「関わる」とは
「関わる(かかわる)」には、ほかに「係わる・拘わる(拘る)」という二つの漢字表記があります。漢字それぞれの字義は後述することとして、本題の「関わる」の意味は以下の通りです。
- 人や物事と関係を持つこと。
- 物事に重大な影響があること。
- 物事にこだわること。
一部の辞書には、干渉するという意味が記載されていますが、ここでは1の意味に吸収されているものとして記事を進めていきます。
「関・係・拘」について
「かかわる」の表記に使われる三つの漢字「関・係・拘」には、共通して、かかわるという意味があります。「関」の原字「關」の中の部分は、穴にひもを通して綴り合わせることを意味し、そこから、かかわるとかつなぎ合わせるといった意味が生じています。
「係」は、人を糸でつなぐことを表しています。「系」の上の「ノ」は、伸ばして引っ張るという意味で、「系」にもつなぐという意味があります。
「拘」は、手を「鉤(かぎ)=句」のように使って物をひっかけて留めること、つまり、この漢字もつなぐことを表しています。さらに「拘」には、こだわるという意味があり、「拘る(こだわる)」と書きます。
「かかわる」の表記について
三つの漢字についてご説明しましたが、このうち、「かかわる」の使い方として常用漢字表に掲載されているのは「関わる」だけです。
「係」は「係る(かかる)」としての用法が掲載されていますが、「拘」は、常用漢字表に掲載されてはいるものの、「かかわる」に関する例示などはありません。
常用漢字表に掲載されていない漢字や用法以外のものは、常用漢字を使用することで足りるというのが文化庁の基本的スタンスのようですから、すべての例で「関わる」と記載しても間違いではありません。ただし、公文書などでは、ひらがな表記されているものも多数見られます。
「関わる」の使い方
「関わる」の三つの意味について、例文をご紹介します。
1の意味「人や物事と関係を持つこと」
- 新薬開発に関わるメンバーの人選が始まった。
- 私は、両親から、「悪事に関わるような人間には決してなるな」と言われて育った。
- 私たちの問題にこれ以上関わるのはもうやめてください。(「干渉する」という意味)
1の意味での「かかわる」については、「関わる」という表記が多く用いられます。
2の意味「物事に重大な影響があること」
- 消費税率の引き上げは、庶民の生活に直接関わる重大問題だ。
- あおり運転は、人命に関わる危険行為だ。
上記の例文のように、重大な事件や出来事に関係する場合、「係わる」という表記を使うことも多いようです。
3の意味「物事にこだわること」
- 会社が倒産するかどうかの瀬戸際なのに、あなたの趣味に関わっている余裕はありません。
- これ以上、今の活動に関わっていたら、自分の人生が台無しになってしまう。
3の意味では、例文のように、趣味や活動にこだわっていたら、より大きな問題に立ち向かうことに支障があるような場合に使います。
この意味では、「小事に拘(かか)わりて大事を忘るな(目先のことにこだわって、本来の大事な物事を見失うな)」ということわざのように、漢字表記に「拘わる(拘る)」を使うこともありますが、一般的にはひらがなで書かれることも多いです。
「関わる」の類語
「関連する」
「関連(かんれん)」とは、物事の間につながりがあるということです。「連関」とも言いますが、こちらはあまり一般的ではありません。どちらも「関わる」の1と2の類語です。
【例文】
- 昨夜のニュースと関連のあるニュースを至急ピックアップするよう上司から指示された。
- 私は、エネルギー関連の企業に就職を希望しています。
「まつわる」
「まつわる(纏わる)」は、関わりあう、深い関係がある、付随するという意味で、「関わる」の1と2の類語です。それ以外に、まとわりつく、からみつくという意味もあります。
【例文】
- バロック音楽が好きな彼女は、バッハやヘンデルにまつわる話を始めると延々と語りだす。
- 成人したときに、先祖代々受け継がれてきたこの茶碗にまつわる我が家の秘密を初めて祖父から聞かされた。
「脈絡」
「脈絡(みゃくらく)」は、血管や脈のことですが、物事の一貫したつながりや筋道という意味があり、「関する」の1と2の類語です。おもに「脈絡がない」という否定形で使われることが多い言葉です。
【例文】
- 彼の書いた文章には脈絡がないから、何が言いたいのか理解するのに苦労する。
- 彼女の話は、前後の脈絡に関係なくあちこちに飛ぶので、聞いてる相手はいつも混乱します。