「下馬評」とは?意味や使い方をご紹介

皆さんは、知人同士で「下馬評」を話し合ったり、ご自分が「下馬評」に上ったりしたことがあるでしょうか。そもそも「下馬評」とはどういう意味で、どんな由来があるのでしょうか。今回は「下馬評」の意味や正しい使い方などを解説します。

目次

  1. 「下馬評」の意味
  2. 「下馬評」の語源
  3. 「下馬評」の正しい使い方
  4. 「下馬評」の類語と例文
  5. 「下馬評」の英語表現
  6. 「下馬評」のまとめ

「下馬評」の意味

「下馬評」は名詞で、「げばひょう」と読みます。これは「当事者以外の第三者や他人が、ある物事や人物について、興味本位に話し合う噂話や予想、批評など」を示す言葉です。

そもそも「下馬評」は、次の語源の項でご説明する通り、「主人の下馬先で、供の者たちが主人を待つ間、あれこれと話し合う噂や評判」を意味する表現でした。これが転じて現代では、一般的に、自分とは直接かかわりのない問題について、しかも「専門外」でいながら、面白半分に行う先々の展開や結末の予想、といった意味合いとして使われています。

「下馬評」の語源

「下馬評」の「下馬」とは、そもそもは江戸時代などに「馬から下りること」を意味しました。「お城の門や寺社の前で、馬から下りる場所」を「下馬先」(げばさき)とも呼びました。当時は、武士や公家などの支配層にとっては馬が主な移動手段であり、城や屋敷、寺社などではいわば「駐車場」のように、馬を下り、その馬をつないでおく場所が決められていました。

相手先を訪問する主人に付き従って来た武士などの従者たちは、その下馬先で、主人の用事が済み戻ってくるのを待つのが日常でした。その待ち時間に、供の者たち同士で、主人の評判や城内の人事などもろもろの噂話をしたことが、「下馬評」の由来になったとされています。

「下馬評」の正しい使い方

「下馬評」という言葉は、現代では「当事者以外の者が興味本位に話す評判」という意味で使われます。このため、自分自身のことや、自分が決定権限を持っていたり、深く関わる組織などについて、あれこれと予想や評価を話すことは「下馬評」には該当しません。

あくまで「自分とは何の関係もないこと」、「世間一般に話題になっている物事」などについて、門外漢が好き勝手放題に話し合う予想や評判のことを示します。通常はスポーツや選挙などの結果を、解説者やメディア、一般のファンなどがいろいろと予想する場合に用いられることが多いようです。

また「下馬評」は、「下」という漢字が使われているため「下世話な噂」「よくない評判」といったイメージを持たれることがありますが、語源から分かるように必ずしも悪い内容である必要はありません。良い評価、悪い予想などのいずれの場合でも用いることができる表現です。

「下馬評」の類語と例文

「下馬評」の類語

  • 前評判(まえひょうばん)…ある物事が行われる前の評判。
  • 外聞(がいぶん)…内部のことが部外者に知られること。面目。世間体。
  • 取りざた…あれこれと噂をすることや、その噂そのもの。
  • 値踏み…値段や相場、評価を見積もること。
  • 四方山話(よもやまばなし)…いろいろな物事の話題。世間話。

「下馬評」の例文

  • 下馬評では、今度の五輪では米国の選手が金メダル候補だそうだ。
  • あの候補は下馬評では落選確実といわれていたのに、蓋を開けてみるとトップ当選だった。
  • 世間の下馬評なんてまるで当てにならないから、気にすることはない。
  • 下馬評をちょっと耳にしたが、彼の奥さんは相当な美人らしい。

「下馬評」の英語表現

「下馬評」は日本語では「世間の無責任な評判」といった意味合いを示しますので、これに対応する英語表現としては、
 

  • rumor
  • gossip
  • speculation

などが挙げられます。例文を以下に示します。

Many people are rumored to stand for the election.(今度の選挙には、いろんな候補の名前が下馬評に挙がっている)

「下馬評」のまとめ

ご説明したように、「下馬評」は必ずしも「悪い、下品な噂話」ということではなく、正当な評価や、いわゆる「ランキング付け」などにも用いることができる用語です。このため「下馬評が高い」「下馬評に挙がっている」といえば、むしろ高く評価したり、褒め言葉である場合も多いといえます。

いずれにしても、人が二人集まれば噂話が始まる、というのは、今も昔も変わらない「人間の性(さが)」ではあるようです。


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