「赤面」とは
「赤面」の直接的な意味は「赤い顔」ですが、「赤面」はもう少し踏み込んで、何が原因で顔が赤くなってしまうのか、というところまで盛り込んで表現することが可能です。その原因をシンプルにまとめると、次の3つに分けられるでしょう。
- 恥ずかしさのために顔が赤くなる
- 喜びや悲しみ、怒り、困惑などで興奮したために顔が赤くなる
- お酒を飲んで酔っ払ったために顔が赤くなる
中国の古い資料(「塩鉄論」「三国志」など)では、2の意味で使われるケースが多いようですし、漢詩には3の用例もしばしばみられます。しかし、現在の日本の日常会話レベルでは、1の意味で使われることがほとんどでしょう。転じて、恥をかくこと・恥ずかしく思うことそのものを指すこともあります。
ちなみに、福島県には赤面山という山があります。こちらは「せきめん」ではなく、「あかづらやま」と読みます。那須連山の三本槍岳から真東に位置する標高1701メートルの山で、スキー場の跡地が意外な人気スポットになっているそうです。
紅潮とはどう違う?
「赤面」と似た表現に「紅潮」があります。人に対して使う「紅潮」は、顔が赤い状態だけを指すので、「赤面」のように、恥ずかしさや悲しみ・怒りといった感情まで踏み込んだ表現ではありません。文脈次第では、きちんと使い分けしたほうがよいでしょう。
「赤面」するのはこのような時
以上を踏まえて、「赤面」の使った具体例を挙げてみました。
- 基本的なミスを、後輩に指摘されるまで気づかなかったのは、赤面の至りである。
- あこがれの彼女から不意に話しかけられたので、しどろもどろになり、赤面してしまった。
- 何度も挑発され、さすがの彼も怒りのあまり赤面した。
- あのような大胆ないちゃつきぶりを見せつけられては、こちらが赤面するしかない
「赤面」を見たい?
前述したとおり、実際に顔が赤いかどうかの問題とは別に、恥をかくこと・恥ずかしく思うことそのものを表現するときにも「赤面」を使います。また、主観的な感情を表現する場合だけではなく、他人の行為を「赤面」だと言って揶揄することも少なくありません。
その典型として週刊誌の見出しを紹介すると
- あの人気女子アナの赤面過去!
- アイドルの赤面事実!
- 〇〇が赤面ハプニング告白!
他人の恥をあれこれいじるのはいかがなものかと思いつつも、ちょっと興味をそそられてしまうというのは、出歯亀(でばがめ)根性と言うのでしょうか。
「赤面症」とは
いわゆる「赤面症」とは、対人恐怖症の症状のひとつで赤面恐怖症(erythrophobia)とも言われます。他人と同席した場合に、極度の緊張や不安に陥り、顔が赤くなるという症状です。また、赤くなるまいとすることにより、ますます緊張するという悪循環も招きます。
赤面症の人は、こうした対人恐怖が原因で、人と会うことを嫌がる傾向が強くなっていきます。対人恐怖は極度の緊張からくる緊張型対人恐怖と、強い思い込みからくる確信型対人恐怖の2種類がありますが、赤面症は前者に分類されるようです。
「赤面」の表現いろいろ
「赤面」に関連する表現を紹介します。
類語では
「赤面」の類語はそう多くありません。恥ずかしさ限定では「身が縮む思い」「汗顔(かんがん)の至り」「顔から火が出る」などがあります。「赤ら顔」「朱顔(しゅがん)」となると、酒飲みのイメージが強くなります。
英語では
- turn red:赤くなるという意味なので、植物の紅葉などにも使います。人に関して使うと「赤面」となります。
- blush:恥ずかしさのために顔が赤くなることです。「赤面」しやすい人のことをblusherといいます。
- ashamed:恥ずかしく思うことから「赤面」となります。恥にもいろいろありますが、ashamedはproud(=誇りに思う)の対義語なので、日本語では「恥じ入る」と解釈するのが近いかもしれません。
顔文字では
一方、顔文字にすると
(* ̄∇ ̄*)
(*//∇//*)
|´∀`●)ポッ
r(^ω^*)))テレマスナ
などがあります。非常に表現力が豊かで、面白いですね。