「弄する」とは?意味や使い方を例文付きでわかりやすく解説

「弄する」という言葉、日常生活ではあまり耳にしないかもしれませんが、実は深い意味を持つ日本語の一つです。この言葉を初めて見たとき、どう読むのか、どんな場面で使うのか、疑問に思った方も多いのではないでしょうか?今回は、この少し珍しい言葉の意味や使い方を詳しく解説していきます。

弄するとは?弄するの意味

「弄する」は「ろうする」と読み、主に「もてあそぶ」「ほしいままにする」「思うままに操る」という意味を持ちます。また、古い用法では「あざける」「からかう」「嘲弄する」という意味もありましたが、現代ではほとんど使われていません。

弄するの説明

「弄する」は単独で使われることは少なく、「策を弄する」「詭弁を弄する」のように、前に目的語を伴って使用されることが特徴です。この言葉が用いられるのは、主に計略や策略に関連する文脈で、時にネガティブなニュアンスを含みます。例えば「策を弄する」は、必要以上に策略を用いることや、卑怯な手段を使うことを指し、「詭弁を弄する」は道理に合わないことを強引に正当化する弁論を意味します。現代では「小細工を弄する」「逆説を弄する」といった慣用表現で使われることが多く、これらの表現はどちらもずる賢い手段や作為的な振る舞いを暗示することが多いです。

言葉の持つ深みと歴史を感じさせる、日本語の豊かさを象徴する表現ですね。

弄するの由来・語源

「弄する」の語源は、古代中国にまで遡ります。「弄」という漢字自体は「玉」と「廾(両手)」を組み合わせた会意文字で、もともと「手で玉をもてあそぶ」という意味を持っていました。これが日本に伝来し、平安時代頃から「弄ぶ(もてあそぶ)」という和語と結びつき、さらにサ変動詞化して「弄する」という形が生まれました。当初は文字通り「手でもてあそぶ」という物理的な意味でしたが、時代とともに「言葉や策略をもてあそぶ」といった抽象的な意味合いも持つようになり、現在の多様な用法へと発展していきました。

古風で知的な響きが魅力の、日本語の深みを感じさせる言葉ですね。

弄するの豆知識

「弄する」には面白い特徴があります。まず読み方ですが、「ろうする」と「ろうずる」の両方が存在します。歴史的には「ろうずる」が古形で、室町時代から使われていましたが、現代では「ろうする」が一般的です。また、この言葉は「策を弄する」「詭弁を弄する」のように、常に目的語を伴って使われるのが特徴で、単独ではほぼ用いられません。さらに、同じ「弄」を使う言葉に「弄ばれる」がありますが、こちらは受身形で「操られる」「欺かれる」という全く逆の意味になるので、使い分けに注意が必要です。

弄するのエピソード・逸話

作家の太宰治は『人間失格』の中で、主人公が「言葉を弄する」様子を描いていますが、これは実際の太宰自身の言語感覚を反映していると言われています。太宰は現実の会話でも、時に相手を煙に巻くように複雑な言葉遣いをすることがあり、友人から「また詭弁を弄している」とからかわれることもあったそうです。また、政治家の田中角栄は「政治は策を弄するものではない、誠意だ」と語ったというエピソードが残っており、ここでの「弄する」はネガティブな意味合いで使われています。

弄するの言葉の成り立ち

言語学的に見ると、「弄する」はサ変動詞の一種ですが、現代日本語では生産性が低く、新たに作られることがほとんどない「閉じた語彙」に分類されます。また、この言葉は文体としてやや硬い文章語的性質を持ち、日常会話ではあまり用いられません。統語論的には、他動詞として機能しますが、その目的語は「策」「詭弁」「言葉」など、抽象的な概念に限定される傾向があります。さらに、歴史的には「嘲弄する」など派生語を生み出しており、語彙体系の中でも一定の影響力を持っていると言えるでしょう。

弄するの例文

  • 1 会議で意見が対立した時、つい小細工を弄してでも自分の主張を通そうとしてしまい、後で後悔したこと、ありますよね。
  • 2 恋人との喧嘩で、感情的になって言葉を弄してしまい、余計にこじれてしまった経験は誰にでもあるのではないでしょうか。
  • 3 仕事の締切に追われている時、つい手抜きの策を弄してしまい、結局後でやり直す羽目になるあのパターン、よくありますよね。
  • 4 SNSで炎上しそうな発言をしてしまい、必死に詭弁を弄して取り繕おうとしたけど、逆に火に油を注いでしまったあの焦り、共感できます。
  • 5 親に嘘をついた時、どうしても言葉を弄してごまかそうとしてしまうけど、結局バレて怒られるのがお決まりのパターンですよね。

