「失敗は成功のもと」の意味
失敗しても、その原因をつきとめてそこから学び改善していくことで、必ず成功への道が開かれるという意味です。一度や二度の失敗にくじけるな、がんばれ、という教えです。
「もと」は物事の起こりや始まり、土台という意味があります。失敗から学んだことが成功の礎となるということです。また「もと」は「失敗や成功の基」「失敗は成功の本」と漢字表記されることもあります。
「失敗は成功のもと」の例文と使い方
- 一度失敗したくらいであきらめてはいけないよ。失敗は成功のもとだと言うからね。
- パエリア作りに挑戦したけど、黒焦げになっちゃったんだって?失敗は成功のもとだって言うから、次はうまく作れるように火加減とか水加減とか失敗の原因をよく研究しておくといいよ。
- 実験に失敗してしまい先生に相談に行ったところ、思いがけないアドバイスを頂いた。失敗は成功のもとという言葉を信じて、新しい視点で実験に再挑戦したいと思う。
失敗した人を励ましたり、自らを鼓舞したりする場合に使われていますね。ただし、自分が同じような失敗を何度も繰り返しておきながら、「失敗は成功のもとだ」と言うと、単なる弁解に聞こえてしまいますから、そういう場合は使わないように気を付けてくださいね。
「失敗は成功のもと」の由来
「失敗は成功のもと」は、英語の”Failure teaches success."ということわざを翻訳した表現だと見られています。日本では明治時代のことわざ集にその訳語が収載されています。
- 失敗せざる人は富むことを得ず(『和漢俚諺集』1890年)
- 失敗は成功の良師なり(『金諺一万集』(1891年)
「失敗は成功のもと」の類語
「失敗は成功のもと」と同じような意味の表現としては、以下のようなものがあります。
- 失敗は成功の母
- しくじるは稽古のため
- 人は失敗によって学ぶ
またこんな類似表現もあります。
- 禍を転じて福と為す
これはふりかかった災難をうまく処理して、かえって幸せを得るようにすることを意味します。
「失敗は成功のもと」と「七転び八起き」の違い
その他「失敗は成功のもと」と類似した表現として、「七転び八起き」があります。これは、何度失敗してもくじけずに、そのたびに立ち上がって努力する、という意味です。
「失敗は成功のもと」が、失敗してもその原因をつきとめ、失敗を繰り返さないようにする、そこから成功への手がかりをつかむ、といった方法論を言ったものであるのに対し、「七転び八起き」は、失敗しても転んでも何度でも起き上がってがんばる、という精神論的な意味を強く訴える表現だという違いが見られます。
また「七転び八起き」は、人生の浮き沈みが激しい事を表す例えにも使われます。これも「失敗は成功のもと」とは異なる点ですね。
「失敗は成功のもと」の諸外国での表現
「失敗は成功のもと」は、イギリスの"Failure teaches success."(失敗は成功を教える)以外では、どのように表現されているか見てみましょう。
- まちがえながらおぼえる(イタリア)
- パンパの案内人になるには一度道に迷わなければならない(アルゼンチン)
- 躓きは転ぶことでなし、一歩前進なり(東アフリカ)
本田宗一郎の失敗の哲学
国際大学の伊丹敬之学長は、その著書『人間の達人 本田宗一郎』の中で、ホンダの天才的技術者であり経営者であった本田宗一郎の失敗の哲学を紹介しています。
これは本田宗一郎がことあるごとに強調していた言葉として紹介されていたものです。99%の失敗は決して無駄などではなく、失敗の結果として残るものは蓄積された技術と知恵であり、それこそがお金に替えられない大きな財産だ、と宗一郎は常々言っていたと言います。成功するためには失敗するしかない、失敗は進化のチャンスでもある、という考えです。
しかし一方で、失敗をしてもよいが、二度と同じ失敗をしないようにしなければならないとも言っています。「失敗は成功のもと」ということわざにもここに大きなポイントがあると言えそうですね。