「率直」とは
「率直」は、「そっちょく」と読み、「素直で飾り気がないさま」「飾ったり隠しだてしたりせず、思っているままであるようす」などの意味があります。
「率直」の「率」
「率直」の「率」は、音読みで「ソツ」「リツ」、訓読みで「ひき(いる)」と読みます。「率」は、「細いひものはみ出た部分を中心に引き締めてまとめる」の意味を表し、転じて「数などの割合」「ひきいる」「そのままで混じりけのないさま」などの意味になります。
かなり幅広い意味があるようですが、「率直」の「率」は、「そのままで混じりけのないさま」の意味で使われています。
「率直」の「直」
「率直」の「直」は、音読みで「チョク」「ジキ」、訓読みで「ただ(ちに)」「なお(す)」と読み、「まっすぐ目を向ける」「まっすぐ見つめる」の意味を表しています。転じて「まっすぐなさま」「すなおであるさま」などの意味があります。
「率直」は、「率」の「そのままで混じりけのないさま」に「直」の「まっすぐで、すなおなさま」が組み合わさったものです。
「率」と「卒」
「率」と「卒」は、どちらも「ソツ」と読めるため、画数が少ない「卒」が書きやすいという理由で、使う人が増えてきました。
「卒」は、「下級の兵士」「にわか・急なさま」「おわり」などの意味を表し、「率直」の「率」の意味はありません。したがって、「率直」を「卒直」と書くのは間違いとする考えが主流のようです。
しかし、「年齢」を「年令」、「1歳」を「1才」と省略して書くのが日常生活に浸透してきていることを考えると、「卒直」も時代の流れとともに、間違いではないと受け入れられるかもしれません。
「率直」の使い方
米大リーグで今季のア・リーグの最優秀新人(新人王)に輝いたエンゼルスの大谷翔平は、2018年11月22日の帰国会見で、「(新人王は)率直にうれしかった」と語りました。「素直な、ありのままの気持ち」を「率直に」という言葉で表現したのだと思います。
他にも「率直」を使った例文をご紹介いたします。
- 彼女は、優勝した喜びを率直に語った。
- 会議では、率直な意見がたくさん出された。
- 彼は率直な人柄なので、敵を作ることもある。
最後の例文からお分かりのように、「率直」はプラスのイメージだけでなく、マイナスのイメージとして受け取られることもあるようです。「あの人は率直すぎて・・・」などの言い方も聞いたことがあるのではないでしょうか。
「率直」の類語と例文
「率直」と同じような意味合いで使われる言葉に「素直」や「正直」がありますが、この3つの言葉は微妙にニュアンスの違いがあります。
素直
飾り気がなくひねくれていないようす、人にさからわないようす
正直
うそやごまかしがないこと、正しく隠し立てのないこと
「率直」と「素直」・「正直」との違い
- 彼は、どの上司にも自分の考えを率直に話す。(飾らず思っているままに)
- あの先輩には、自分の気持ちを素直に話すことができる。(さからわず従順なさま)
- 私は、事故現場で目撃したことを正直に話した。(うそ、ごまかし、隠し立てがないさま)
例文からもお分かりのように、「率直」は「自分の思いをまっすぐに」、「素直」は「相手の意に添うように」、「正直」は「自分の思いや相手の思いに捉われず、事実をありのままに」というニュアンスが含まれているようです。
「率直」のまとめ
「率直」には、「単刀直入」「歯に衣着せず」「遠慮なく」などのニュアンスが含まれていましたね。自分の考えを「率直に」伝えることに臆病にならず、言うべきことは「率直に」言えるようにしたいものですね。