「横文字」とは
本来は西洋の文字・言語のことです。日本語は元来は縦に上から下へ書きます。それに対して、西洋は横に左から右へ書くこと(ちなみにアラビア語は右から左に書きます)から、西洋の文字・言語のことを意味します。ただ現代では西洋言語自体のことでなく、日本語のうち外来語・カタカナ語を意味することが多いです。
日本語にしにくい「横文字」の例
日本語として適切な言葉がないため、そのまま外来語として取り入れた「横文字」には以下のようなものがあります。
一般表現
- エスカレーター
- グラデーション
- ニュアンス
- ハンガー
- プラスチック
- ペダル
- リモコン
その他、元来は日本になく、海外から入ってきた食べ物や道具は「横文字」で表現されることが多いです。ただし、南瓜(カボチャ)や珈琲(コーヒー)のように漢字の当て字が用いられる場合もあります。
哲学用語など
●アウフヘーベン
哲学用語で、2017年に小池百合子都知事が使ったことにより「現代用語の基礎知識」選ユーキャン新語・流行語大賞2017にノミネートされました。日本語で止揚、揚棄とされますが、日本語の意味も難解です。
【第34回 新語・流行語大賞2017】
https://www.jiyu.co.jp/singo/index.php?eid=00034
●アプリオリ
考えなくても元から分かっていること、といった意味です。
●イデア
古代ギリシア哲学者のプラトンがとなえた概念で、完全な実在のことです。
●イデオロギー
歴史的・社会的背景に基づいてつくられた根本的な観念、思想、主張のことです。
●テーゼ
新世紀エヴァンゲリオンの主題歌のタイトルとして言葉は知られているのではないでしょうか。はじめに立てられた命題のことです。反対語はアンチテーゼです。
●パトス
こちらも新世紀エヴァンゲリオンの主題歌の歌詞に出てきます。受動的・一時的な心の動き、感情。または情熱のことです。反対語はロゴスです。
●ペシミズム
悲観、厭生観のことです。
●ライシテ
フランスにおける政教分離(政治と宗教を分けること)の考え方です。
ビジネス・IT用語など
●アプリケーション
適用、応用といった意味です。IT用語では、コンピュータ端末で特定の作業をするために必要なソフトウェアのことです。
●クーリング・オフ
訪問販売などで、商品を買う契約をしてから一定期間内ならば、その契約を無条件に解除できる制度です。クーリングは「cool」に-ingをつけたもので、つまり買った後で「頭を冷やす」期間を設けて、契約解除できる制度です。
⚫️コンプライアンス
「法令遵守」とされることが多いのですが、社会規範やモラルも含まれることもあります。そのため「法令順守」ではコンプライアンスを完全に説明しきれない場合があります。
【コトバの意味辞典:「コンプライアンス」とは?意味や使い方を事例を含めてご紹介】
https://word-dictionary.jp/posts/521
●パラメーター
数学的には変数、IT用語としてはプログラム動作を指定するための数値や記号です。
●メモリ
コンピュータの記憶装置です。日本語の「目盛り」とは関係がありません。
●メセナ
企業などが文化・芸術・科学を支援することです。
日本語で言えば済む「横文字」の例
以上に紹介したような日本語で簡潔に表現できない「横文字」がある一方、日本語で済むにも拘わらず、横文字で表現されることもあります。特にビジネス用語に多いです。以下のように言い換えが可能です。
●アウトソーシング
外部委託。
●イニシアティブ
先導・主導すること。
●エビデンス
証拠。
●コンセンサス
意見の一致や合意。
●スキーム
やり方、仕組み。
●ステークホルダー
利害関係者。
●ティーンエイジャー
10代(年齢層)。
●ナンバリング
番号をつけること。
●プライオリティ
優先、優先度。
●フレキシブル
柔軟なこと
●フレグランス
香り。
●ミーティング
会議や打ち合わせ。
●マーケット
市場(しじょう、いちば)。
●プラン
計画。
●ディスカウント
値引、割引。
●ディスカッション
討論。
●トレード
取引。
●トレンド
流行。
●バリュー
価値。
●ビギナー
初心者。
●ベター
より良いこと。
●ポジティブ/ネガティブ
前向き/後ろ向きなこと。
●ミッション
任務、使命。
●メンター
後輩を指導する人。
「横文字」まとめ
以上のように「横文字」には、どうしても「横文字」で表現しなければならないものと、特に「横文字」で表現する必要がないものがあります。やみくもに「横文字」を使うのではなく、相手により伝わりやすい言葉を選ぶ必要がありそうです。