「呉越同舟」とは?意味や使い方を由来を含めてご紹介

「呉越同舟」は、小学生のうちは漢字テストで、学年が上がるごとにその用法や、由来となった逸話の漢文と、学生時代のたくさんのテストに登場する、とても馴染み深い四字熟語なのではないでしょうか。ここでは、そんな「呉越同舟」の意味や使い方を由来を含めてご紹介しています。

目次

  1. 「呉越同舟」の読み方
  2. 「呉越同舟」の意味
  3. 「呉越同舟」の由来
  4. 「呉越同舟」の使い方
  5. 「呉越同舟」のまとめ

「呉越同舟」の読み方

「ごえつどうしゅう」と読みます。特に難しい漢字は使われていませんので、比較的簡単に読むことも、書くこともできると思います。

ちなみに、「呉越同舟」の「呉」の文字ですが、ここで使われている「呉」は中国の古い地名です。日本にも同じ漢字を使った地名が広島県にあり、「くれ(市)」と、読みます。「呉」の他の用法としては、大豆を水とともにすり潰したものを「呉(ご)」と呼びます。

「呉越同舟」の意味

「呉越同舟」の意味は、敵対する者同士でも同じ危機的状況に追い込まれると、助け合ったり協力することです。また、仲の悪い者同士が同じ場所や境遇にいあわせることの意味もあります。

「呉越同舟」の「呉」と「越」は、どちらも中国の古い地名です。そして、「同舟」は読んで字のごとく「同じ舟」のことです。ですから、「呉越同舟」は、「呉」と「越」の人が同じ舟に乗っている様子を表した言葉です。

ここで、「舟」を「船」と書かない理由は、「舟」が様々な種類の「船」の中でも手漕ぎの小さなものを指しているので、風が吹くと簡単に転覆するからです。逆に言うと、簡単に転覆する「舟」でないと、「呉越同舟」の由来となる話のシチュエーションが成立しなかったからです。

「呉越同舟」の由来

では、「呉越同舟」の由来とはどの様なものなのでしょうか。「呉越同舟」は、紀元前500年ごろの中国の武将・孫武(そんぶ)が作成した『孫子(そんし)』という兵法書から生まれた言葉です。孫武は、この本の中で、兵隊をどの様に統率するべきかを、次のような例え話を使って語っています。

“互いに戦争をするほど憎みあっている「呉」と「越」の人々でさえ、乗り合わせた舟が暴風雨に見舞われれば、まるで左右の手のように助け合うだろう。”

これが「呉越同舟」の由来となった話です。ここから「呉越同舟」は、仲の悪い者同士でも窮地に立たされれば協力することを意味するようになりました。

「呉越同舟」の本来の教訓

しかし、兵法書である『孫子』で孫武が本来言いたかったことは、「仲が悪くても協力しなさい」ということではなく、「いい軍隊には危機感が必要だ」ということです。

危機的状況があれば、仲の悪い「呉」と「越」の人々でさえ、左右の手のような抜群のチームワークを発揮できるのだから、軍隊のリーダーたるものは兵に危機感を持たせることによって団結させなさいと、説いているのです。

「呉越同舟」の使い方

では、「呉越同舟」はどの様に使われているのでしょうか。例文を見てみましょう。

「呉越同舟」の例文

1.犬猿の仲の外科と内科だが、今回ばかりは小さな命の為に「呉越同舟」で治療にあたっている。
2.ライバル会社同士だが、不況を乗り切るために合併という「呉越同舟」をしなければならない。
3.因縁の相手だと思い嫌っていたが、「呉越同舟」をしてペアを組み優勝を果たした。
4.宇宙人が地球に攻めてくれば、今戦争をしている国々も「呉越同舟」で一つの地球としてまとまることが出来るかもしれない。
5.緊急事態なんだから一時休戦して、「呉越同舟」で災害を乗り切りましょう。
6.奥さんと愛人を同じ車に乗せるなんて、まさに「呉越同舟」だ。

1.~5.の例文から、「呉越同舟」は敵同士が目的のために手を組んで、一致団結して困難や目標に立ち向かっている様子を表していることがわかります。

6.の、敵対している者同士が同じ場所に居合わせるという意味での「呉越同舟」は、日本では使われていますが、中国では「呉越同舟」にその意味はないそうです。

「呉越同舟」のまとめ

いかがでしたでしょうか。「呉越同舟」の意味や使い方をご理解いただけましたでしょうか。人間だれしも嫌いな人や苦手な人がいると思います。「呉越同舟」は、どんな相手とでも緊急事態には協力し合うことの大切さを教えてくれている言葉かもしれませんね。

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