「贔屓目」の意味
最初に漢字についてですが、「贔」は「貝」が3つ、「屓」は「かばね(部首名)に貝」と書きます。「贔屓目」は「ひいきめ」と読み、意味は、「贔屓にする方から見た好意的な見方」です。このままでは理解しづらいと思うので「贔屓」の意味をまず見ていきます。
「贔屓」とは
「贔屓(ひいき)」とは、「気に入ったものに特別に目をかけ、力を添えて助けること・後援すること」です。それぞれの文字を分解すると「贔屓」の語源が見えてきます。
「贔屓」の字義・語源
「贔(ひ)」には、「重い荷物を背負う」や「力強い」という意味があります。これは、昔、中国において貨幣として使用された貝が3つ重なっている様子から来ているとされています。一方、「屓(き)」には、「力を強く込め、鼻息が荒いさま」という意味があります。
「贔」と「屓」のそれぞれの意味を合わせると「力を強く込めて荷物を背負う」となり、そこから「贔屓」の意味を持つようになったそうです。「贔屓」は、元々「ひき」と読んだものが、長音変化して「ひいき」と読むようになりました。
他にも中国の伝説上の生き物である「贔屓(碑文を刻んだ石板を支える亀)」が語源であるという説もあります。「贔屓」は重いものを背負うことが大好きだったこと、あるいは、その支える姿から「贔屓」の今の意味になったというものです。
「贔屓+目」
「目」は、「見る事・見えること」といった意味があります。つまり「贔屓目」は、簡単に言うと「自分の好きなものを特別な目で見ること・応援すること」といった意味です。
この贔屓目の意味が良く理解できることわざに、「親の目は贔屓目」ということわざがあります。「自分の子供は親にとって特別で良い所にしか目がいかず、欠点が目につかなくなりやすいさま」を表しています。我が子は親にとって一番の贔屓目の対象なわけです。
「贔屓目」の使い方
【例文】
- どんなに贔屓目に見ても、今回の勝負はわがチームの敗北が濃厚だろう。
- 先生が彼女に贔屓目なのは、彼女が優等生で誇れる存在だからであろう。
- 友達という点で贔屓目に見たとしても彼女の料理の腕はひどい。
- 自分の飼い犬という贔屓目があったとしても、間違いなく我が家の犬の方が可愛い。
「贔屓目」の類語
「欲目」
「欲目」は、「よくめ」と読みます。「自分の欲・愛情・好みなどのために、自分や自分に関係のある者に都合良く物事を見る見方」という意味を持ち、自分の好みの者を特別扱いするという点で「贔屓目」の類語と言えます。
【例文】
- 「親の欲目と他人の僻目(ひがめ)」という言葉があるが、私の親は明らかに私を買いかぶりすぎである。
- 「惚れた欲目」という言葉があるが、結婚して冷静になってみると彼の欠点ばかりが目についてしまう。
- 欲目であるかもしれないが、私の娘はクラスで一番華があると思う。
「不公平」
「不公平」とは、「公平でないこと・偏りがあり、依怙贔屓なこと」という意味の言葉です。特別扱いして公平に物事を評価できない「贔屓目」と通ずる部分があります。
【例文】
- あの2人はテストで同じ点数を取ったにも関わらず、怒られたのは1人だけだった。なんて不公平なんだ。
- ケーキを2人で分けるのに大きさが異なるのは明らかに不公平だろう。
- 男女分かれて綱引きをするのは明らかに不公平ではないだろうか。
「贔屓目」を英語で
「贔屓目に見る」は「see something in a favorable light」、「どう贔屓目に見ようとも」は「even viewed in the light most favorable to~」といった表記が出来ます。
【例文】
Even when viewed in the most favorable light, there is no particular good in her.(どう贔屓目に見ても彼女は特別な取り柄を持っていない。)