「ときめく」の意味
「ときめく」には2つの意味があります。主にひらがなで「ときめく」と表記する場合は、喜びや期待などで興奮して胸の鼓動が高鳴ることを表します。
もう1つの意味は、時流に乗って栄えていること、その時にもてはやされていることです。この場合、しばしば「時めく」と漢字混じりの表記がされます。
さらに、古語では、権力者などに寵愛されるという意味で使われることもありました。
「ときめく」の語源について
「ときめく」の語源は定かではありません。他者や世俗からもてはやされる意味での「ときめく」は、時間を表す名詞の「時」に接尾辞の「めく」が付いて、その時代に合っている状態であることを表すのかもしれません。
また、有力ではありませんが、胸の鼓動が高鳴るのを感じる場合の「ときめく」の「とき」は、「動悸」(どうき:心臓の鼓動が普通の状態よりも早く激しく打つようになること)が由来という説もあります。
確かに、感情を大きく揺さぶられている時には、胸の音が大きく響く感じがしますね。ちなみに、「めく」は名詞などに付いて動詞化する働きがあります。そのような状態である、前の言葉を受けてそれに似た様子になることをいいます。
「ときめく」の使い方
興奮する
心臓の鼓動が大きくなるような状態の「ときめく」は、嬉しいことがあった、望みが叶いそうであるなど、喜びが現実になった(なりそうな状態)で興奮している状態、異性など魅力的な存在に心が引かれてドキドキする場合に使えます。
使い方としては、「心ときめく」と連語の形で用いることがあります。自分の心が期待と喜びでワクワクする様子、強く心が揺れ動いて冷静ではいられないさまを表せます。
【例文】
- 志望校に受かり、これからの大学生活を思うと胸がときめく。
- 雑誌で『男性がときめく女性のしぐさ』という特集が組まれていた。
時流に乗っている
時流に乗った状態を表す「ときめく(時めく)」の場合は、その時点での人気が時代の雰囲気に合って絶頂である、何らかの要因で突如として注目を浴びてもてはやされるような場面で使われます。
また、「今をときめく(今を時めく)」という言い回しで表すことも。「今」その時を強調して、まさに現在盛んにもてはやされていることをいう場合に用いられます。
【例文】
- 今をときめく人気女優がゲストとしてやってくるそうだ。
- あのスポーツ選手は金メダルを獲得して、時めく存在となった。
「ときめく」の類語
胸が高鳴る
「胸が高鳴る」(むねがたかなる)は、胸(心臓)の鼓動が強くなり体の中で大きく鳴り響いている感じがする様子を表す言い回しです。願いや望みがかなうことを期待して、嬉しさや楽しさで心が沸き立つような状態を比喩的に表しています。
【例文】
- 明日憧れのAさんとお話できるかと考えると、胸が高鳴って寝付けそうにない。
- もうすぐ初舞台。不安よりも胸が高鳴る気持ちが強いと言ったら、強心臓だねと目を丸くされた。
心躍る
「心躍る」(こころおどる)とは、楽しいことが期待できそうな場合や、嬉しいことがあった時に心がはずんでおどりだしそうになるくらい興奮していることを、比喩的に表現する言い回しです。「ときめく」の胸の鼓動が弾む状態と似たような意味で使えます。
【例文】
- 子供が誕生日プレゼントを開ける時の心躍る様子を、動画に撮って保存している。
- アイドルのライブコンサートのチケットが予約でき、心躍るような気持ちでいっぱい。
風雲児
「風雲児」とは、時代の変わり目に現れ、その時にあった活躍をして人々に注目され、人気を博すカリスマ的な存在の人物をいいます。伝説上の生き物である龍が、風と雲を巻き起こしながら勢いよく現れ天上に昇っていく様子を人に例えた語です。
「ときめく(時めく)」では、変化する時代に現れる人と限定するわけではありませんが、その時代に合って人気がある魅力的な人という点で似ていますね。
【例文】
- 弁舌さわやかな若手の実業家は、一躍時代の風雲児となった。
- You Tubeで注目され、風雲児としてもてはやされるのを夢見る人も多い。