「一応」の意味
「一応(いちおう)」には、主に2つの意味があります。
- 十分とは言えないが、ひととおり。ひとまず
- 念のため
ほかにも、「一往」と書くことができます。本来の表記は「一往」ですが、一般的には「一応」とすることが多くなりました。
一応の使い方①「ひととおり・ひとまず」
1.の意味の場合、「最低限の欲求・目標を一通り満たしているものの十分ではない」場合に「一応」を使用します。十分であるとは言えないものの、一方で駄目だとも言えないようなケースや、万全な状態ではないものの、多分大丈夫であろうという場合に「一応」を使うのです。
例えば、「一応出来上がった」「一応見直してみる」「一応完成した」などと言います。 このように、「一応」は「やることはやったけれど微妙だ」「やるだけやってみるが目標を達成できるか確信がもてない」という意味合いで使います。
「ひととおり」という意味で使う場合の例文
- だいぶ時間がかかったが、一応取り調べは済んだ。
- 一応話は伺っていますが、詳細についてはまだ知らないです。
- 私は一応準備できていますが、まだ全然人が集まっていません。
- なかなかボーナスが出ないけれど、一応貯金はあるからなんとかなる。
また、「一応」は「いい加減」というニュアンスも含まれているため、ビジネスシーンにおいて上司や取引先など 目上の人に向かって「一応確認しました」などと言ってしまうと、「いい加減だがとりあえず確認した」と捉えられる可能性があります。
一応の使い方②「念のため」
「念のため」という意味で使う場合の例文もご紹介します。
「念のため」という意味で使う場合
- 欠席しても良いことになっているが、一応私は参加してみることにします。
- 部下が作成してくれた資料に一応目を通しておく。
- 大丈夫とは思うけど、一応読み直してみる必要があるね。
- 天気が悪いから、一応傘を持って行った方が良いだろう。
「一応」と「一様」の違い・使い分け
ひらがなでは、「いちおう」と「いちよう」。読み方が似ているため混同するかもしれません。しかし、「一様(いちよう)」とは「よくありふれていること、よくあること、または全部同じような様子」を表しており「一応」とは全く異なる意味になります。
「念のために試しましょう」という意味合いで、「一様試してみましょう」と使用している方がいるようですが、これは誤用になりますので、注意が必要です。
「一応」の類語・言い換え表現
「一応」の類語・言い換え表現をご紹介します。
「とりあえず」
「一応」の同義語として「とりあえず」があります。「とりあえず」は「他のことはさしおいて」「まず第一に」「十分ではないものの今のところは」という意味を持ちます。「とりあえずお知らせまで」というように、後に補完されることを前提としたニュアンスで使われます。
「さしあたり」
「さしあたり」は、「当面する今」「現在のところ」という意味で、「さしあたり間に合う」のように使われます。将来のことはわからないが、今現在は問題がないという場合に使われます。
「一応」の英語表現
一応を英語で表現すると、”just in case”(念のため)、”once”(一応)、”for the time being”(当面)、”so far as it goes”(今のところは、現状では)などになります。
「ある程度〜をしている」や「まあまあ〜をしている」と表したいときは”somewhat”を使うことができます。”somewhat”は「多少」や「ちょっと」を表す表現で最低限のことはやっていることを指します。