贔屓目とは?贔屓目の意味
特定の人物や物事に対して、好意や愛情から客観的な評価ができず、実際よりも良く見てしまうこと
贔屓目の説明
贔屓目は「ひいきめ」と読み、特に好きな対象に対して実際以上に好意的な見方をすることを指します。例えば、親が自分の子供を実際以上に優秀だと思い込んだり、ファンが推しのアイドルを過剰に評価したりする心理状態です。漢字の「贔」は力強さを、「屓」は鼻息の荒さを表し、合わせて「力を込めて支える」という意味から派生しました。この言葉は、私たちが無意識のうちに行っているバイアス(偏り)を如実に表しており、客観性を失いがちな人間心理の一面を教えてくれます。
誰にでもある贔屓目の心理、時には温かい眼差しにもなりますね
贔屓目の由来・語源
「贔屓目」の語源は中国の伝説上の生物「贔屓(ひき)」に由来します。贔屓は龍の子で、重いものを背負うことを好むとされる霊獣です。石碑の台座としてよく用いられ、その姿から「支える」「後援する」という意味が生まれました。日本では室町時代頃から使われ始め、「ひき」が長音化して「ひいき」となり、特に江戸時代に広く普及しました。目をかける対象を「支える」という原義から、好意的に見る「贔屓目」という表現が生まれたのです。
贔屓目は誰にでもある自然な感情、でも時には客観的な目も大切にしたいですね
贔屓目の豆知識
面白いことに、「贔屓目」はスポーツの審判でもよく問題になります。2018年のサッカーW杯では、ある審判が特定のチームに有利な判定を連続して下し、「明らかな贔屓目」と批判されたことがあります。また、心理学では「ハロー効果」として知られる認知バイアスの一種で、好きな人の欠点を見逃したり、実際より高く評価してしまう現象は、誰にでも起こり得る心理的なメカニズムとして研究されています。
贔屓目のエピソード・逸話
あの有名なプロ野球監督、長嶋茂雄さんは選手時代、チームメイトの王貞治選手をことさら贔屓目で見ていたことで知られています。あるインタビューで「王さんが打席に立つと、どんなボールでもファウルで粘るから絶対に打つと思っていた。実際には凡打することも多かったけど、俺の目にはヒットに見えていたんだよ」と語り、典型的な贔屓目のエピソードを披露しています。また、小泉純一郎元首相も息子の進太郎氏について「どんな政策でも我が子の意見は一番正しく見えてしまうのが親の贔屓目だ」と発言し、話題になりました。
贔屓目の言葉の成り立ち
言語学的に見ると、「贔屓目」は複合語の一種である「慣用句」に分類されます。本来の漢字の意味から離れた、比喩的な表現として機能している点が特徴です。また、この言葉は「主観性」を表す言語表現の典型例で、話し手の心理状態や評価態度を反映する「評価モダリティ」の一種と言えます。日本語ではこのように、漢字の原義を基にしながらも、独自の比喩的意味を発展させた表現が数多く存在し、「贔屓目」はその代表的な例の一つです。
贔屓目の例文
- 1 親の贔屓目ってすごいよね、うちの母は私が描いた幼稚園の落書きを今でも額縁に入れて飾ってるんだ
- 2 推しのアイドルがちょっと音程外しても『個性のある歌声だよね』って思っちゃうの、完全に贔屓目だわ
- 3 自分が育てた観葉植物、枯れかかってるのに『味が出てきた』って言い張るのは贔屓目でしかない
- 4 友達の作った料理って、実際より美味しく感じちゃうことない?これって贔屓目の効果かな
- 5 我が子の運動会での徒競走、ビリだったのに『最後まで諦めない姿勢が素晴らしい』って褒めちゃう親心は贔屓目そのもの
関連用語と使い分け
贔屓目と混同されやすい言葉に「依怙贔屓」や「肩入れ」がありますが、それぞれニュアンスが異なります。
- 依怙贔屓:意図的に特定の人物を優遇する不公平な行為
- 肩入れ:積極的に支援したり味方につくこと
- 贔屓目:無意識のうちに好意的に見てしまう心理的なバイアス
贔屓目は自然な感情から生まれるものですが、依怙贔屓は意図的な行動を指す点が大きな違いです。
ビジネスシーンでの注意点
職場では贔屓目が人間関係や評価に悪影響を与える可能性があります。以下の点に注意が必要です。
- 評価や採否の判断では客観的な基準を設ける
- 定期的に第三者からのフィードバックを受ける
- 自分が特定のメンバーに偏っていないか自問自答する
リーダーたるもの、贔屓目ではなく公平な目で部下を見ることが求められる
— 松下幸之助
歴史的な背景と文化的側面
贔屓目という概念は、日本の集団主義文化と深く結びついています。江戸時代の歌舞伎や相撲の世界では、贔屓(ひいき)と呼ばれる熱心な支援者がいて、彼らは当然ながら贔屓目で自分の応援する役者や力士を見ていました。
現代でも、学校の部活動や地域のスポーツチームなど、コミュニティ内での結束を強めるために、ある程度の贔屓目は許容される傾向があります。ただし、公共の場や公平性が求められる状況では、この傾向を自覚してコントロールすることが重要です。
よくある質問(FAQ)
贔屓目と依怙贔屓の違いは何ですか?
贔屓目は好意から自然に良いように見えてしまう心理的なバイアスを指しますが、依怙贔屓は意図的に特定の人物を優遇したり不公平な扱いをする行為を意味します。贔屓目は無意識の現象で、依怙贔屓は意識的な行動という違いがあります。
贔屓目になってしまう心理的な原因は何ですか?
贔屓目は心理学でいう『ハロー効果』や『内集団バイアス』によるものです。好きな人や自分に関係のあるものに対しては、実際の評価よりも好意的に見てしまう心理メカニズムが働くためで、誰にでも起こりうる自然な現象です。
仕事で贔屓目を見られないようにするにはどうすればいいですか?
客観的な評価基準を設けたり、複数人で評価を行うことが効果的です。また、定期的に自己評価を行い、特定のメンバーだけを優遇していないか振り返ることも大切です。感情ではなくデータに基づいた判断を心がけましょう。
贔屓目は悪いことばかりですか?
一概に悪いとは言えません。適度な贔屓目は相手を勇気づけたり、信頼関係を築くのに役立つこともあります。ただし、公平性が求められる場面や重要な判断では、客観的な視点を保つことが必要です。
自分が贔屓目になっていることに気づく方法はありますか?
第三者からのフィードバックを受け入れたり、自分の判断基準を文章化して客観視することが有効です。『なぜこの評価をしたのか』と自問自答し、理由が感情的なものばかりでないか確認してみましょう。