「青天の霹靂」の意味
「青天の霹靂」とは青く晴れ渡った空に突然雷が現れることです。このことから、急な思いがけない大きな出来事を表現するときに使います。「霹靂」は裂けるようビリビリと激しく鳴っている雷を意味しています。ちなみに「晴天」では間違いです。
「青天の霹靂」の由来
南宋前期の詩人、陸游の「四日夜雞未鳴起作」の一節から生まれた言葉です。
放翁病みて秋を過ぎ、たちまち起きて酔墨をなす
まさに久蟄の龍のごとく、青天に霹靂を飛ばす
怪奇に堕すと云うといえども、要は常に憫黙にたえたり
一朝此の翁死すれば、千金求むるも得ず
・放翁=陸游の号
・酔墨=酔って書いた書画、ここでは病で体がふらついている様子を指す
・久蟄=長い間穴籠もりしていること
・憫默=哀れんでものを言わない様
・一朝=ある朝、ある時
参考サイトhttps://kanbun.info/koji/seitenheki.html
大まかな意味は、病の身だった陸游が突如素晴らしい書画を閃いた、といった所でしょう。注目すべきなのは「青天の霹靂」をかなりいい意味で使っていることです。長い間眠っていた龍が、突如として立ち昇り雷を轟かす、よく映画や漫画にある「閃いた!」に近いです。これと同じニュアンスの言葉はインスピレーション(直感、第六感)があげられます。
現在は何かショッキングな出来事に対して使われる言葉ですが、元を正せば素晴らしい芸術を閃いた時の喜びを意味しているのは中々面白いですよね。
「青天の霹靂」の類語
ここで代表的な類語とその違いを説明していきます。似た意味の言葉は多いですが微妙に意味が違います。
「空前絶後」
読んで字のごとく、後に先にもありえない、もしくは珍しいこと。「青天の霹靂」のように突然沸き起こる、という意味は含まれてないのが注意点です。
「驚天動地」
天を驚かして地を動かす。それほど世の中を騒がせることを意味します。これも「空前絶後」と同じで急に起きた出来事を表しません。
「未曾有」
サンスクリット語を語源とする言葉で、本来は奇跡を意味します。これが仏教経由で漢訳され日本に入ってきました。しかし、いつの頃か「未曾有の大災害」など悪い意味に転じています。「空前絶後」に近いニュアンスです。
「寝耳に水」
寝ている時に耳に水が入るような、不意の出来事に驚くこと。恐らく現在使われている「青天の霹靂」の意味と一番似ていると思います。ただし、言葉のスケールは段違いに小さいでしょう。
「青天の霹靂」の使い方
先ほど説明した通り、日常会話では「寝耳に水」に近い使い方をしますが、かなりスケールの大きい出来事を対象にした言葉です。
「青天の霹靂」の例文
・人生を振り返ってみると、あの事件はまさに青天の霹靂だったと思う。
・青天の霹靂としか言いようのない、凄まじい衝撃が走った。
・こんな些細な出来事で青天の霹靂と表現するのは随分と大げさだ。
「青天の霹靂」の対義語
よく「予定調和」が対義語としてあげられていますが、元々「予定調和」は哲学用語なので違和感を感じるかもしれません。「予定調和」は秩序が保たれるという意味合いが強いです。
「日常茶飯事」のように「日々のありふれた出来事」を意味する言葉の方が「突如として起こる信じられない出来事」を表す「青天の霹靂」の対義語としてふさわしいでしょう。
「青天の霹靂」を英語にすると
「a bolt from (out of) the blue」と表現します。特に語源は同じというわけではなく英語にそのまま直訳したような表現がですが、世界中どこにでも起こり得る自然現象が元の言葉ですから当然といえば当然です。
「青天の霹靂」のまとめ
「青天の霹靂」は、本来は芸術的直感、インスピレーションが沸き起こる様を表している言葉ですが、現在では多くの場合、突然の悪い出来事や衝撃的な大事件を意味していることをご紹介しました。