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「捲土重来」とは?意味や使い方をご紹介

漢詩から由来する四字熟語はたいへん多く、「捲土重來」もそのひとつです。中国故事に登場する言葉は、奥が深く含蓄に富んでいて、日々の生活や、仕事での心のあり方に影響を及ぼします。では「捲土重來」の意味、使い方、類義語や出典などをさぐっていきましょう。

目次

  1. 「捲土重來」の読みと意味
  2. 「捲土重來」の語源
  3. 「捲土重來」の現代語の訳
  4. 「捲土重來」の由来
  5. 「捲土重來」の使い方・例文
  6. まとめ

「捲土重來」の読みと意味

読み方は「けんどちょうらい」が本格派ですが、「けんどじゅうらい」という読み方も普通に使われていますし、広辞苑にも掲載されています。「捲土」は土煙を巻き上げる様子を表し、転じて勢いが盛んであるという意味になります。「捲」は「巻」と同じ意味の漢字です。

その「捲土重來」の意味ですが、破れた者が再び勢いを得て巻き返しにかかること。一度は失敗してしまっているが、再びチャンスを得て、挽回していくことのたとえです。出典は漢詩の中の「江東子弟多才俊捲土重來未可知」という有名な句の中で使われています。

「捲土重來」の語源

唐時代の文学の歩みを4つに分けた晩唐(803年〜852年)の詩人、杜牧(とぼく)の漢詩「題烏江亭(うこうていにだいす)」に語源の出典が見られます。原文を眺めてみましょう。

題烏江亭
勝敗兵家事不期
包羞忍恥是男兒
江東子弟多才俊
捲土重來未可知

書き下し文を読んでみると

烏江亭に題す
勝敗は兵家も事期せず
羞を包み恥を忍ぶは是男児
江東の子弟 才俊多し
土を捲いて重ねて来たらば 未だ知るべからず

「捲土重來」の現代語の訳

書き下し文といえども、直ぐには理解できません。現代語訳を見ることにします。

戦いの勝敗は兵法家にも予測できない。たとえ破れても一時の恥を堪えしのぶのが男なのだ。江東(長江の東流域)はすぐれた若者が多いから、勢力を盛り返して攻めてくるならば、勝敗はどうなったか解らない。

「捲土重來」の由来

「捲土重来」は、会社の中など、年配者の会話や記述によくみられる四字熟語で、類義語としては、いったんは撤退しながらも再挑戦する、汚名返上、名誉挽回、失地回復、逆転勝利や、逆襲、反撃、挽回、巻き返し、あるいはリベンジなども類義語といえます。

「捲土重來」の由来はあの有名な「項羽と劉邦」に遡る

「四面楚歌」の原義にもなった有名な「垓下の戦い(がいかのたたかい)」に負けた項羽は少ない手勢と共に烏江まで逃げ延びてきます。烏江の宿場の長官は、船に乗って今はともかく逃れ、再起を図ったらどうかと薦めますが、項羽はこれを断り、天命と察し男を貫いて自刃します。

後々、杜牧がこの地を訪れ、項羽のあっぱれな最期を哀悼し詠んだ漢詩が「題烏江亭(うこうていにだいす)」となります。

「たられば」を言ってみても仕方がありませんが、歴史好きの人の性(さが)でしょうか、もし、項羽が船に乗って逃げていたら、と考えるのは誰にも共通する想いなのでしょう。

これには、ぴんと来る人物が浮かびます、源義経です。追われ追われて東北の地で滅び、日本人に愛される義経の姿を彷彿させます。

判官贔屓(ほうがんびいき)というのは日本人ばかりではありません。直ぐにダブってくるイメージが源義経です。あそこで死ななかったら、生きていたら、という想いは、決然と死を選んだ項羽と重なり、まさに「捲土重來」の期待が湧いてきます。

どちらの話も、武士として戦に負けたにもかかわらず、男らしさ、ダンディズムに心揺さぶられた人々の心に留まり、人気を博している一番の理由でしょう。

詩人、杜牧は杜甫(とほ)と同じく西晋の将軍杜預(とよ)を遠祖とし、25歳で進士に及第、官吏として有能でした。享楽的な生活をした人でもあり、美貌の風流才子といわれましたが、遊びに耽った時でも覚醒の人だったとも言われています。

「捲土重來」の使い方・例文

使い方の例文として、厳しい状況下で頑張るときなど、上司や年配者は「諸君、この状況を打破して、捲土重來を期して」などと檄をとばしたりします。あるいは、「今回の敗戦の屈辱を忘れることなく、捲土重來を期して次の試合の練習に励もう」というのも例文としていいかもしれません。

ただ、まだ負けてもいない状況の中での、捲土重來という表現はあり得ません。

余談ですが、テレビ番組のスポーツ中継などに際して、解説者が「汚名挽回」と言っているのを聴くことがありますが、正しくは「名誉挽回」であり、また「汚名返上」という表現が正しい使い方です。汚名だからこそ、捲土重來を期さなくてはいけないわけです。例文を参照してください。

まとめ

「捲土重來」の意味や使い方を憶えました。漢詩や中国故事は、日頃の生活に密着した言葉が多く、勉強になりますね。様々な四字熟語を駆使して、表現の幅を広げましょう。

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