「乗り合わせ」とは
「乗り合わせ(のりあわせ)」は、サ行下一段活用の動詞「乗り合わせる」の連用形、または、連用形が名詞化したものです。
「乗り合わせる」の意味は、偶然にほかの人と同じ乗り物に乗ること、または乗っていることです。
通勤通学、出張や旅行など公共交通機関を利用することは多いですが、そんな時にたまたま知り合いと乗り合わせたり、乗り合わせた赤の他人と話が弾むといった経験がある人もおられるのではないでしょうか。
「乗り合わせ」の使い方
「乗り合わせ」とは、本来は「偶然」一緒になることですが、「友達の車に乗り合わせて行こう」というように意図的に一緒になる場合にも使うことができます。
【例文】
- 取引先へ行く途中、たまたま先方の担当者と電車に乗り合わせて、早々(そうそう)に打ち合わせができた。
- リムジンバスで、中学時代の同級生と乗り合わせ、昔の話や旅行の話で盛り上がった。
- 乗り合わせている他のお客さんの迷惑を考えて、車内では小さな声で話をしよう。
- 3年前に国際線の飛行機で乗り合わせた人と東京で再会し、二人とも驚いた。
- 友達のキャンピングカーに乗り合わせて、みんなでキャンプに行く計画を立てている。
「乗り合わせ/乗り合わせる」の類語
「同乗(する)」
「同乗」は、同じ乗り物に一緒に乗ることです。偶然という要素はありませんが、同じ乗り物に乗るという点で「乗り合わせ/乗り合わせる」の類語です。
【例文】
- 災害現場に向かうヘリコプターに同乗させてもらった。
- 引っ越しのトラックに同乗して、新しい家に向かった。
「相乗り(する)」
「相乗り(あいのり)」も、同じ乗り物に一緒に乗ることです。この言葉も「同乗」と同じ理由で、「乗り合わせ/乗り合わせる」の類語です。「相乗り」には、別に他人の計画などに便乗したり、共同で行うことという意味もあります。
【例文】
- 停電で電車が不通になっていたので、同僚とタクシーに相乗りして帰宅した。
- 彼のバイクに相乗りして、ツーリングを楽しんだ。
- 友達が面白そうなことを考えているので相乗りさせてもらうことにした。
「隣り合わせ/隣り合わせる」
「隣(とな)り合わせ」には、①互いに隣同士であること、②いい面と悪い面が常に近い関係にあることを意味します。
乗り物に限りませんが、隣にいる(つまり、同じ乗り物に乗っている状態で最も近い位置関係)点で、①の意味が「乗り合わせ/乗り合わせる」の類語と言えます。
②の意味では、「生死と隣り合わせの仕事」とか「危険と隣り合わせの冒険」というように使います。
【例文】
- 新幹線で隣り合った人が同業者だと知り、いろいろ情報交換ができた。
- 劇場で隣り合わせた男性のいびきがうるさくて、役者のせりふがあまり聞こえなかった。
- 寺町と呼ばれる場所は、宗派の違う寺院が隣り合わせているところが多い。
「合わせる」とは
「乗り合わせる」や「隣り合わせる」のように「合わせる」には、二つ以上のものを一つにまとめること以外に、調和させること、直接向き合うようにすることといった意味があります。ここでは、「合わせる」を使った慣用句などをいくつかご紹介します。
「乗り合わせ」のように名詞的に使う形があるものは、【乗り合わせる/乗り合わせ】という形で併記します。
【手を合わせる/手合わせ】
両掌(りょうてのひら)を合わせて、感謝の意を表したり、お願いするときの動作です。ほかに、神仏に合掌すること、スポーツや勝負事で相手と対戦するなどの意味もあります。
【帳尻を合わせる/帳尻合わせ】
収支が合うようにすること、物事のつじつまが合うようにすることです。帳面(出納帳など)の尻(最後の収支)を一致させるところから来ています。
【口裏を合わせる/口裏合わせ】
あらかじめ打ち合わせておいて、お互いの話の内容に食い違いが出ないようにすることです。「口を合わせる」とも言います。
【心を合わせる】
何かの目的に向かって、みんなが心を一つにして協力し合うことです。