧字体(本来の字)です。躰と軆は体の異字体(違う書き方)です。

「軀」「躯」はどちらも音読みでは「ク」と読み、同じ意味を表します。軀は躯の旧字体であり、躯は軀の略字です。これらの漢字の中で常用漢字になっているのは「体」「體」です。

ちなみに常用漢字とは、日常使うための目安として定められた漢字のこと。法令、公用文書、新聞、雑誌、放送などにおける漢字使用の目安になります。効率的で共通性の高い漢字が選ばれ、「常用漢字表」に掲げられています。現行の常用漢字表は2010年に改定され2136字から成ります。

「体」と「身体」の違いは?

「からだ」と使われる言葉には、「体」「身体」があります。これらにはどのような違いがあり、どのように使い分けたらいいのでしょうか。

「体」とは、固体としての「からだ」を意味します。頭や胴、手足などの各部分全てを表し、人間だけでなく動物や植物の体を表す時にも使われます。

一方「身」の漢字は、心や精神の意味を表し、地位や身分、立場の意味でも使われる事があります。「身体」は、固体としてだけでなく心も含めた心身を表す言葉なのです。そのため動植物ではなく主に人間の体を意味し、場合によっては現実的な存在でなく抽象的なものを表すこともあります。

また常用漢字外の表記であるため、「しんたい」と読むのが正しく、公的な文書で「身体」と書かれた時は「しんたい」と読まれます。「からだ」は当て字の読み方です。

手紙などで使う場合には、肉体としての体だけでなく心も元気でいて下さいという意味を込めるために、「お身体を大切に」と書いた方が丁寧な表現になります。

「体躯」の類語、関連語、似ている言葉は?

「体躯」の類語には、体つき、体格、恰幅、などがあります。関連語は、背格好、筋骨、肉づき、などです。

読み方が似ている言葉に「体育(たい・いく)」がありますが、「体育」は身体運動を通じて行われ、運動能力や健康な生活を送るための態度を学ぶ教育、またその教科を指す言葉です。「体躯(たいく)」と「体育(たいいく)」大まかに体に関する言葉であるという共通点はありますが、読み方が似ていても意味は全く違いますね。

「体躯」の言葉が使われている作品

“脇差をぶちこんだ中背の体躯(たいく)は、けだものの足跡もない荒野の草木を、胸で押し割っていた。” 
『石狩川』本庄睦男
 
“兄に比べると遥かに頑丈な体躯(からだ)を起しながら、「じゃ御先へ」と母に挨拶して下へ降りた。”
『行人』夏目漱石
 
“体躯(なり)は小さいが、性質の賢いもので、よく人に慣れていた。”
『刺繍』島崎藤村

文学作品中では内容や雰囲気に合わせて、「体躯(たいく)」を「からだ」や「なり」と読む場合もあります。

まとめ

「体躯」とは、からだ、からだつき、を意味する言葉です。「躯」の漢字が表す、「骨組み」のニュアンスも含まれます。また文章で使う時には、堂々たる、健全な、しなやかな、のように強く健康で良い印象の形容詞が前に来る事が多いです。

「からだ」を表す言葉や漢字にも、微妙なニュアンスの違いや、それぞれの成り立ちがあります。漢字が持つ細かいニュアンスを理解して、言葉を適切に使いたいですね。


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