「弄する」の使い分けと注意点

「弄する」を使う際には、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。まず、この言葉は基本的に目的語を必要とする他動詞であることを覚えておきましょう。単独で使うことはほとんどなく、「何を」弄するのかを明確にする必要があります。

  • 「策を弄する」は計略や策略を使う意味ですが、文脈によってポジティブにもネガティブにも解釈されます
  • 「詭弁を弄する」は明らかにネガティブな意味合いで、ごまかしや言い逃れの印象を与えます
  • 「言葉を弄する」は、言葉巧みに操る様子を表しますが、誠実さに欠ける印象になることも
  • ビジネスシーンでは、この言葉を使うと作為的でずる賢い印象を与える可能性があるので注意が必要です

また、会話で使う場合は特に、相手に誤解を与えないよう文脈を明確にすることが重要です。格式ばった文章や文学作品では効果的ですが、日常会話ではより平易な表現を選ぶのが無難でしょう。

関連用語と類義語の違い

「弄する」にはいくつかの類義語がありますが、それぞれ微妙なニュアンスの違いがあります。適切に使い分けることで、より正確な表現が可能になります。

言葉意味弄するとの違い
操る意のままに動かすより直接的なコントロールを意味し、物理的操作にも使える
駆使する巧みに使いこなす肯定的な意味合いが強く、技能を褒めるニュアンス
利用する役立つように用いるより中立的で、必ずしも作為的ではない
翻弄する思いのままに操り悩ますより受動的で、被害者的なニュアンスが強い

夏目漱石の『吾輩は猫である』の中では「言葉を弄する」表現が多く見られ、当時の知識人の言語遊戯的な側面を描いています。このように、文学作品では「弄する」が言語の技巧を表現する際に効果的に使われています。

歴史的変遷と現代での使用実態

「弄する」という言葉は、時代とともにその使われ方や意味合いが変化してきました。平安時代の文献では、物理的な「もてあそぶ」意味で使われることが多かったのですが、鎌倉時代以降、次第に抽象的な意味合いでも使われるようになりました。

  1. 平安時代:主に物理的な操作や遊びの意味で使用
  2. 室町時代:策略や計略といった抽象的な意味が加わる
  3. 江戸時代:文学作品で修辞的技巧として発展
  4. 明治時代:西洋哲学の翻訳語として使用される機会が増加
  5. 現代:やや格式ばった表現として、限定的な文脈で使用

言葉とは弄ぶものではなく、真心を込めて使うべきである

— 吉野源三郎『君たちはどう生きるか』

現代では、新聞やビジネス文書、文学作品などで見かけることはあっても、日常会話で使われることは稀です。しかし、その分、適切な文脈で使えば、知性的で洗練された印象を与えることができる言葉でもあります。

よくある質問(FAQ)

「弄する」の正しい読み方は「ろうする」と「ろうずる」のどちらですか?

どちらの読み方も存在しますが、現代では「ろうする」が一般的です。「ろうずる」は古い読み方で、現在ではほとんど使われていません。公文書やビジネス文書では「ろうする」を使用するのが無難です。

「弄する」を日常会話で使うことはありますか?

日常会話で単独で使うことはほとんどありません。主に「策を弄する」「詭弁を弄する」などの決まった表現として、文章語や格式ばった場面で使用されます。どちらかと言えば小説や評論、ビジネス文書などで見かける言葉です。

「弄する」と「弄ぶ」の違いは何ですか?

「弄する」はサ変動詞で、主に策略や言葉などを「意図的にもてあそぶ」という意味合いが強いです。一方「弄ぶ」は五段動詞で、物理的にもてあそぶ意味から、興味本位で扱うなど、より広い範囲で使われます。「弄する」の方がやや硬い表現です。

「弄する」はネガティブな意味だけですか?

必ずしもネガティブな意味だけではありません。文脈によっては「創意工夫をする」というポジティブな意味でも使われます。ただし、現代では「ずる賢い手段を使う」といったネガティブなニュアンスで使われることが多い傾向があります。

「弄する」を使った良い例文を教えてください

「彼は客を飽きさせないために、さまざまな策を弄した」という文では、ポジティブな意味で使われています。また「言葉を弄してごまかそうとするより、素直に謝った方が良い」という文では、ネガティブな使い方の例です。文脈によって意味合いが変わるのが特徴です。