「令色」の意味
「令色(れいしょく)」には「他人に気に入るように顔色をよく飾ること」という意味があります。のように、自分の事を気に入ってもらえるように本心を隠し、「他人に合わせる・相手の顔色を窺う」ような様子を表します。
「令」には複数の字義がありますが、「令色」においては「良い・立派な」という意味で用いられます。また、「色」という漢字もさまざまな意味がありますが、ここでは「人の表情」を指します。
これらを組み合わせると、「良い表情」となります。一見するとプラスの意味にもとれる言葉ですが、これがネガティブな意味合いを持つ理由には、後述する語源が関わっています。
「令色」の語源
「令色」の語源は、四字熟語「巧言令色(こうげんれいしょく)」にあります。「巧言令色」は、「口先のうまいことを言って、相手に気に入ってもらえるように顔色を良く見せること」を指します。
この熟語の元となった文章は、論語の最初の章「学而」にあります。
訳:先生(孔子)はおっしゃった。上辺だけの言葉を並べ、皆に良い顔をする者の中に人格者はいないと。
孔子は他にも多くの言葉を残していますが、ここでは似た意味合いのフレーズを紹介しておきましょう。
【巧言は徳を乱る】:表面だけを取り繕った言葉は自身への信頼を失わせ、徳を損なう。
「令色」の使い方
上記のことから「令色」は、相手に好まれるためにする「うわべだけのよい表情」といった意味合いで用います。ここでは例文を使って使い方をみていきましょう。
例文
- 学生時代は令色だけで何とかこなしてきただろうが、社会人になった以上は実力も伴っていないと駄目だ。
- 両親に彼氏を紹介したところ「あんな令色な奴はあてにならん」と一刀両断された。
- 「令色ばかりしていると本当に大切な友達は出来ないぞ」と注意された。
「令色」の類語
「八方美人」
「八方美人」には、2つの意味があります。
- 誰に対しても如才なくふるまう人を軽んじていう言葉
- どの点から見ても欠点のない美人
一般的には、マイナスな印象を表す1の意味で用いることが多いでしょう。「令色」にも似た意味合いを持ちます。しかし、2のように純粋な褒め言葉として使う場合もあります。
【例文】
- 彼女は容姿端麗で性格もよく、仕事も出来るまさに八方美人と呼ぶにふさわしい。
- うまく人と付き合いながら生きていくには八方美人にならざるを得ないことも多々ある。
- 彼は八方美人と呼ばれている通り、人の顔色を常に窺う様子を見せている。
「令色」を英語で
「令色」を英語で表現する場合は「令色」の意味をうまく利用することが大切でしょう。相手に気に入ってもらうためによい顔をする、というニュアンスを汲むのなら、「ご機嫌をとる・媚を売る」という意味の「butter up」という表現が使えるかもしれません。
【例文】
He was buttering up his teacher to get a good grades.
訳:彼はいい成績をとるために、先生にいい顔をしていた。