「憤懣やるかたない」の意味とは?
「憤懣(ふんまん)やるかたない」とは、とにかく怒りの気持ちがおさまらずにどうにもしようがない、腹立ちがひどく何をしても解消できないという意味の言い回しです。
「憤懣」とは、怒りの気持ちが発散できないほどにひどい状態をいいます。「やるかたない」は、嫌な気持ちを晴らす方法がないということです。
「やるかたない」は漢字で「遣る方無い」と書きます。「遣る」は心配などを晴らすこと、「方」は方法や手段、「無い」で前の語を否定しています。
「憤懣やるかたない」の使い方
「憤懣やるかたない」は、自分や当事者にとって強い怒りの気持ちを起こさせるような人の行動や言動、物事の状況などのせいで、気持ちが高ぶったままイライラし続ける様子を表現します。「憤懣やるかたない表情」「憤懣やるかたない気持ち」などのように使います。
「憤懣やるかたない」の例文
- 彼は両親の悪口を婚約者に言われ、憤懣やるかたない様子だった。
- 大勢の前で彼女に手ひどく振られ、憤懣やるかたない気持ちでいっぱいだ。
- 寝返った家臣を見て、その武将は憤懣やるかたない表情に変わった。
- 君にとっては憤懣やるかたないのかもしれないが、もう放っておきなよ。
「憤懣やるかたない」に似た表現
怒りのやり場がない・やり場のない怒り
「怒りのやり場がない・やり場のない怒り」とは、怒りの気持ちの持っていきどころがないこと、つまり、怒りを解消させるはけ口がないことをいいます。「やり場」は、この場合は感情の持っていきどころや、解消させるはけ口などを指しています。
「憤懣やるかたない」とよく似ていますが、「怒り」よりも「憤懣」の方がより怒っている度合いが強いでしょう。
【例文】
- 誰かは知らないが、物を壊して平気で逃げるなんて怒りのやり場がない。
- やり場のない怒りを抱えて生きるのは辛いものだ。
腹の虫が治まらない
「腹の虫が治まらない」(はらのむしがおさまらない)とは、腹立つ気持ちがいっこうに消えない・怒りがこみ上げてくるということです。この場合の「腹の虫」は「怒りの気持ちが取れない」ことを、「寄生虫に感染してなかなか治らない」ことに例えています。
「怒り」を「虫」に見立てているところから、非常にしつこく怒りの感情が湧いているのがうかがえます。同じようにとてつもない怒りで気持ちが落ち着かない「憤懣やるかたない」と似ていますね。
【例文】
- あの人が悪いのに私のせいにするなんて、腹の虫が治まらないよ!
- 人前で良い顔をするAを見ると、腹の虫が治まらず蹴っ飛ばしてやりたくなる。