「茫然」の意味
「茫然」(ぼうぜん)という言葉は、大抵は同じ読みの「呆然」と同じように用いられ、「気抜けしてぼんやりとしたさま」や「あっけにとられるさま」という意味があります。
また、「呆然」にはない「茫然」独自の意味として、「広大なさま」「取り留めのないさま」「判然としないさま」という意味もあります。上の意味に比べるとあまり使用頻度は高くありませんが、覚えておきましょう。
「茫然」の使い方・例文
予想だにしなかった事態で出くわした時や、思いもよらぬ心理的衝撃を受けた時、人は平常の思考力や判断力を失って「茫然とする」ことがあります。
その状態では「茫然とする」以外に何もできないことが多く、「茫然と立ち尽くす」であるとか「茫然と〇〇し続けた」、「茫然自失」(意味:あっけにとられて我を失う)といった表現もよく使われます。
また、あまり使用頻度は高くないものの、「茫然たる空」のように、人間の心理以外にも、広く大きな景色や、まとまりがなく判断がつかない様子についても「茫然」を使えることを覚えておきましょう。
例文:心理状態
- 彼女のあまりにも奇怪な言動を受けて、私は一瞬茫然としてしまった。
- 電話で恐るべき知らせを受け取った母は、受話器を耳に当てたまま茫然と立ち尽くした。
- 災害のあと、変わり果てた故郷の姿を、少年は茫然と見つめ続けた。
- 腹心の部下に辞表を突き付けられた社長は茫然自失して、何も言葉を発することができなかった。
例文:物の様子
- 夜明け前、天地は茫然として、すべてのものの境目が曖昧だった。
- 船の舳先に立って、茫然たる海を眺めていると、自分の存在がひどくちっぽけに思えてくる。
「茫然」の類語
- ぼんやり
- ぼうっと
- きょとんと
- 上の空(うわのそら)
- 唖然(あぜん)
- 開いた口が塞がらない