「ハクスラ」とは?
ハクスラとはハックアンドスラッシュ(Hack and Slash)の略称で、ゲームのジャンルやそのシステムを指す言葉です。hack(切り刻む)とslash(叩き斬る)を組み合わせた言葉で、最近では、主に敵と戦い、成長し、さらに強い敵と戦うプレイスタイル(ゲームジャンル)のことを指します。
「ハクスラ」の歴史
ハクスラはアナログゲームの筆頭とも言えるTRPG(後述)のシステムから生まれた言葉ですが、近年ではデジタルゲームでもこの用語が使われる場面があります。このように、「ハクスラ」は長い歴史のなかで少しずつ意味を変えながら存在しています。
もともとは、「ストーリーではなく、戦いを好むプレイスタイル」のことを指しました。これは「ダンジョンズ&ドラゴンズ」というTRPGの中で生まれた用語です。
TRPGの中の「ハクスラ」
ハクスラが最初に使われ出したのは、「ダンジョンズ&ドラゴンズ」という有名なTRPGだと言われております。
TRPGとは
TRPGは、テーブルトークロールプレイングゲームの略で、「FF」や「ドラクエ」などのRPG(ロールプレイングゲーム:物語の主人公になって冒険や戦いを楽しむゲーム)の元となったゲームです。簡単に説明すると、ゲーム機などのコンピュータを使わずに、紙や鉛筆、サイコロなどの道具を用いて、人間同士が話しながらルールに従い、進めていくゲームになります。
「ダンジョンズ&ドラゴンズ」と「ハクスラ」
「ダンジョンズ&ドラゴンズ」のゲームシステムは、強い敵と戦って自分を強化し、さらに強い敵に挑むという、「戦い」がメインになっています。したがって ストーリーや推理などをメインとしているゲームとは対照的であり、このように、ストーリーではなく戦いを優先するプレイスタイルのことを当時「ハクスラ」と呼びました。
また、同時に、TRPGにおいては、ストーリーを無視して戦いのみを好む一部のプレイヤーを揶揄する意図で「ハクスラ」が使われることもありました。
ビデオゲームの中の「ハクスラ」
その後、ビデオゲームが誕生してからは、「敵を倒して成長し、さらに強い敵を倒すというゲーム」や「Diabloライクのゲーム」を「ハクスラ」と言うようになります。
ビデオゲームのRPGはTRPGを元に作られたので、大まかな意味としては、ビデオゲームにおける「ハクスラ」も、TRPGにおける「ハクスラ」と同じになります。
「ウィザードリィ」や「ダンジョンマスター」など、(初期に作られた)良作と言われるRPGは、「敵を倒して成長し、さらに強い敵を倒す」というシステムを導入しています。ビデオゲームのRPG出現以降、このようなゲームシステム自体を「ハクスラ」と呼ぶようになりました。
Diablo(ディアブロ)の登場
1997年から大ヒットしたDiabloというゲームがあります。このゲームの登場からは、Diabloライク(Diabloのようなゲーム)という意味で「ハクスラ」という言葉を用いるようになります。
Diabloライクとしての「ハクスラ」
Diabloライクとは、「ストーリー重視ではなく、戦いに重きを置いて、自分自身が成長していくシステムであること」「ランダムな数値やランダムな効果を持った装備を集められること(固定値、固定効果のトレジャーハントとは違います)」「アイテムを集めたり経験値を稼いだりするために大量の敵をなぎ倒すこと」などが特徴としてあげられます。
Diabloライクから派生して、「トレジャーハント要素があるもの」や「戦闘中心のRPG」をハクスラと呼ぶこともあります。
ローグライクゲームと「ハクスラ」
ローグライクゲームというジャンルがあります。日本では「トルネコの大冒険」「風来のシレン」「ポケモン不思議のダンジョン」などがこれに当たります。敵と戦いながらダンジョンを掘り進めていくゲームです。
Diabloライクはハクスラ要素を含みながら、ローグライクゲームの一種と考えられます。たまに、ハクスラ=(イコール)ローグライクと勘違いしている人がいますが、ビデオゲームの中では、ローグライクはゲームのジャンルを示しており、「ハクスラ」は強い敵と戦うために戦いの中で強くなる「ゲームシステム」のことを呼びますので、ご注意ください。
3Dアクションゲームの中の「ハクスラ」
最近になると、3Dアクションにおいても「ハクスラ」が使われるようになりました。この意味は上の二つと大きく異なり、剣や斧を使って戦うゲーム、という意味のみを指す場合が多いです。3Dアクションゲームにおけるハクスラだと「モンスターハンター」「無双シリーズ」などが分類されます。
hack(切り刻む)とslash(叩き斬る)の言葉の意味から派生して、剣や斧を使って戦うゲームのこともハクスラと呼ぶように転じたのでしょう。特に海外では、このような「ハクスラ」の使われ方をすることが多いようです。